【米国株】トランプ関税に対する長期金利の反応を注視、ネットフリックス決算にも注目、ナスダック100の見通し
今週の米国株も長期金利にらみの展開が予想される。個別銘柄では21日に4Q決算を発表するネットフリックスに注目したい。ナスダック100の見通しについて。
記事の概要
ドナルド・トランプ氏が第47代のアメリカ大統領に就任した。就任初日の関税発動は見送られるとの報道が見られる。今のアメリカ株式市場はインフレの再燃を警戒している。ゆえに今週も長期金利にらみの展開が続こう。個別銘柄では、21日に第4四半期決算を発表するネットフリックスに注目したい。長期金利とネットフリックスの決算はナスダック100のトレンドに影響を与えるだろう。今週の予想レンジは20,650-22,000。
トランプ大統領、米国第一を掲げる演説、主要政策の大統領令署名へ
1月20日正午(日本時間21日午前2時)、共和党のドナルド・トランプ氏が第47代のアメリカ大統領に就任した。30分間の就任演説の冒頭でアメリカの黄金時代が今から始まると述べ、多くの大統領令に署名すると宣言した。トランプ米大統領が演説で言及した以下のことは、今後の米国株のトレンドを大きく左右するだろう。
トランプ米大統領の就任演説
・不法移民対策の非常事態を宣言し、メキシコとの南部国境に軍隊を派遣する
・国家エネルギー緊急事態を宣言して化石燃料を増産すること、グリーン・ニューディール政策を終わらせる
・電気自動車(EV)の義務化を取り消す
・貿易政策では他国を潤すために米国民に課税するのではなく、アメリカ国民を潤すために外国に関税を課す、この目的を果たすため「外国歳入庁」を新設する
まずは米金利の反応を注視
ブルームバーグによれば、トランプ米大統領は対中関税について就任初日に発動しない見通しと報じた。ロイター通信も就任初日の関税発動見送りを報じた。しかしトランプ氏は公約どおり、関税の強化に踏み切るだろう。これはインフレ再燃につながる。
20日のIG米国株レポートでは、今週の米国株も長期金利にらみの展開になると述べた。21日以降の米債市場がトランプ米大統領の演説と政策動向に対してどのような反応を見せるのか?まずはこの点を確認したい。
昨年12月の消費者物価コア指数(CPI)の鈍化を受け、米長期金利の上昇が抑制されている。今週もこの状況が続けば、米国株は反発基調を維持することが予想される。一方、インフレ再燃が意識される場合は米長期金利の反発を警戒したい。長期金利の上昇は米国株の割高感を意識させよう。
米10年債利回りの動向:1時間足 1月10日~17日
出所:TradingView
個別銘柄ではネットフリックスに注目、21日引け後に第4四半期決算を発表
前年同期比で増収増益の予想
個別銘柄では、21日の取引終了後に第4四半期(2024年10-12月期、以下4Q)の決算を発表するネットフリックス(NFLX)に注目したい。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では売上高が101.06億ドル、一株利益(EPS)が4.18ドルと、それぞれ前年同期比で14.42%増、98.18%増の見込みにある。
ネットフリックス 4Qの売上高と一株利益のアナリスト予想
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 2022年以降 / 赤の棒グラフ:第4四半期の予想
4Qも堅調な会員数の伸びが見込まれる
また、4Qの広告付きプラン会員数は2億9,000万人と順調な伸びが見込まれている。昨年クリスマスの強力コンテンツに支えられ純増数は917万人増と、第3四半期(3Q)の510万増を大幅に上回る見込みである。
ネットフリックス 会員数の動向
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 2020年以降 / 赤の棒グラフ:第4四半期の予想
焦点は業績の見通し
現在の米国市場の主要テーマは「インフレの再燃」にある。ゆえに米債市場では金利の上昇リスクがくすぶる。ゆえにネットフリックスの4Q決算がアナリスト予想を上回っても、2025年第1四半期(1Q)の業績見通しが投資家の期待を下回る場合、金利の上昇リスクを跳ね除けるだけの強さがないと思われ同社の株価は下落することが予想される。逆に4Q決算と25年1Qの業績見通しがともに投資家の期待を上回る場合、同社の株価は上昇することが予想される。
2025年第1四半期(1Q)の見通し
・一株利益(EPS):6.01ドル(前年同期比13.84%増)
・売上高:104.8億ドル(前年同期比11.84%増)
ネットフリックスの株価見通し
ネットフリックスの株価は現在、下落基調のトレンドチャネル内で推移している。しかし75日線で反発すると、短期の5日線が上昇基調へ転じている。MACDはゼロラインを下回る状況にあるが下げ止まっている。モメンタムはゼロラインを視野に反発ムードにある。21日の4Q決算が投資家の期待を上回る場合は、トレンドチャネルの上方ブレイクを想定したい。このケースでは50日線のトライそして突破が焦点となろう。
株価が50日線を突破する場合は900ドルのトライが焦点に浮上しよう。直近高安のフィボナッチ・リトレースメント半値戻しと61.8%戻しの突破は、900ドルをトライするサインと捉えたい(日足、緑ラインを参照)。
一方、4Q決算が投資家の期待を下回る場合は、75日線(828ドル / 1月17日時点)の再トライを想定したい。昨年11月4日の安値と12月11日高値の61.8%戻しの水準823ドルとサポートゾーンを形成する可能性がある。
ネットフリックスの株価:日足 2024年10月以降
出所:TradingView
ナスダック100の見通しと注目のテクニカルライン
米長期金利の動向とネットフリックス(NFLX)の決算で大きく動くと予想されるのが、ナスダック100である。今週の予想レンジは20,650-22,000。長期金利の低下とネットフリックスの好決算が重なる場合は、予想レンジの上限を視野に上昇幅の拡大を想定したい。
・ネットフリックスと同じくナスダック100も下落基調のトレンドチャネル内で推移している。しかし、短期の5日線は上昇基調にありMACDはゴールデンクロスへ転じている。モメンタムはゼロラインを上回ってきた。強気地合いへ転じる兆しが見られるなかで米長期金利の低下基調が続けば、ナスダック100は先週17日の上昇を止めたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準21,523を突破するだろう
・21,523を完全に突破すれば、レジスタンスラインへ転換する可能性がある21,800のトライが次の焦点となろう。1月6日の高値21,703の突破は21,800をトライするサインと捉えたい
・米長期金利の低下とネットフリックスの好決算が重なる場合は、ナスダック100の上昇幅が拡大することが予想される。21,800をも難なく突破する場合は、フィボナッチ・エクステンション38.2%の水準21,946のトライが焦点に浮上しよう。このテクニカルラインの突破は、週間予想レンジの上限22,000をトライするサインと捉えたい
レジスタンスライン
・22,000:レジスタンスライン(1時間足)
・21,946:フィボナッチ・エクステンション38.2%(日足)
・21,800:レジスタンスラインへ転換する可能性あり(1時間足)
・21,703:1月6日の高値(1時間足)
・21,523:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(1時間)
「トランプ関税→インフレ再燃」があらためて意識され米長期金利に再び上昇の圧力が高まる場合は、ナスダック100の下落要因となろう。下値を目指す局面では、以下のサポートラインの攻防に注目したい。
・21,330と21,000はサポートラインへ転換する可能性がある。21,000の上には50日線と5日線が推移している。ナスダック100の下落局面では21,000台の維持が最初の焦点となろう。21,000を維持する場合は、地合いの強さが戻りつつあることを市場参加者に印象付けよう
・米長期金利の上昇幅が拡大し、ネットフリックスの決算が投資家の期待を下回る場合、ナスダック100は89日線を視野に下落幅が拡大する可能性がある。この移動平均線は先週17日時点で20,650にある。この水準を週間予想レンジの下限と想定したい
サポートライン
・21,330:サポートラインへ転換する可能性あり(1時間足)
・21,165:50日線(日足、1/17時点)
・21,062:5日線(日足、1/17時点)
・21,000:サポートラインへ転換する可能性あり(1時間足)
・20,653:89日線(日足、1/17時点)
ナスダック100のチャート
1時間足:2024年12月11日以降
出所:TradingView
日足:2024年8月以降
出所:TradingView
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