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円安の進行止まらず、ドル円は5ヶ月ぶりの158円台 円安けん制による突発的な円高を警戒

日銀の慎重姿勢を意識した円安の進行が止まらず、ドル円は26日の外為市場で7月17日以来となる158円台へ上昇する局面が見られた。ドル円は強気相場にあるが、円安けん制による突発的な円高には警戒したい。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

止まらない円安、ドル円は5ヶ月ぶりの158円

先週19日に開かれた日銀金融政策決定会合以降、円安の進行が止まらない。26日の外為市場でも対主要通貨で円安優勢となった。米ドル高も重なり、ドル円(USD/JPY)は7月17日以来およそ5ヶ月ぶりに158円台へ上昇。高値158.08を付ける局面が見られた。

円相場の動向:12月19日~26日

円相場の動向:12月19日~26日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成 / 基準日:12月18日

植田日銀総裁、利上げ時期を明言せず、主な意見は利上げに慎重

日銀の植田和男総裁は25日、経団連の審議員会で講演した。緩和度合い調整のタイミングやペースは「今後の経済・物価・金融情勢次第」と述べるにとどめ、先週19日の定例会見と同じく来年1月の利上げについての明言を避けた。

本日、日銀が「金融政策決定会合における主な意見」を公表した。利上げに関してはハト派よりの意見が見られ、追加の利上げに対する植田総裁の慎重姿勢が日銀のコンセンサスであることを示唆する印象を受けた。


日銀「主な意見」

・賃金と物価の好循環の強まりを確認するという視点から、来年の春季労使交渉に向けたモメンタムなど今後の賃金の動向について、もう少し情報が必要

・利上げの判断において国内面では、賃金・サービス価格・個人消費の動き、海外面では米国の経済と政策運営が焦点である

・物価のアップサイドリスクについて、現状では利上げの切迫した理由にはなっていない

・利上げを判断する局面は近い。しかし現段階では、米国経済の不確実性が一巡するのを今しばらく注視する辛抱強さも必要


短期金融市場では、来年1月会合の利上げ確率が40%台へ低下している。日銀会合前は60%台まで上昇する局面があった。早期の利上げに不透明感が漂う現状を考えるならば、ドル円が下落してもその幅は限定的となることが予想される。

日銀 来年1月会合の利上げ確率

日銀 来年1月会合の利上げ確率

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 27日 午前8 時時点


ドル円 今日の見通しとテクニカルライン 円安けん制による突発的な円高を警戒

強気相場維持なら159円のトライが焦点に

通貨オプション市場のリスクリバーサル(ドル円)の動きを確認すると、1週間のそれが上昇している。一方、1週間の予想変動率は7%台まで低下している。今夏の円高局面とは真逆となっている今の状況は、ドル円(USD/JPY)が短期的に強気相場を維持する可能性を通貨オプション市場の参加者が意識していることを示唆している。

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 24年7月以降

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 24年7月以降

出所:TradingView

今日もドル円(USD/JPY)が続伸する場合は、以下のレジスタンスラインでの攻防に注目したい。

・158.00のサポート転換、昨日の高値158.08レベルの突破が確認される場合は、159円を目指すサインと捉えたい

・7月16日の高値158.86レベルの突破は、159.00トライのサインとなろう。テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンション61.8%の水準159.25までの上昇を想定しておきたい

レジスタンスラインまとめ

・159.25:フィボナッチ・エクステンション61.8%(日足)
・159.00:レジスタンスライン
・158.86:7月16日の高値
・158.08:12月26日の高値(日足)
・158.00:レジスタンスライン(日足)

円安けん制による突発的な円高を警戒

本日、ドル円(USD/JPY)が反落する場合は、以下でまとめたサポートラインの攻防に注目したい。

・昨日の米金利は7年債入札の結果を受け低下した。10年債利回りは4.6%まで上昇し投資妙味が増している。調整の米債買いが続けば、米ドル安の要因となろう。米ドル安はドル円の調整相場(反落)を促そう

・本日、ドル円が反落する場合は、157円の維持が焦点となろう。目先の焦点は157円ミドルの維持である。5日線が157.40台まで上昇している。すぐ上の水準157.50はサポートラインへ転換する可能性がある。157.40-50がサポートゾーンとなる可能性も考慮したい。ドル円が157円ミドルを完全に下方ブレイクすれば、157.00のトライを想定したい。この水準は半値戻しにあたる

・問題は、国内サイドからの円安けん制である。これ自体にトレンドを転換させるインパクトはない。だが、先週19日の日銀会合以降、ドル円は高安ベースで3.6円(2.3%)上昇している。円安けん制が絶好の調整(米ドル売り・円買い戻し)の理由として利用される可能性がある。このケースでは、156円の維持が焦点となろう。156.30レベルで推移している10日線の下方ブレイクは、156.00トライのサインと捉えたい

・1時間足のストキャスティクスとRSIで売買のタイミングを計りたい。本レポート掲載時点では、これらテクニカル指標がデッドクロスへ転じている。上で述べたサポートラインをトライする局面でゴールデンクロスへ転じる場合は、押し目買いを考えたい

サポートラインまとめ

・157.45:5日線(日足)
・157.00:半値戻し(1時間足)
・156.76:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(1時間足)
・156.45:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(1時間足)
・156.30:10日線(日足)
・156.00:サポートライン(1時間足)


ドル円のチャート

日足:24年9月以降

日足:24年9月以降

出所:TradingView

1時間足:12月19日以降

出所:TradingView


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