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「トランプ疲れ」から「バリュー」への目覚めか?

米国ウィークリー 2019年9月25日号

Source:Bloomberg
  • トランプ大統領のツイッターと日々揺れ動く米中貿易摩擦問題に一喜一憂してきた株式市場が、グローバル経済減速と金利低下が進む中、配当利回りなどの「バリュー」に目を向け始めているように見える。9/19-20に開催された次官級による米中貿易協議は9/20に中国代表団が予定を早めて帰国するなど進展が見られなかった。協議再開による合意期待が先行したもののトランプ大統領は「来年の大統領選前に合意する必要はない」、「部分合意ではなく、完全合意を求めている」と交渉を急がない姿勢を示し、それに呼応するかのように、ダウ工業株30種平均(NYダウ)も9/19に27,272ドルまで上昇後、9/23に26,831ドルまで下落するなど期待と失望で相場が振れやすい展開が続いている。
  • また、9/18にFOMCで政策金利が0.25%引き下げられ、併せてFRB保有資産の拡大を容認する姿勢も示された。米国経済は9/17発表の鉱工業生産指数(8月)、9/18発表の住宅着工件数(8月)、9/19発表の中古住宅販売件数、および9/23発表の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(9月)など足元の堅調さを示す指標が相次いだ一方、欧州では9/23発表のユーロ圏総合PMI速報値(9月)が市場予想を下回り、ドイツ総合PMI速報値(9月)が6年半ぶりに50を下回るなど製造業にとどまらないグローバル経済の景気後退リスクが意識された。米国政策金利が1.75-2.0%、米国債利回り(10年)は9/23現在で1.7%台となっているが、金利低下の進行および低金利が長期化するリスクも想定されよう。
  • 半導体関連株や中国などの売上比率が大きい銘柄は、トランプ大統領による予測が難しい追加制裁関税発表やツイッターでの突然の発表など状況が変わりやすい米中問題によって株価が影響を受け、「トランプ疲れ」によって買い意欲が減退しやすい面もあろう。その一方、「トランプ砲」による株価の下落が配当利回りの魅力を高めるプラスの面にも今後の注目が集まる可能性が出て来よう。9/23終値でNYダウ構成銘柄における今期予想の年配当利回り(予想はBloombergにもとづく)を見た場合、DOW IncDOWが5%を超え、IBMIBMベライゾン・コミュニケ―ションズVZエクソンモービルXOMも4%超である。更に、3MMMMシェブロンCVXファイザーPFE、およびウォルグリーン・ブーツ・アライアンスWBAも3%超える。将来の減配リスクについても注意を払う必要があるが、金利低下または低金利長期化を見据えた場合、これらの銘柄のバリューも高まっていくものと期待されよう。(笹木)

S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(9/23現在)

■主な企業決算の予定

●9月26日(木):コナグラ・ブランズ、マイクロン・テクノロジー

■主要イベントの予定

●9月25日(水)

国連総会の場で日米首脳会談と米側が公表

・シカゴ連銀総裁、ダラス連銀総裁、講演

・新築住宅販売件数(8月)

●9月26日(木)

・ダラス連銀総裁、セントルイス連銀総裁があいさつ

・ミネアポリス連銀総裁、カーニー英中銀総裁、講演

ECB経済報告、ECB総裁講演(フランクフルト)

GDP46月、確定値)、卸売在庫(8月)、新規失業保険申請件数(9月21日終了週)、中古住宅販売成約指数(8月)

・ユーロ圏マネーサプライ(8月)

●9月27日(金)

・フィラデルフィア連銀総裁、講演

個人所得(8月)耐久財受注(8月)個人支出(8月)ミシガン大学消費者マインド指数(9月)

・ユーロ圏景況感指数(9月)、ユーロ圏消費者信頼感指数(9月)、中国工業利益(8月)

●9月29日(日)

・英保守党大会(マンチェスター、10月2日まで)

●9月30日(月)

・シカゴ購買部協会景気指数(9月)

・ダラス連銀製造業活動(9月)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)



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