WTI原油、上値重い 市場は米国在庫統計に注目
・6月限、通常取引で一時6.50ドル
・米EIA在庫統計、前週まで12週連続で増加
ニューヨーク原油先物相場が日本時間22日午後の時間外取引で引き続き上値の重い展開になっている。貯蔵スぺースの不足が懸念されるなか、市場は米エネルギー情報局(EIA)が発表する同国の原油在庫統計に注目している。
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近6月限は同午後5時現在、通常取引終値を0.13ドル下回る1バレル=11.44ドルで推移している。時間外に入り、一時14.19ドルまで戻していた。
これより前、通常取引で一時、前日比68.18%安の6.50ドルまで下落。同8.86ドル(43.4%)安の11.57ドルで引けた。
米国石油協会(API)が21日発表した週間在庫統計によると、WTI原油の受け渡し場所である米オクラホマ州クッシングの原油貯蔵施設の在庫は17日現在、前週比490万バレル増加して5950万バレルになった。
米エネルギー情報局(EIA)によると、実際に使用できるクッシングの原油貯蔵能力は昨年9月末現在で7600万バレル。余力はあと約1600万バレルということになるが、このうちの大半が予約済みと伝えられている。
市場関係者の多くは、クッシングの施設の貯蔵能力は5月中に限界に到達するとみている。貯蔵の問題が解決しない限り、原油を引き渡されても困ることで買い手が付かず、6月限も投げ売りの状態になる可能性がある。
実際、21日に最終取引を迎えた5月限は、20日の取引で一時、マイナス40.32ドルまで売られた。同日の終値は前週末比55.90ドル安のマイナス37.63ドル。マイナスでの取引は前例がない。最終日は買い戻しが入り、前日比47.64ドル高の10.01ドルで取引を終えた。
OPECプラス
石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国で成るOPECプラスの一部参加国は21日に非公式のテレビ会合を開催。しかし声明によると、新たな措置で決定には至っていない。
OPECプラスは13日、5月と6月に日量970万バレルの減産を実施することで合意した。
一方、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の低迷で消失する需要は同2000万~3000万バレルと推定されており、需給が大きく緩んだ状態が続く可能性が高い。
EIAは日本時間22日夜、週間原油在庫統計を発表する。米国の原油在庫は過去12週連続で積み増されており、10日までの週は1920万バレルと週間ベースで過去最大を記録した。
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