オーストラリアは4月に利上げを見送りか 2月の物価上昇率に落ち着き
オーストラリアの2月の物価上昇率が事前予想を下回った。RBAが4月4日の理事会で利上げを見送る可能性が高まっている。
オーストラリアの物価上昇が落ち着き始めた。オーストラリア統計局が29日に発表した2月の消費者物価指数の伸び率は前年同月比で6.8%。事前予想の7.1%を大きく下回り、オーストラリア準備銀行(RBA)が3月の理事会で示した「物価上昇はピークをつけた」との見方を裏付けた。RBAは4月4日に開く理事会で10回連続で続けてきた利上げを見送る可能性が高まっている。ただ、豪ドル相場はすでに利上げ停止を織り込んでいるもようで、次回理事会では今後の見通しが注目される。
2月の物価上昇率は6.8%
オーストラリアの物価上昇率は2021年夏ごろから高まり、2022年12月には8.4%まで上昇していた。2023年1月は7.4%で、2月の数字は2か月連続で物価上昇が鈍化していることを示した。統計局は資材価格の上昇が緩やかになっている結果、住宅関連価格の伸びが弱まったことを要因のひとつとして挙げた。価格が変動しやすい食品と果物、自動車燃料を除いた指数の伸び率は6.9%で、1月の7.5%から減速した。
RBAは3月7日に政策金利の0.25%利上げを決めた際の声明で、物価上昇がピークをつけたと指摘。今後の方針については「さらなる金融政策の引き締めが必要」と述べるにとどめ、2月の「今後数か月間はさらなる金利の引き上げが必要」との表現から弱めていた。金融市場では、10日に米国のシリコンバレーバンク(SVB)が破綻して金融システムへの不安が広がったこともあり、4月のRBA理事会では利上げが見送られるとの見方が強まっている。
豪ドル円相場は利上げ見送りを織り込み済み
豪ドルの対円相場は6日の段階では91円台で推移していたが、SVB経営破綻を挟んだ24日には86円台まで下落している。その後は買い戻され、2月の消費者物価指数の発表後も豪ドルは買われた。豪ドル円相場はすでにRBAの利上げ停止を織り込んでいるとみられる。
ただ、物価上昇率がRBAが目標とする2-3%を大きく上回っていることに変わりはなく、利上げ見送りが「一時停止」となる可能性もある。4月4日の理事会ではRBAが示す今後の見通しも焦点となりそうだ。
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