天然ガス、需給の引き締まり観測で続伸 、重要な分岐点の攻防に 今日の見通し
12日の取引でNY天然ガス価格が続伸した。需給の引き締まり観測が価格の押し上げ要因となり、重要な分岐点の攻防にある天然ガス価格。今日の見通しと注目のテクニカルラインについて。
NY天然ガス続伸、1年2ヶ月ぶりに重要水準を再びトライ
12日の取引でNY天然ガス価格(以下では天然ガス価格)が続伸した。強気相場を維持し天然ガス価格は1年2ヶ月ぶりに、重要な分岐点となる水準をトライしている。注目ポイントを以下にまとめた。
・2022年以降の動きを週足チャートでみると、同年8月の高値と2024年2月の安値のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準(3.529)の攻防にあることがわかる。昨秋にこの重要ラインをトライする局面が見られたが、この時はブレイクアウトに失敗した
・天然ガス価格が23.6%戻しを完全に上方ブレイクすれば、テクニカル分析の観点では節目の4.0ドルを視野に上昇幅の拡大が予想される
天然ガス価格:週足(つなぎ足) 22年以降
出所:TradingView
予想以上の在庫減、米東部の気温低下と暖房需要の増加観測
現在、天然ガス価格を押し上げている要因が2つある。以下にまとめた。
・ひとつめは、大幅に減少したガス在庫(備蓄)である。米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)の統計によれば、12 月 6 日(金曜日)の時点でガス在庫が3,747 Bcfと、前週から190 bcf減少した。市場の予想中央値172 bcf減を大幅に上回る減少となった
米国 ガス在庫の状況:週次 年初来
EIAとブルームバーグのデータで筆者が作成
・米国東部の大半で気温が低下するとの予報が暖房需要の増加観測を強めている
・在庫の減少と需要増加の思惑が、短期的な需給の引き締まりを市場参加者に意識させている。今日も天然ガス価格が続伸する場合は、下で述べるレジスタンスラインの攻防に注目したい
需給の引き締まり観測で続伸か、今日のレジスタンスライン
天然ガス価格に限らず、商品価格は最終的に需給で決まる。その需給について、現在は短期的な引き締まりが意識されている状況を考えるならば、今日の天然ガス価格は下で取り上げているレジスタンスラインの攻防を意識したい。
・天然ガスが続伸する場合、最大の焦点は冒頭で述べたフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準3.529をローソク足の実体ベースでブレイクアウトできるかどうか?にある。12日は3.559まで上昇したが、ローソク足(実体)での突破には失敗した
・天然ガス価格が昨日の高値をも上方ブレイクすれば、3.60のレジスタンスラインが視野に入ろう。テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンション100%水準の3.641の攻防に注目したい。後者のテクニカルラインをも突破すれば、節目の4.0を視野に来週以降も強気相場が続く可能性が高まろう
レジスタンスライン
・3.641:フィボナッチ・エクステンション100.0%(1時間足)
・3.600:レジスタンスライン(1時間足)
・3.559:12月12日の高値(1時間足)
・3.529:リトレースメント23.6%(週足)
調整売りの局面では3.30の維持が焦点に
天然ガス価格は続伸で週末の取引を迎える。フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準(週足)が強固なレジスタンスラインとして意識される場合は、調整売りを警戒したい。注目のサポートラインを以下にまとめた。
・本日、天然ガス価格が反落しても短期的な需給の引き締まりと気温の低下による暖房需要の増加観測が、天然ガス価格の下支え要因となろう
・調整売りの局面では3.30ドル(昨日の安値水準)がサポートラインへ転換するかどうか?この点を見極めたい。このラインをトライするサインとして、下で取り上げたフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。特に76.4%の水準(3.347)は、サポートラインとして相場を下支えする可能性がある(1時間足、黒矢印を参照)
・時間足のストキャスティクスとRSIで相場の短期的な過熱感を確認したい。今回取り上げたサポートラインを天然ガス価格がトライする際に、これらのテクニカル指標が売られ過ぎの水準でゴールデンクロスへ転じる場合は、相場の反発を意識したい
サポートライン
・3.421:半値戻し(1時間足)
・3.388:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(1時間足)
・3.347:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(1時間足)
・3.282:12月12日の安値
天然ガス価格のチャート
再掲:週足(つなぎ足) 22年以降
出所:TradingView
1時間足(つなぎ足) 12月9日以降
出所:TradingView
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