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【新興国通貨】トルコリラ円、ドル円次第で重要ライン突破も 米経済指標後の動きに注目

衆院選で与党が過半数の233議席を維持できず大敗した。国内の政局不安が円安の圧力を強めている。米経済指標の内容次第でドル円は、155円を目指す可能性がある。ドル円の上昇に支えられ、トルコリラ円は2つの重要なテクニカルラインの攻防が焦点に浮上している。そのラインとは?

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記事のポイント

・国内の政局不安で円安進行、ドル円は154円を視野に上昇幅が拡大している
・米経済指標の内容次第でドル円は、155円が視野に入ろう
・ドル円の上昇に支えられ、トルコリラは対円で上昇トレンドを維持している
・現在のトルコリラ円は、100日線と一目雲の上限の攻防が焦点に浮上している


トルコリラ円のチャートポイント

レジスタンスポイント

・4.500:レジスタンスポイント
・4.482:10月28日高値
・4.463:一目雲の上限
・4.457:100日線

サポートポイント

・4.400:サポートポイント
・4.390:10日線
・4.344:フィボナッチ・リトレースメント38.2%


国内の政局不安で円安進行 ドル円は155円が視野に

27日の衆院選で与党が215議席と過半数割れし大敗した。国内の政局不安が嫌気され、28日の外為市場では円安が進行した。

ドル円(USD/JPY)は、IG為替レポートで注目しているフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準153.30レベルを上方ブレイクし、高値153.88レベルまで上昇する局面が見られた。

日足のRSIでは短期的な相場の過熱感が見られる。しかし、MACDは上昇基調を維持している。200日線がサポートラインとして相場を下支えし、かつ10日線との間でゴールデンクロスへ転じる可能性が高まっていることも考えるならば、ドル円の地合いは強い。

今日以降の米経済指標で景気のソフトランディング期待がさらに高まれば、ドル円は154円台へ上昇することが予想される。154円台で底固めとなれば、155円を視野に上げ幅が拡大する展開を想定しておきたい(下の日足チャート、赤ラインを参照)。

ドル円のチャート:日足 2024年7月以降

ドル円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

今日以降は米経済指標にらみの展開に

こちらのIG為替レポート「ドル円の週間見通し 衆院選後のシナリオ、一過性の円高を警戒も結局は米国の経済指標次第」で述べたとおり、今週は重要なアメリカの雇用関連指標が発表される。

今日は9月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数が発表される。市場予想は800.0万件と、前月の804.0万件から求人件数が減少する見通しにある。8月と同じく予想に反して増加する場合は、米ドル買いの要因となろう。

米国 JOLTS求人件数の動向:23年9月以降

米国JOLTS求人件数の動向:23年9月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

また、本日は10月の消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)も発表される。市場予想は99.5と、前月の98.7から消費者マインドが改善する見通しにある。

期待指数の内容にも注目したい。消費者信頼感指数が予想以上となり、期待指数が景気判断の分かれ目である「80」以上を維持する場合は、消費者マインドの強さが各市場で意識されよう。

アメリカ経済の土台である個人消費の底堅さが確認される場合は、米ドル高の要因になり得る。

米国 消費者信頼感指数:23年10月以降

米国 消費者信頼感指数:23年10月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成


トルコリラ円の見通しとチャート分析

対トルコリラでも円の下落幅が拡大

月初来の円相場の騰落率を確認すると、対米ドルで円安が進行していることが分かる。注目すべきは、対トルコリラでも円の下落幅が拡大していることである。

トルコリラは対米ドルで最安値圏にある。そのトルコリラに対して円が売られている状況は、それだけ現在の円安圧力が強いことを示唆している。

円相場の騰落率:10月1日~28日

円相場の騰落率:10月1日~28日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成

2つの重要なテクニカルライン

円安の進行とそれに伴うドル円(USD/JPY)の上昇で、トルコリラ円(TRY/JPY)は現在、2つの重要なテクニカルラインの攻防が焦点となっている。

ひとつは、一目均衡表の雲の上限である。昨日はこのテクニカルラインの手前で反落し、日足ローソク足で長い上ヒゲが現れた(下一目チャート、緑矢印を参照)。

トルコリラ円のチャート:日足 2024年7月以降

トルコリラ円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

もうひとつの重要なテクニカルラインは、7月にレジスタンスとして相場の反発を止めた経緯のある100日線である(下の日足チャート、青矢印を参照)。下の日足チャートを見ると、雲の上限とともにレジスタンスのラインとして昨日の上昇を止めたことが分かる。

一目均衡表の遅行線が日足ローソク足の上で推移している(上の日足チャート、紫のラインを参照)。この動きは、トルコリラ円(TRY/JPY)の地合いの強さを示唆している。

このような状況のなか、今週の米経済指標がドル円(USD/JPY)の上昇要因となれば、トルコリラ円は上で取り上げた2つのテクニカルラインを突破することが予想される。

トルコリラ円が10月28日の高値レベル4.482をも一気にブレイクアウトすれば、4.50台の攻防へシフトする展開を想定しておきたい。このケースでは、7月3日の高値と9月16日の安値の半値戻しの水準4.535レベルのトライが視野に入ろう(下の日足チャートを参照)。

トルコリラ円のチャート:日足 2024年7月以降

トルコリラ円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

下落の局面では10日線の維持が焦点に

一方、今日以降の米経済指標でさえない内容が続けば、米ドル高を調整する“口実”に使われることが予想される。米ドル安はドル円(USD/JPY)の反落要因となろう。

トルコリラ円の日足RSIは短期的な相場の過熱感を意識する水準に到達している(上の日足チャート、紫の矢印を参照)。さえない経済指標でドル円が下落する場合は、トルコリラ円(TRY/JPY)もその動きに追随しよう。

トルコリラ円が下値をトライする局面では、サポートラインとして意識されている10日線の維持が焦点となろう(上の日足チャート、緑ラインを参照)。現在サポートラインとして意識されている4.400の下方ブレイクは、10日線をトライするサインと捉えたい。

トルコリラ円が10日線をも下方ブレイクする場合は、直近1ヶ月の高安のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準4.344レベルのトライが焦点に浮上しよう。このテクニカルラインは、レジスタンスからサポートへ転換する可能性がある(上の日足チャート、グレーラインを参照)。


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