米雇用統計と米金利の反応
今日の焦点は米雇用統計となりますが、なぜそう考えるのか?それは、米金利の反発要因が良好な指標データ以外見当たらないからです。結果次第で今日のドル円やユーロドルのトレンドが左右されると予想します。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・米雇用統計と米金利の反応
米株の各ボラティリティ指数は、警戒水準の20ポイントを下回る水準で安定的に推移している。最高値圏にある米株をはじめMSCI Worldインデックスが示すとおり、世界の株式は6月以降上昇トレンドを維持している。FEDをはじめとした世界の中央銀行が緩和スタンスへ舵を切り始めていることが株高トレンドの主因であることは明白。米中対立リスクが後退している状況も考えるならば、目先は調整を挟みながら株高トレンドが続く可能性が高い。株高の維持を想定する場合、外為市場のトレンドを予測する上で重要なファクターは米長期金利(以下米金利)の動向である。その米金利はFEDの利下げ観測が台頭して以降、さらに低下圧力が高まっている。2019年をとおしてこの傾向が続くと筆者は想定している。だが、永遠に上昇 / 下落(低下)する市場はこの世に存在しない。よって、今後米金利の動向で注視すべきは反発局面とその要因である。現在のマーケット状況(=株高と原油高に追随できない米金利の状況)を考えるならば、その要因となり得るのは良好な指標データ以外見当たらない。本日は6月雇用統計が発表される。焦点は平均時給(前年同月比)の動向である。市場予想(3.2%)以上ならば、個人消費の拡大とインフレ低下の抑制に対する期待が高まることで米金利の反発を予想する。外為市場では米ドル買い優勢の展開となろう。警戒すべきは、平均時給をはじめ総じて市場予想以下の内容となる場合である。このケースでの外為市場は2つのトレンドを予想する。「冴えない雇用統計→FEDの利下げ期待の高まり」のケースでは、「株高/金利低下」を背景に新興国通貨買い圧力が高まろう。一方、「冴えない雇用統計→米国経済の減速懸念」のケースでは「株安/金利低下」を背景に円が最強通貨となろう。
【MSCI World Index】
・ドル円とユーロドルの展望
今日のドル円は、米雇用統計の内容次第でトレンドが決定されよう。結果発表後「株高/金利反発」の展開となれば、21日MA(107.99前後)を突破し、重要レジスタンスポイント108.80トライとなるかどうか、この点に注目する。この水準を突破する場合は、109.00を次のターゲットと想定している。108.80および109.00にはそれぞれオファーが観測されている。一方、「株安/金利低下」のケースでは下値トライを警戒したい。ビッドが観測されている107.50を下方ブレイクする場合は、107.00を視野に下落幅の拡大を予想する。尚、107.00にもビッドの観測あり。
ユーロドルのトレンドも米雇用統計次第である。「良好な雇用統計→米金利の反発」の局面では短期サポートラインの維持が焦点となろう。このラインは今日現在、1.1245レベルで推移している。一方、「冴えない雇用統計→米金利低下」の局面では21日MA(1.1300前後)の突破を予想する。だが、積極的にユーロを買う材料に欠けることから、オファーが観測されている1.1320(7/2高値)、1.1330および1.1350レベルでの反落を警戒したい。
【ドル円】
【ユーロドル】
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シニアマーケットアナリスト / 公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 / CMA® 国内金融機関において為替ディーラーとしてのキャリアをスタート後、2009年3月にIG証券の前身であるFXオンラインジャパンに入社。 2010年4月よりマーケットの分析業務に従事。為替市場を専門としながらも国内外の株式市場や債券市場まで幅広くカバーする見識を持つ。 主要メディアへの露出も多く、そのハイクオリティな分析レポート及びコメントはロイター、ブルームバーグ、ダウジョーンズ、時事通信、日経新聞等の主要ニュース配信会社に掲載されている。 またその定評のある分析能力から、レギュラーコメンテーターとして下記のテレビ及びラジオ番組にも出演中。 テレビ番組:日経CNBC「朝エクスプレス」/ ストックボイス「ランチエクスプレス(毎週木曜日)」「ワールドマーケッツ」「FXフォーカス」/ラジオ番組:ラジオNIKKEI「前場の広場-FXショートコメント」/ ツイッターでも随時マーケット情報を配信中。
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