ザイレム(XYL)、公益セクター顧客からの需要は堅調、気候変動による水災害リスクへのソリューション提供に期待がかかる
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10/31発表の2019/12期3Q(7-9月)は売上高が前年同期比0.7%増の12.96億USD、営業利益が同93.8%減の1,100万USD、純利益が同50.0%減の6,500万USD。ただし、計画通りに実施した構造改革・事業再編費用、およびのれん償却費用を除いたNon-GAAPの調整後営業利益は同4.3%増の1.96億USD、調整後純利益は同7.2%増の1.49億USDと実質増収増益だった。製造業と商業セクター顧客市場からの収益は伸び悩んだものの、同社の主力顧客市場である公益セクターからの堅調な需要の伸びに伴い販売価格を引き上げたことが調整後ベースの増益に寄与した。調整後営業利益率は同0.5%ポイント上昇の15.1%となった。
セグメント別の業績は以下の通り。水インフラ事業は、為替変動やM&Aの影響を除くオーガニック売上高が同0.6%増の5.44億USD、調整後営業利益が同横ばいの1.04億USD、調整後営業利益率が同0.4%ポイント上昇の19.6%。応用水事業は、オーガニック売上高が同1.1%増の3.82億USD、調整後営業利益が同4.9%増の6,400万USD、調整後営業利益率が同0.9%ポイント上昇の17.0%。測定・制御ソリューション事業は、オーガニック売上高が同8.2%増の3.98億USD、調整後営業利益が同11.4%増の3,900万USD、調整後営業利益率が同0.5%ポイント上昇の10.0%。特に水計量学(メトロロジー)ビジネスが増収に寄与した。
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通期会社計画は、オーガニック売上高が前期比3-4%増(従来計画:前期比5-6%増)、調整後EPSが3.01-3.03USD(同:3.12-3.22USD)と前回発表時から下方修正。ただし、調整後EPSは前期の2.88USDを上回る見通しである。主力顧客である公益セクターは、米国S&P500株価指数における11業種別の中で7-9月期のEPS増益率が首位であり、米国を中心に引き続き公益セクター顧客からの収入の伸びを期待できよう。また、気候変動による水災害のリスクが高まる中、排水規制などの環境保全強化、および上下水道設備老朽化などの水にまつわる問題への迅速な解決策が求められており、中長期的視点からも同社事業への期待が高まるものと見られる。2019/12通期の市場予想は、売上高が前期比0.9%増の52.56億USD、当期利益が同22.2%減の4.27億USDである。
終値(USD) 78.95 2019/12/23
会社概要
2011年に米国の代表的なコングロマリット企業として知られていたITT(ITT)から水機器サービス部門がスピンオフして設立された。世界150ヵ国以上で事業を展開。社名は古代ギリシャ語で植物内の水を運ぶ導管に由来する。上下水道用の機器・装置を設計・製造・販売し、関連サービスを提供している。また、集水から造水、浄水、給水、排水、再利用までの水のサイクル全体、または水の活用に係るソリューション(解決策)を提供している。「水インフラ」、「応用水(Applied Water)」、および「測 定・制御ソリューション」の3つのセグメントで運営されている。水インフラ事業は、ろ過、消毒、生物学的処理など水および排水ポンプを含む様々な製品を手がける。応用水事業は、住宅や商業ビル用のポンプ・バルブなどのほか工業用水向けの装置を提供する。測定・制御ソリューション事業は、スマートメータリングやネットワーク通信などを使用して水・電気・天然ガスなどの資源の配給状況を監視・制御をするインフラストラクチャ―技術を提供する。
企業データ(2019/12/23)
ベータ値 1.10
時価総額(百万USD) 14,217
企業価値=EV(百万USD) 16,353
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 72.6
主要株主(2019/12) (%)
1.VANGUARD GROUP 10.82
2.ブラックロック8.18
3.T.ロウ・プライス・グループ6.04
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 国際公認投資アナリスト 笹木和弘
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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