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S&P500は連日で最高値更新、連続の大幅利下げ期待高まる、しかしさえない経済指標は諸刃の剣に

米国株が強気地合いを維持している。ダウ平均は4日続伸し、連日で過去最高値を更新した。S&P500種株価指数も2日連続で最高値を更新した。予想を下回る経済指標を受け、11月のFOMCでも0.5%の大幅利下げ期待が高まっている。しかし、さえない経済指標が続けば米国株とって「諸刃の剣」となろう。中小型株の動向を注視したい。S&P500の見通しは?

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記事のポイント

・利下げとソフトランディング期待でダウ平均とS&P500が連日で最高値を更新
・予想下回る経済指標を受け、11月のFOMCでも大幅利下げの期待が高まる
・しかしさえない経済指標が続けば、景気懸念を強める「諸刃の剣」となろう
・S&P500の見通しと注目のチャート水準について


ダウとS&P500は連日で最高値を更新

米国株が強気地合いにある。24日のアメリカ株式市場でダウ平均(DJI)は4日連続続伸し、前日比83.57ドル(0.20%)高の42,208.22ドルと連日で過去最高値を更新した。

一方、多くの機関投資家が運用のベンチマークにするS&P500種株価指数(S&P500)は前日比14.36(0.25%)高の5,732.93ポイントと、2日連続で過去最高値を更新した。株高の土台となっているのが、市場が抱く米利下げペースの思惑にある。

連続の大幅利下げに賭ける市場

短期金融市場では、米連邦準備制度理事会(FOMC)の利下げペースが速まる可能性を強く意識する状況にある。

今週に入りさえない経済指標が続いていることで、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.5%の大幅利下げの確率が80%台まで上昇している。予想される政策金利の水準は4.4%台である。そして今年12月末までにパウエルFRBが政策金利を4.0%台まで引き下げる可能性も織り込み始めている。

現在の政策金利の水準が4.75~5.00%であることを考えるならば、3会合連続でパウエルFRBが大幅利下げ(0.5%の利下げ)に踏み切る可能性が意識され始めている。

FOMC 政策金利の予想推移

FOMC 政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / OISに基づく予想推移、25日12時時点

さえない経済指標は「諸刃の剣」

9月時点でFOMCの参加者が予想する今年12月末の政策金利の予想水準(中央値)は4.4%である。

また、FRBの高官からは今後の利下げについて慎重に進める意見が聞かれる。ボウマン理事は24日、インフレリスクに言及し慎重に利下げを進める必要があるとの見解を示した。また、ネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は23日、年内残り2回の会合で計0.5%の利下げを予想した。

9月のドットプロットとFRB高官の発言を考えるならば、11月のFOMCで政策金利が4.4%の水準に達する現在の市場予想は、かなり緩和的であることが分かる。

市場の緩和スタンスが強まっている要因は、さえない米経済指標にある。9月の購買担当者景気指数(PMI)速報値は総合、製造業そしてサービス部門が8月から低下した。特に製造業の落ち込みが顕著となっている。

米国 購買担当者景気指数(PMI):2021年9月以降

米国 購買担当者景気指数(PMI):23年9月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

そして個人消費の先行指標として注目される9月の消費者信頼感指数は98.7と、前月の105.6から低下した。低下幅は2021年8月以来で最大となった。期待指数も前月の82.5から81.7へ低下した。景気後退のサインとなる「80」以上を維持したが、今後6カ月の業況判断では、改善が8月の19.10から18.50に低下する一方、悪化が14.50から16.60に拡大した。

米国 消費者信頼感指数:23年9月以降

米国 消費者信頼感指数:23年9月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

さえない経済指標は、11月FOMCでの大幅利下げの期待を高める要因となっている。現在はこの利下げ期待が、米株高の要因として意識されている。

しかしさえない経済指標、特に企業活動や個人消費に関連した経済指標で市場予想を下回る内容が続けば、景気懸念が再燃する要因となる。このため、さえない経済指標は米国株にとって「諸刃の剣」である。

明日は週間の新規失業保険申請件数が発表される。アメリカの労働市場は堅調さを保ちながら、緩やかな軟化の傾向にある。しかし、新規失業保険申請件数をはじめとした雇用関連の指標でパウエルFRBが危惧する急速な冷え込みのサインが確認される場合は、個人消費の縮小懸念を市場参加者に想起させるだろう。

個人消費はアメリカ経済の土台である。ゆえに、この点で市場の懸念が高まる場合、米国株はパウエルFRBの大幅利下げの効果よりも景気懸念の方を強く意識するだろう。

景気懸念をはかる重要指標は中小型株

アメリカの株式市場で景気懸念が再燃するのかどうか?この点を考えるうえで重要な指標となるのが、23日のIG米国株レポート「米株高維持の鍵は中小型株に、経済指標でソフトランディング期待が高まるか?S&P500の見通し」で取り上げた中小型株の動向である。

その代表的な株価指数であるラッセル2000は先週、主要なアメリカ株価指数の中で最も上昇した(23日のレポートを参照)。しかし、月初来の騰落率は0.29%高と、他の株価指数と比べて未だ上昇が限定的である。株高の裾野が広がるかどうかは、米株高の維持の重要な焦点だが、今のことろそのムードは高まっていない。

アメリカ株価指数の騰落率:月初来

アメリカ株価指数の騰落率:月初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 9月2日~24日までの騰落率

上値の重いラッセル2000

日足チャートでラッセル2000のトレンドを確認すると、ダウ平均S&P500とは対照的に、連日の陰線引けで反落の基調にある。

10日線や50日線を上回る水準で推移しており、現在の反落相場は調整の域におさまっている。しかし、ラッセル2000がこれら2つの移動平均線、特に後者の50日線を再び下回る場合は、FRBの利下げよりも景気懸念が意識される状況に転じている可能性がある。

来週は9月のISM製造業・非製造業景気指数や同月の雇用統計が発表される。これら重要指標で弱い内容が続けば、「炭鉱のカナリア」として市場の変調を先取りするラッセル2000の下落幅が拡大することで、市場の不安心理が再び高まる可能性がある。

一方、景気懸念を後退させる内容が続く場合、ラッセル2000はレジスタンスポイントの2,560レベルを突破し、7月の高値水準2,300ポイントを目指すことが予想される。

問題は、後者の水準2,300ポイントの攻防である。強い経済指標が続いてもラッセル2000が7月の高値を突破できない場合は、市場参加者が中小型株に懐疑的あることを示唆することになろう。その主因として考えるられるのが景気懸念である。将来の景気動向について市場参加者の思惑今どこにあるのか?この点を知るうえで、ラッセル2000は重要な指標の一つである。

ラッセル2000のチャート:日足 2024年7月以降

ラッセル2000のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

強気地合いのS&P500、5,800が視野に

S&P500の日足チャートでは10日線(短期)、50日線(中期)、200日線(長期)の移動平均線が上から順に並び、かつ上昇基調のパーフェクトオーダーとなっている。そして日足チャートのMACDはゼロラインより上の水準で上昇基調を維持している。いずれもS&P500の強気地合いを示唆している。

目先の焦点は、23日のIG米国株レポートで取り上げたフィボナッチ・エクステンション61.8%の水準5,731レベルのブレイクアウトである。これを達成する場合は、もうひとつのフィボナッチ・エクステンション261.8%の水準5,796レベルのトライが視野に入るだろう。後者のテクニカルラインの攻防は、S&P500が5,800ポイント台へ上昇できるかどうか?を見極める重要なレジスタンス水準である。

S&P500が5,800ポイント台へしっかりと上昇する場合は、さらなる上値トライのシグナルと捉えたい。

S&P500のチャート:日足 2024年7月以降

S&P500のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

反落局面での焦点は5,600の維持

日足のRSIは買われ過ぎの水準付近まで上昇している(上の日足チャートを参照)。デッドクロスが確認される場合は、調整の反落相場を想定しておきたい。目先そのきっかけとなるのが、週間の新規失業保険申請件数や来週の重要指標である。中小型株にまで株高のすそ野が広がらない状況で景気懸念を想起させる経済指標が続けば、主力の大型株にも再び売り圧力が強まることが予想される。

S&P500の反落局面では、5,700ポイントの維持が目先の焦点となろう。だが、さえない経済指標で景気懸念が再び意識される場合は、5,600ポイント台へ下落する展開を予想する。このケースで注目したいのが、「サポート転換」が確認された2つのチャート水準と10日線の攻防である。

前者のサポート転換した水準を下の1時間チャートで確認すると、5,670レベルと5,609レベルが浮上する。5,670レベルは今年の7月高値の水準である。高値水準のサポート転換は、さらなる上昇シグナルになり得る。

一方、5,609ポイントは、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる。S&P500がこの水準をトライするシグナルとして注目したいのが、10日線である。この移動平均線は5,652レベルで推移している(9月24日時点)。S&P500が10日線を下方ブレイクする場合は5,609レベルのトライ、つまり5,600の維持が焦点に浮上する展開を想定しておきたい。

S&P500のチャート:1時間足 9月9日以降

S&P500のチャート:1時間足 9月9日以降

出所:TradingView

1時間足のMACDはじわりと低下している。RSIは日足と同じく買われ水準の水準付近にある。MACDがデッドクロスへ転じゼロラインを下回る場合は、調整の反落圧力が高まっているサインとなろう。RSIでもデッドクロスが確認される場合は5,700ポイントの下方ブレイクと、上で取り上げたサポート水準の攻防に注目したい。


S&P500のチャートポイント

レジスタンスの水準

・5,800:レンジスタンスポイント
・5,796:エクステンション261.8%
・5,731:エクステンション61.8%

サポートの水準

・5,670:サポート転換の水準、7月16日の高値
・5,652:10日線(9/24)
・5,609:サポート転換の水準、リトレースメント38.2%



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