注目のETF (上場投資信託)5選
ETF(上場投資信託)の市場価値は、1990年代から大幅に成長しています。この記事では、長期金利に左右される不動産や国債、ロボティックスや人工知能(AI)など、注目のETF銘柄5選を紹介します。取り上げるETFは、運用資産額に基づいて選ばれています。
ETFとは?
ETF(上場投信信託)は、投資信託の分散性と株式取引の柔軟性を組み合わせたもので、1990年代に登場してから人気を博しています。LSEG リッパーの試算によると、2024年4月末時点でETF業界が運用していた資産総額は約11.9兆ドルに上り、その大半を占める9.25兆ドルが株式ETFで保有されていました。
ETFは市場と連動して値動きする金融商品の一種です。この市場には株式、株式指数、債券、通貨、コモディティー(商品)などが含まれ、株と同じように株式市場で取引されます。また、低コストで特定の市場、セクター、資産クラスへのエクスポージャーを得ることができるうえ、投資先が分散されているため、リスクを抑えることもできます。
ETFの種類
1. 株式連動型ETF
日経平均株価やS&P500などの株価指数と連動するように値動きします。
2. 通貨連動型ETF
実際に通貨を購入することなく、外国為替市場へ投資できます。例えば、インベスコ・カレンシーシェアーズ日本円トラストは、日本円の値動きに投機することが可能です。
3. セクターETF
セクターやテーマ別ETFは、特定の国や地域、業界内のいくつかの企業への投資を可能とします。
4. コモディティーETF、天然資源ETF
コモディティーETFや天然資源ETFは、商品や資源自体ではなく原資産の価格に基づいて取引されるデリバティブ(金融派生商品)で構成されています。これにより、トレーダーは実物資産の保管や受け取りを気にすることなく取引ができます。
5. ESG(環境・社会・ガバナンス)ETF
ESG ETFは、ETFの分散性、流動性、低コスト性を維持しながらも、投資ポートフォリオをESGの価値観に沿うようにすることができます。
注目のETF銘柄5選
ここでは、注目のETF5銘柄をご紹介します。(特に表記がない限り、年初来のリターンと運用資産総額は2024年5月21日時点のものです。過去の値動きは将来の値動きを示すものではありません。)
-
バンガード・リアル・エステートETF(VNQ)
-
SPDRポートフォリオ米国長期社債ETF(SPLB)
-
ファースト・トラスト・ナスダックAIアンド・ロボティクスETF(ROBT)
-
ヴァンエック医薬品ETF(PPH)
-
Amundi MSCI Japan UCITS ETF(LCJD)
バンガード・リアル・エステートETF(VNQ)
2022年3月から始まった米長期金利の引き上げは、世界最大である同国の不動産市場に大きな影響を与えました。米連邦準備制度理事会(FRB)が方針を転換し、長期金利を引き下げるとの見方が強まっている今こそ、米国の不動産に幅広く投資するチャンスかもしれません。
不動産投資信託(REIT)は、収益を生み出している賃貸物件のポートフォリオです。REIT取引は主要な証券取引所で行われており、米国法によって課税対象となる純利益の90%以上を株主に分配することが義務付けられています。
バンガード・リアル・エステートETFの運用資産総額は、第2位のREITを10倍以上引き離して第1位となっています。最大の組入銘柄は、158の銘柄に投資するバンガード・REIT・インデックス・ファンドです。他の組入銘柄には世界最大の産業用不動産会社であるプロロジス(PLD)、大手データセンターREITであるエクイニクス(EQIX)、米国で最も多くショッピングモールを保有しているサイモン・プロパティ・グループ(SPG)などがあります。
同ファンドの管理手数料は0.12%で、四半期ごとに配当収入、資本分配金、キャピタルゲインを支払っています。
設定日:2004年9月23日
運用資産総額:594億ドル(4月30日時点)
組入銘柄数:158
組入上位6銘柄とその割合:Vanguard Real Estate II Index Fund Institutional Plus Shares(13.1%)、プロロジス(6.46%)、アメリカン・タワー(5.48%)、エクイニクス(4.46%)、ウェルタワー(3.54%)、サイモン・プロパティ(3.14%)
SPDRポートフォリオ米国長期社債ETF(SPLB)
SPDRポートフォリオ米国長期社債ETFは金融機関のステート・ストリート(STT)によって運用されています。この銘柄もFRBによる長期金利引き下げの恩恵を受ける可能性があるETFの一つです。JPモルガン・チェースのストラテジスト(投資戦略担当者)はブルームバーグニュースで、今年中に2回の利下げが行われる可能性に向け、大手投資信託20社の運用担当者が高格付けの長期社債を「買い込んでいる」と発言しました。
同ETFは、満期が10年以上の米国社債のパフォーマンスを測るBloomberg Long U.S. Corporate Indexと連動しています。また、同ETFには、投資適格、固定金利、課税対象、額面3億ドル以上の米ドル建てなどの条件を満たした債権が含まれており、米国内外の産業・ユーティリティ企業や金融機関がこれらの債権を発行しています。
設定日:2009年3月10日
運用資産総額:7億6913万ドル
総経費率:0.04%
組入銘柄数:2,872
組入上位5銘柄とその割合:アンハイザー・ブッシュ・インベブ(0.44%)、ステート・ストリート(0.37%)、CVSヘルス(0.36%)、ファイザー (0.31%)、アッヴィ(0.3%)
ファースト・トラスト・ナスダックAIアンド・ロボティクスETF(ROBT)
ファースト・トラスト・ナスダックAIアンド・ロボティクスETFは、ナスダックCTA・AI&ロボティクス指数と連動しています。同ETFに組み込まれるための条件には、ロボティックスや人工知能(AI)の分野で大きな役割を果たしていること、証券価値の時価総額が2億5000万ドル以上あること、流動性が高いことがあげられます。
同ETFの組入銘柄には、サイバーセキュリティ企業のダークトレース(DARK)やパロアルトネットワークス(PANW)、自動運転の開発を手掛けるモービルアイ、防衛技術を提供するキネティック(QQ)、ドローン会社のエアロヴァイロンメント(AVAV)などがあります。
設定日:2018年2月21日
運用資産総額:5億4948万ドル
組入銘柄数:108
組入上位7銘柄とその割合:ダークトレース(2.95%)、エアロヴァイロンメント(2.69%)、ヴァレオ(2.08%)、モービルアイ・グローバル クラスA(1.97%)、ブラックベリー(1.96%)、パロアルトネットワークス(1.8%)、キネティックグループ(1.76%)
ヴァンエック医薬品ETF(PPH)
ヴァンエック医薬品ETFは、製薬業界で最も流動性が高い大手企業をトラッキングする、MVIS US Listed Pharmaceutical 25 Indexと連動するようにできています。
同ファンドが多く保有しているイーライリリー(LLY)とノボノルディスク(NVO)の業績と株価は、肥満病と糖尿病の治療薬が成功を収めたおかげで急騰しています。
設定日:2011年12月20日
運用資産総額:5億7239万ドル
総経費率:0.36%
年初来から5月20日までのリターン:11.67%
組入銘柄数:26
組入上位10銘柄とその割合:イーライリリー(11.87%)、ノボノルディスク(9.78%)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(6.39%)、メルク(6.2%)、アストラゼネカ(5.86%)、アッヴィ(5.5%)、ノバルティス(5.02%)、マケッソン(4.8%)、ファイザー(4.68%)、グラクソ・スミスクライン(4.67%)、ハレオン(4.56%)、サノフィ(4.53%)
Amundi MSCI Japan UCITS ETF(LCJD)
Amundi MSCI Japan UCITS ETFは、MSCI ジャパン・トータルリターン・ネット・インデックスと連動するようにできています。同ファンドは日本の浮動株調整後時価総額の約85%をカバーしており、年間の手数料は0.12%です。
設定日:2018年2月28日
運用資産総額:6471億円
年初来から5月17日までのリターン:18.14%
組入銘柄数:217
組入上位5銘柄とその割合:トヨタ自動車(5.92%)、東京エレクトロン(2.89%)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(2.81%)、ソニーグループ(2.73%)、キーエンス(2.37%)
これらの銘柄を取引するには
IG証券では、ETF(上場投資信託)をCFDでお取り引きいただけます。個人投資家に人気の日経平均連動型ETFを始め、米国の各種株価指数ETFや商品(コモディティ)ETFなど、世界中の多様なETF銘柄をご用意しております。
- 取引システムにログインし、個別株口座を選択します。
- 次に、取引したい銘柄名を検索し、取引チケット上で「買い」または「売り」を選択します。
- ロット数を選択し、「注文確定」で取引を確定します。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。