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縮小する米株高の土台、それでも上値を目指すナスダック100、焦点は米雇用統計

最高値圏の攻防を維持する米国株。ナスダック100(NDX)は米金利の低下とエヌビディア(NVDA)の上昇が追い風となり19,000ポイント台の攻防へシフトしている。しかし、現在の米株高には危うさも見られる。今日の米雇用統計(5月)でナスダック100は上下に大きく振れる展開が予想される。注目のチャート水準は?

Source:Getty Images Source:Getty Images

サマリー

・徐々に縮小していく米株高の土台
・短期サポートラインを下方ブレイクしたラッセル2000
・焦点は5月の米雇用統計、2ヶ月連続で労働市場の軟化を示すか注目
・強気相場を維持するナスダック100、次のレジスタンスポイントは?


徐々に縮小していく米株高の土台

「2強」状態のS&P500指数セクター

米国株は調整の反落を挟みながらも、高値圏での攻防を維持している。

しかし、今の株高は危うさを内包している。そう考える理由の一つが、徐々に縮小している米株高の土台にある。

この点をS&P500種株価指数(SPX)のセクター別パフォーマンス(年初来)で確認すると、アルファベット(GOOGL)が属するコミュニケーション・サービス、そしてエヌビディア(NVDA)などの主力半導体株が属する情報技術のみが上昇する状況にある。

対照的に他の9業種の上昇幅は抑制される状況にある。つまり現在米株高は、2つのセクターに依存する状況にあると言える。

S&P500種株価指数 セクター別パフォーマンス:年初来

S&P500種株価指数 セクター別パフォーマンス:年初来 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成


マグニフィセント「7」から「1」へ

23年以降、米国株式市場の主要なテーマは「AI相場」である。これを象徴する銘柄が、大手半導体のエヌビディア(NVDA)を筆頭に主力のハイテク株で構成された「マグニフィセントセブン(壮大な7銘柄)」である。

しかし、直近のマグニフィセントセブンのパフォーマンスを見ると、もはや「7(セブン)」ではなく、エヌビディア1強の「1(ワン)」の状況になりつつある。

テスラに至っては、年初からマイナス圏での推移が続き、もはや「マグニフィセントセブン(壮大な7銘柄)」のカテゴリーから脱落するムードにある。

エヌビディアが崩れたら株高をけん引する壮大な銘柄が不在となる-今の状況はこのリスクが水面下でくすぶっていることを示唆している。

マグニフィセントセブンのパフォーマンスチャート:年初来

マグニフィセントセブンのパフォーマンスチャート:年初来 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

短期サポートラインを下方ブレイクしたラッセル2000

中小型株で構成されるラッセル2000(RUT)は4日、2つの重要なテクニカルライン、50日線と短期サポートラインを下方ブレイクした。日足のMACDはデッドクロスの状況へ転じ、ゼロラインへ向かって低下している。

ラッセル2000は中小型株で構成されている。ゆえに、他の株価指数と比べて先行きリスクに敏感に反応する傾向がある。

4月下旬から発生した反発相場を象徴する短期サポートラインを完全に下方ブレイクしている状況は、株高のすそ野が縮小の傾向にあることを示唆している。

上で述べたS&P500のクターとマグニフィセントセブンの動向は、米株高の土台が次第に縮小している状況を示唆している。このタイミングでラッセル2000が100日線(6日時点で2,030レベル)をも難なく下方ブレイクする場合は、米株高の土台がさらに縮小することを意味する。

ラッセル2000のチャート:日足 23年12月以降

ラッセル2000のチャート:日足 23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成

米株高をサポートする米金利の低下

米株高の土台は縮小の傾向にある。しかし、米国株は高値圏での攻防を維持している。その要因のひとつが、米金利の低下である。

下のチャートでトレンドを確認すると、先月31日の4月個人消費支出(PCE)価格指数でインフレが抑制傾向にあることが確認されて以降、米金利は低下トレンドへ転じていることが分かる。

そして米金利の低下圧力を高めているのが、今月に入って発表された経済指標である。

3日の5月ISM製造業景気指数は48.7と市場予想の49.6を下回った。2か月連続で低下し、景気判断の分かれ目である「50」を下回る状況にある。

4日に発表された4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数も805.9万件と市場予想の835.0万件を下回り、前月も下方修正された(848.8万件→835.5万件)。

5日の5月ISM非製造業景気指数は53.8と4月の49.4から改善した。しかし内訳の内容を見ると、仕入価格が58.1と前月の59.2から低下した。市場予想の59.0も下回った。雇用指数は47.1と前月の45.9からは改善したが、市場予想の47.2を下回った。仕入価格の低下とサービス業の雇用指数が低迷する状況はインフレの抑制要因になり得る。

これら重要な経済指標の内容を受け、米国の10年債利回りは現在4.2%台まで低下している。一方、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは5.0%手前から4.7%台まで低下している。

米金利のチャート:15分足 4月30日以降


目先の焦点は5月の米雇用統計

市場参加者の関心は、今晩の米雇用統計(5月)に集中している。

現在の米国株は、連邦準備制度理事会(FRB)がいつ利下げを行うのか?この点が焦点となっている。ゆえに、5月の雇用統計で労働市場の堅調さを示す内容が確認される場合は、短期金融市場で意識されている9月利下げの可能性を後退させる要因となろう。米債市場では、利回りの上昇が予想される。

米株高の土台が細るなかで米金利までが上昇する場合、米国株は調整売りの圧力に直面することが予想される。

一方、4月に続き労働市場の軟化を示す内容が確認される場合は、9月の利下げ期待が高まるだろう。米債市場では、金利の低下幅がさらに拡大することが予想される。米金利の低下は株高の追い風となろう。

米国の雇用統計 各項目の動向:23年5月以降

米国の雇用統計 各項目の動向:23年5月以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:5月の市場予想

さらに上値を目指すナスダック100、注目のチャート水準

次の焦点は19,200レベルのトライ
エヌビディア(NVDA)の上昇と米金利の低下が下支え要因となり、ナスダック100(NDX)は19,000ポイント台へ到達し、最高値圏での攻防にある。

5月31日と6月3日の市場では長い下ヒゲがあらわれて急反発した(日足、下のチャート、黒矢印を参照)。今の地合いの強さを物語る動きである。この点は、上昇基調を維持する日足のMACDも示唆している(下のチャート、赤矢印を参照)。

5月の米雇用統計が労働市場の軟化を示唆する場合は、上で述べたとおり米国株を下支えする展開が予想される。

ナスダック100はフィボナッチ・エクステンション100%の水準19,189レベル(19,200レベル)のトライそして上方ブレイクが焦点となろう。このレジスタンスポイントはN計算値の水準でもある。ゆえに、ナスダック100が19,200レベルを完全に上方ブレイクする場合は、さらなる上値トライのシグナルとなろう。

昨日の高値19,072レベルの突破は、19,200レベルをトライするシグナルの一つと想定しておきたい。

ナスダック100のチャート:日足 年初来

ナスダック100のチャート:日足 年初来 TradingView提供のチャートで作成

下落の局面では18,700の維持が焦点に

ナスダック100(NDX)の上昇幅が拡大していることで、50日線との乖離が拡大している。今年に入り、50日線との乖離率が5%付近まで達するとナスダック100が反落するトレンドが見られる(上の日足チャートを参照)。

短期間で上昇幅が拡大してきた状況も考えるならば、5月の米雇用統計が米金利の上昇要因となる場合、ナスダック100は利益確定の売りに直面することが予想される。

このケースでは、レジスタンスの水準へ転換する可能性のある18,700レベルの維持が焦点となろう(下のチャートを参照)。

この水準(18,700レベル)を目指すシグナルとして、5~6日の高安で算出されるフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。全戻しの18,768レベルを完全に下方ブレイクする場合は、18,700レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。

ナスダック100が18,700レベルをも完全に下方ブレイク場合は、21日線(6日時点で18,576レベル)そして3月21日の高値水準18,465レベルを視野に下落幅の拡大を警戒したい(上の日足チャートを参照)。

分足や時間足で相場の過熱状況を確認し、これらオシレーター指標が買われ過ぎ(売られ過ぎ)の局面にる時、ナスダック100が上で取り上げたチャート水準をトライする場合は、反落(反発)する展開を意識したい。

ナスダック100のチャート:15分足 5月28日以降

ナスダック100のチャート:15分 5月28日以降 TradingView提供のチャートで作成

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