リスク選好相場での米ドル相場と円相場の反応
FOMC議事要旨の内容に対する米金利の反応は限定的。リスク選好相場を受け外為市場では米ドル安/円安の展開となった。米金利の低下と株高が同時に発生する局面で注目しておきたい通貨ペアは?ドル円の展望は?詳細はIG為替レポートをご参照ください。
リスク選好相場での米ドル相場と円相場の反応
【サマリー】
・FOMC議事要旨の内容に対する米金利の反応は限定的
・米金利の低下基調と株高を受け外為市場では米ドル安/円安の展開に
・「株高/米金利の低下」の局面ではオセアニア通貨(豪ドル/NZドル)の上昇を想定
・ドル円は短期的な反発相場を意識する局面に
FOMC議事要旨の内容に対する各市場の反応
米債市場(米金利)
4日に昨年12月13~14日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公開された。参加者は引き続きインフレの動向と政策の効果を見極めることを重視しているとした。
また、今後の金融政策については、2023年に政策金利(FFレート)の引き下げが適切であると予想する参加者はいなかったという。タカ派的な内容ともとれるFOMC議事要旨の内容に対し米金利の反応は限定的であり、低下基調を維持する展開となった。
米金利の動向
外為市場(米ドル相場)
米金利が低下基調を維持する一方、4日の欧米株式は上昇した。これら市場の動向を受け、外為市場では米ドル安優勢の展開となった。
特にリスク資産と高い相関関係にある豪ドル/米ドル(AUDUSD)は、0.69レベルを視野に上昇幅が拡大した(IGレートの高値0.6886)。
米ドル相場の動向
外為市場(円相場)
米ドル安と株高を受け、円相場は売り一色の展開となった。豪ドル/米ドルの上昇に連動し、豪ドル円(AUDJPY)は、先月28日に相場の上昇を止めたレジスタンスポイント91.00レベルを視野に急上昇した(IGレートの高値90.88)。
このレポートでは「株高/米金利の低下」というリスク選好相場の状況下では、外為市場で豪ドルやNZドルが上昇しやすいと指摘してきたが、その状況に変化は見られない。
今年の米債市場はインフレの鈍化と景気リスク、これらを意識した利下げの可能性が焦点となる。ゆえに利回りが低下する局面が多く見られるだろう。米金利の低下局面で昨日のように株式市場が上昇する場合は、豪ドルやNZドルの上昇を想定しておきたい(対米ドルと円での上昇)。
また、ボラティリティが拡大しやすいポンド円(GBPJPY)も上の状況(株高/米金利の低下の局面)では、上昇幅の拡大を想定しておきたい。昨日のポンド円は、安値156.50レベルから節目の160.00レベルを突破する局面が見られた(IGレートの高値160.18)。
円相場の動向
ドル円の展望とチャートポイント
短期レジスタンスラインの攻防
今月3日と4日のドル円(USDJPY)の動きは、短期的な底堅さを示唆している。この点を日足ローソク足で確認すると、連日130.00レベルで下ヒゲが示現した。また、モメンタム(12日)もゼロラインを突破してきた。これらの動きを考えるならば、今のドル円は下落トレンドを形成する過程での短期的な反発を意識する局面にある。
ドル円が続伸する場合、目先の焦点は4日のレポートでも指摘した短期レジスタンスライン(昨年10月21日高値151.95レベルが基点のライン)の攻防となろう。このラインは今日現在、133.15レベルで推移している。
ドル円が短期レジスタンスラインの突破に成功する場合は、今日現在134.00レベルで推移している21日線(MA)のトライおよびブレイクが次の焦点となろう。この移動平均線は、昨年の12月半ばから後半に、レジスタンスラインとして相場の戻りを止めた経緯がある。
ドル円が21日線の突破にも成功し134円台へしっかりと上昇してくる場合は、このレポートで注目しているレジスタンスポイント134.50レベルのトライが焦点として浮上しよう。この水準は、サポートからレジスタンスへの転換が確認された重要な水準である。
一方、ドル円が反落する局面では130.00レベルの攻防が焦点となろう。上で述べた下ヒゲは、このレベルでの米ドル買い(円売り)の短期的な強さを示唆している。
ドル円が129円台の攻防となる場合は、3日の安値129.51レベルのトライおよびブレイクが焦点となろう。また、129円台への下落後にドル円が反発する局面で130.00レベルがレジスタンスポイントへ転換するかどうか?この点にも注目しておきたい。
ドル円のチャート
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