マグニフィセントセブンと半導体株が総崩れ　ナスダックは22年9月以来の下落率　目先の見通しは？

記事のポイント

・25日の株式市場では、マグニフィセントセブンと半導体株が総崩れとなった
・米長期ゾーン利回りの反発とラッセル2000へのローテーションが続いている
・ナスダック100は下落相場を警戒する局面にある
・反発の局面では、19,500の攻防に注目したい

ナスダック100のチャート水準

レジスタンスの水準

・19,993：21日線（25日時点）
・19,500：レジスタンスラインへの転換
・19,482：7月25日の高値

サポートの水準

・18,855：75日線（25日時点）
・18,832：半値戻し
・18,674：100日線（25日時点）
・18,393：フィボナッチ・リトレースメント61.8％

総崩れのマグニフィセントセブン

23日（日本時間24日早朝）、マグニフィセントセブン（壮大な7銘柄）に名を連ねるテスラ（TSLA）とアルファベット（GOOGL）が第2四半期の決算を発表した。

1株利益（EPS）がアナリストのコンセンサス予想を下回ったテスラの株価は、23日取引終了後の時間外で下落した。その流れは24日の株式市場に引き継がれ、同社の株価は12％下落した。

一方、アルファベットは5四半期連続で増収増益となった。しかし、投資家に今の株価を正当化できるほどの内容を示すことができなかったと評価され、テスラと同じく決算発表後の時間外で株価が下落した。24日の株式市場でも売りが続き5％安となった。

テスラとアルファベットの売りは、他のマグニフィセントセブンにも及び、25日は総崩れとなった。

マグニフィセントセブンのパフォーマンス：7月24日

主力の半導体株も総崩れ

マグニフィセントセブンだけではない。25日のアメリカ株式市場では、エヌビディア（NVDA）をはじめとした主力の半導体株も総崩れとなった。

SOX指数（フィラデルフィア半導体株指数）は前日比で5.4％安と、主要な株価指数の下落率を上回った。

主力の半導体株と株価指数のパフォーマンス：7月24日

反発基調にある米長期金利

米債市場では現在、長期ゾーンを中心に利回りが反発の基調にある。この動きは、11月のアメリカ大統領選挙でのトランプ氏の勝利と、それに伴うインフレリスクの再燃、そして財政が悪化する可能性を意識した動きと考えられる。

アメリカの長期ゾーン利回り：1時間足 7月15日以降

出所：TradingView

高値圏を維持するラッセル2000

そして、中小型の代表的な指数ラッセル2000（RUT）は調整売りに直面しながらも、高値圏での攻防を維持している。この動きは、良好な中小型株へ資金がシフトし続けている状況を示唆している。

言い換えれば、今のアメリカ株式市場では割高感のあるハイテク株や半導体株から、中小型株へのローテーションが続いていることを示唆している。

ラッセル2000のチャート：日足 今年3月以降

出所：TradingView

ナスダック100の見通し

下落相場を警戒

これまで株高をけん引してきたマグニフィセントセブンと半導体株が総崩れとなったことを受け、ハイテク株比率の高いナスダック100（NDX）は25日、50日線を難なく下方ブレイクし、19,000ポイントを視野に下落幅が拡大した。率にして3.65％安。2022年9月以来の下落率となった。

7月10日の高値（終値ベース）から短期間で約8％下落している状況を考えるならば、ナスダック100は調整の反発を意識する局面にある。

しかし、日足のMACDとRSIはナスダック100の弱気相場に勢いがあることを示唆している（下の日足チャート、赤矢印を参照）。上で述べた米長期ゾーン利回りの反発基調とラッセル2000（RUT）の動向も考えるならば、新たな下値の水準が定まるまで、ナスダック100は下落相場を警戒する局面にある。

ナスダック100のチャート：日足 今年4月以降

出所：TradingView

目先のサポート水準は？

今日以降もナスダック100（NDX）が下値をトライする場合は、19,000ポイントを完全に下方ブレイクするだろう。

テクニカルの面で18,800ポイント台の攻防に注目したい。18,855レベルには75日線が推移している（下のチャート、オレンジラインを参照）。18,832ポイントは、4月安値と7月高値の半値戻しの水準にあたる。

ナスダック100が18,800ポイントを完全に下方ブレイクする場合は、18,600ポイントの維持が焦点として浮上しよう。18,674レベルには100日線が推移している（下のチャート、緑ラインを参照）。この移動平均線の下方ブレイクは、18,600ポイントをトライするシグナルと想定したい。

ナスダック100が100日線をも下方ブレイクする場合は、18,400ポイント台まで下落幅が一気に拡大する展開を想定しておきたい。テクニカルの面ではフィボナッチ・リトレースメント61.8％の水準18,393の攻防に注目したい。この水準はレジスタンスからサポートのラインへ転換する可能性のある重要なチャートポイントである。

ナスダック100のチャート：日足 今年3月以降

出所：TradingView

反発局面での焦点は？

一方、ナスダック100（NDX）の反発局面では、19,500レベルの攻防に注目したい。この水準はサポートからレジスタンスのラインへ転換する可能性がある（上の日足チャート、赤ラインを参照）。昨日の高値19,482ポイントの上方ブレイクは、19,500レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。

ナスダック100がこの水準を上方ブレイクしても、節目の20,000ポイント下で推移している21日線が待ち構えている。この移動平均線は、レジスタンスラインへ転換する兆しが見られる（上の日足チャート、青矢印を参照）。よってこの移動平均線を完全に上方ブレイクするまでは、戻り売りを意識したい。