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【米国株】CPIを通過、エヌビディア6%高もナスダック100は下落相場を警戒、株高のけん引役不在で

米国株は2月CPIを無難に通過した。しかし、トランプ関税による貿易摩擦の激化とその影響による景気減速の懸念が強まっている。株高のけん引役が不在の状況も考えるならば、ナスダック100の反発局面では戻り売りを警戒したい。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事の概要

2月の米消費者物価指数(CPI)は市場の予想を下回った。12日の市場では、ダウ平均を除いた米株価指数が上昇して終えた。今日は2月の生産者物価指数(PPI)と新規失業保険申請件数が材料視される可能性がある。インフレの鈍化と労働市場の堅調さが示される場合は、米株の続伸期待が高まろう。しかし、トランプ関税の不確実性と景気の減速が市場のテーマとなっている現状を考えるならば、米国株の反発局面では戻り売りを警戒したい。特に調整局面入りしているナスダック100は、反発局面での下落を警戒したい。


記事の焦点


米国株、2月CPIを無難に通過

米労働省が12日に発表した2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の伸びが2.8%と、1月の3.0%から鈍化した。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びも同比3.1%と、1月の3.3%から鈍化した。いずれもブルームバーグがまとめた市場予想2.9%、3.2%を下回った。

この日のアメリカ株価指数はダウ平均を除き上昇で終えた。特に主力ハイテク株とエヌビディア(NVDA)などの半導体株に買いが入り、ナスダックは総合指数と100指数でともに前日比1%超上昇して終えた。

アメリカ株価指数の動向:3月12日

アメリカ株価指数の動向:3月12日

ブルームバーグのデータで筆者が作成


次の焦点は2月生産者物価指数と新規失業保険申請件数

今日は2月の生産者物価指数(PPI)が発表される。CPIに続きインフレ再燃の懸念を後退させる内容となれば、米国株の買い要因となろう。

また、週間の新規失業保険申請件数も材料視される可能性がある。米連邦政府支出の大幅削減による混乱を受けても市場予想の22.5万件以下となり労働市場の堅調さが確認される場合は、景気不安の後退要因になり得る。インフレの鈍化と堅調な労働市場を示す内容となれば、一時的にせよ株価反発のムードが高まる展開が予想される。


高まる安全資産の買い需要、株価反発の局面では戻り売りを意識

しかし、トランプ米政権が推し進める関税政策は二転三転し、投資家の不安心理をあおっている。相手国の報復関税は貿易戦争が激化する懸念を高めている。また、インフレ再燃がくすぶる中で個人消費の縮小が経済指標で示され景気減速の懸念も高まっている。米国株を取りまくこれらの状況を考えるならば、単月や週間の経済指標でリスク回避ムードが一気に後退する可能性は低いだろう。

この点を示唆しているのが米債市場の動きである。2月のCPIは前月から鈍化した。市場予想も下回った。しかし、インフレ動向を反映して動く米10年債利回りは上昇した。トランプ関税によるインフレ再燃が意識されていることを示唆する動きである。また、1月中旬から始まった低下幅の拡大は、インフレ再燃の先にある景気の減速を意識した動きと考えることができる。一方、国際商品市況では、調整売りに直面していた金価格の上昇ムードが再び高まっている。

これら安全資産の買いが進行している状況を考えるならば、米国株の反発局面では戻り売りを警戒したい。特に調整局面入りしているナスダック100は、その可能性を強く意識したい。

米10年国債と金価格:4時間足 年初来

米10年国債と金価格:4時間足 年初来

出所:TradingView


ナスダック100の見通しと注目のテクニカルライン

株価を支える銘柄が不在
昨日の株高をけん引したのが半導体株だった。特にエヌビディア(NVDA)は前日比で6.4%高と、今年1月28日の9%高以来の上げとなり、マイクロン・テクノロジー(MU)(前日比7.4%高)とともにナスダック100を下支えした。

だが年初来の騰落率を確認すると、メタ・プラットフォームズ(META)以外のマグニフィセントセブンは総じて指数を下回り、かつ下落している。直近は反発しているエヌビディアの株価だが、年初来では13.8%下落する状況にある。指数のパフォーマンスを唯一上回るメタも2月中旬以降、下落トレンドへ転じている。

ハイテク株比率の高いナスダック100はマグニフィセントセブンの影響を受ける。そのマグニフィセントセブンが総崩れとなっている状況は、ナスダック100の持続的な反発を支える銘柄が不在であることを意味する。ゆえにナスダック100の反発局面では、戻り売りを警戒する状況にある。

マグニフィセントセブンと米株価指数の動向:年初来

マグニフィセントセブンと米株価指数の動向:年初来

出所:TradingView

反発の局面ではレジスタンスラインでの戻り売りを警戒
上で述べたとおり、現在はナスダック100の上昇をけん引する銘柄が不在である。加えて、テクニカルの面では短期サポートラインを下方ブレイクした後に下落相場の勢いが増し、5日線と10日線が200日線を下抜けデッドクロスへ転じている。これらの状況を考えるならば、経済指標が米株高の要因となっても、一時的な買い戻しの材料で終わる展開を想定したい。

10日のIG米国株レポートでは、ナスダック100の週間予想レンジの上限を21,000ポイントと述べた。しかし、下落幅が急拡大し調整局面入りした状況を考えるならば、予想レンジの水準を20,260ポイントへ下方修正する。このラインには200日線が推移している。また、直近2週間の高安の半値戻しの水準にあたる。ナスダック100が20,260レベルをトライするサインとして、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。

・まずは19,700レベルの攻防に注目したい。このラインを挟んでフィボナッチ・リトレースメント23.6%戻し(1時間足)と5日線(日足)が展開している。これらテクニカルラインは、昨日の反発を止めた経緯がある

・ナスダックが5日線を完全に突破する場合は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準20,000ポイントの攻防が焦点に浮上しよう

・ナスダック100が20,000ポイント台へ上昇すれば、10日線の攻防を意識したい。この移動平均線の突破は、予想レンジの上限20,260ポイントをトライするサインと考えたい

レジスタンスライン
・20,265:半値戻し(1時間足)
・20,259:200日線(日足)
・20,150:10日線(日足)
・20,009:38.2%戻し(1時間足)
・19,731:5日線(日足)
・19,692:23.6%戻し(1時間足)

下落幅拡大なら19,000の維持が焦点に
一方、本日の米経済指標や明日の3月ミシガン大学消費者態度指数と期待インフレ率(速報値)が米株安の要因となれば、ナスダック100は上で述べたレジスタンスラインでの反落と下落幅の拡大を警戒したい。

10日のIG米国株レポートでは、週間予想レンジの下限を19,600ポイントと述べた。現状、ナスダック100はこのラインを下方ブレイクし、かつ11日に19,180ポイントまで急落した。これらの状況を考慮し、予想レンジ下限を19,000ポイントへ下方修正する。

ナスダック100が19,000ポイントをトライするサインとして、以下で取り上げた3つの安値水準の攻防に注目したい。19,180ポイントの下方ブレイクは、予想レンジの下限19,000ポイントをトライするサインとなろう。

サポートライン
・19,375:3月12日の安値(日足)
・19,243:3月10日の安値(日足)
・19,180:3月11日の安値(日足)
・19,000:予想レンジの下限(日足)


ナスダック100のチャート

日足:24年9月以降

日足:24年9月以降

出所:TradingView

1時間足:2月26日以降

1時間足:2月26日以降

出所:TradingView


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