【アメリカ株】強気相場で迎えるFOMC、パウエル会見とハイテク決算で波乱も ナスダック100の週間見通し
今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見、そして大手ハイテク企業の決算が相次ぐ。これら重要イベントでハイテク比率の高いナスダック100は、上下に大きく振れる可能性がある。
記事の概要
今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。すでに利下げの見送りが織り込まれている。よって焦点は、今年前半の利下げパスとなろう。この点について市場参加者は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見で見極めようとするだろう。今週はマグニフィセントセブンに名を連ねる大手ハイテク企業の四半期決算が相次ぐ。FOMCとハイテク決算で今週のナスダック100は上下に大きく振れる可能性がある。週間の予想レンジは21,240-22,400。
目次
- 週次上昇、S&P500は最高値を更新、強気相場へ転じる米国株
- トランプ利下げ発言に反応、迫るFOMC、焦点はパウエルFRB議長の会見
- AI相場再燃の兆し、持続性はマグニフィセントセブンの決算次第
- ナスダック100の週間見通し
週次上昇、S&P500は最高値を更新、強気相場へ転じる米国株
米国株が強気相場へ転じている。先週の主要な株価指数は総じて上昇して終えた。23日までダウ平均は4日続伸の展開となり、週次の上昇率は2%超で主要指数のなかでトップだった。多くの機関投資家が運用のベンチマークにするS&P500は、昨年12月6日に付けた最高値(6090.27)を更新した。
先週はエネルギー以外のセクターがすべて上昇した。幅広い銘柄に買いが入った状況や10年債利回り(長期金利)が反発しても中小型株のラッセル2000が週次で上昇した状況は、米国株が再び強気相場へ転じていることを示唆している。
アメリカ株価指数の騰落率:1月20日~24日
出所:TradingView
トランプ利下げ発言に反応、迫るFOMC、焦点はパウエルFRB議長の会見
アメリカのトランプ大統領は先週23日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にオンラインで参加し、原油価格が下落すれば米連邦準備制度理事会(FRB)に対して利下げを要求する考えを示した。この発言にアメリカ株が上昇で反応したことは、FRBの利下げパスが重要なテーマの一つであることを示唆している。
そのFRBはインフレの再燃を警戒している。この点はウォラーFRB理事の発言に見て取れる。同氏は今月16日の米CNBCインタビューで、今年の前半に追加の利下げが行われる可能性に言及した。しかしインフレ次第という条件付きだった。
米債市場ではそのインフレ再燃への警戒心が強い。物価を含めた景気の動向を織り込んで動く10年債利回り(長期金利)は、4.5%の水準がレジスタンスからサポートのラインへ転換している。トランプ関税の影響によるインフレの再燃を意識した動きと考えることができる。
米国の10年債利回り:1時間足 1月9日~24日
出所:TradingView
今週のFOMCでは利下げの見送りが織り込まれている。よって焦点は、パウエルFRB議長の定例会見となろう。特にインフレの見通しについてどのような見解を示すのか?この点に注目したい。トランプ政策がインフレに与える影響を見極める姿勢-時間とデータが必要との姿勢をパウエルFRB議長が強調する場合、今年前半の利下げ期待が後退することが予想される。
短期金融市場では、今年前半の利下げ時期が徐々に後退している。1月24日時点では6月の利下げを織り込む状況にある。パウエルFRB議長の会見で6月利下げの期待までが後退すれば、高値圏にあるアメリカ株には調整売りの圧力が高まることが予想される。
FOMC 政策金利の予想推移
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / OISに基づく予想 / 1月24日時点
AI相場再燃の兆し、持続性はマグニフィセントセブンの決算次第
先週、米国株が強気相場へ転じたきっかけが人工知能(AI)相場の再燃だった。トランプ米大統領は21日、人工知能(AI)インフラを構築するための巨額投資計画を発表した。この計画を主導する日本のソフトバンクグループ、アメリカのオープンAIとオラクルは新会社「Stargate Project」の設立を発表した。今後4年間で最大5000億ドルを投資し、AI用のデータセンターなどを整備する計画という。このニュースを受け、関連銘柄の買いが米国株を支えた。
今週はマグニフィセントセブンに名を連ねるテスラ(TSLA)、メタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト(MSFT)そしてアップル(AAPL)が四半期決算を発表する。
今週もAI相場の株高が続くのかどうか?この点を見極めるうえで特にメタ、マイクロソフト、アップルの決算に注目したい。焦点はいずれも業績の見通し(ガイダンス)にある。巨額投資に見合うだけのガイダンスを示すことができれば、米国株を下支えするだろう。
ブルームバーグによれば、ハイテク企業の利益は約2年ぶりの低い伸びになることが予想されているという。利益成長が投資家の期待を下回る場合は調整売りを警戒したい。さえないハイテク決算に加え、パウエルFRB議長が追加の利下げに慎重な姿勢を示す場合、週後半の米国株は下落幅が拡大する可能性がある。
メタ、マイクロソフト、アップル 売上高と一株利益のアナリストコンセンサス
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 増加率:前年同期比
ナスダック100の週間見通し
パウエルFRB議長の会見は米金利を大きく動かす可能性がある。大手ハイテク企業の決算も相次ぐ。米金利と企業決算の影響を最も受けるのがハイテク株比率の高いナスダック100となろう。日足のMACD とモメンタムはナスダック100が強気地合いにあることを示唆している。FOMCを波乱なく通過し、ハイテク決算が投資家の期待に応える内容となれば、以下でまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。週間の予想レンジ上限は22,400。
・現在、フィボナッチ・エクステンション38.2%の水準21,964が相場の上昇を止めている。このテクニカルラインの突破は、22,000ポイント台へ上昇するサインとなろう
・ナスダック100が22,000ポイント台へしっかりと上昇する場合は、2024年の最高値22,133のトライが焦点に浮上しよう
・ナスダック100が昨年の最高値をも突破すれば、今週の予想レンジ上限22,400を視野に上昇幅の拡大を想定したい。テクニカルの面でこの水準はフィボナッチ・エクステンション50.0%の水準にあたる
レジスタンスライン
・22,404:フィボナッチ・エクステンション50.0%(日足)
・22,133:24年の最高値(日足、1時間足)
・21,964:フィボナッチ・エクステンション38.2%(日足)
ナスダック100の下落局面では、以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。週間予想レンジの下限は21,240(50日線)。パウエルFRB議長が追加の利下げについて慎重な姿勢を示し、かつハイテク決算もさえない内容となれば、週後半の米国株は下落幅の拡大と予想レンジの下限を瞬間的にトライする可能性があろう。
・現在、5日線がナスダック100のサポートラインとなっている。また、21,700がサポートラインへ転換する兆しが見られる(1時間足、黒矢印を参照)。下落の局面では、21,700ポイントの維持が最初の焦点となろう。この水準を維持する場合は、強気相場の継続を市場参加者に意識させよう
・ナスダック100が21,700ポイントを完全に下方ブレイクする場合は、2つのフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい(1時間足を参照)
・フィボナッチ・リトレースメント38.2%戻しの水準21,400をも下方ブレイクする場合は、2つの移動平均線の攻防が焦点に浮上しよう。50日線が推移している21,240レベルを今週の予想レンジの下限としたい
サポートライン
・21,707:5日線(日足、1/24時点)
・21,613:フィボナッチ・リトレースメント23.6%(1時間足)
・21,408:フィボナッチ・リトレースメント38.2%(1時間足)
・21,336:20日線(日足、1/24時点)
・21,242:50日線(日足、1/24時点)、予想レンジの下限
ナスダック100のチャート
日足:2024年9月以降
出所:TradingView
1時間足:2024年12月16日~2025年1月24日
出所:TradingView
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