円高進行、ドル円151円台へ下落 米雇用統計で振れ幅拡大も
外為市場で円高が進行している。ドル円は151円台へ下落し今晩の米雇用統計を迎える。内容次第ではドル円の振れ幅が拡大する可能性がある。
![Source:Bloomberg](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/uk/images/news-article-image-folder/bb_USDJPY_Japan_flag_14_11_2024.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
記事の概要
外為市場で円高が進行している。昨日ドル円は151円台へ下落、今週に入り2.4%も円高が進行している。主因は日米利回り格差の動向にある。日銀の利上げペース加速を意識した国内金利の上昇にある。10年債利回りは2011年4月以来となる1.3%を視野に上昇幅が拡大している。対照的に米金利の上昇は抑制されているため、日米利回り格差の縮小が進行している。今晩に1月の米雇用統計が発表される。内容次第では上下にドル円の振れ幅が拡大する可能性がある。
国内の長期金利1.3%が視野に、高まる「賃金と物価の好循環」の確度
国内金利の上昇幅が拡大している。10年債利回り(長期金利)は2011年4月以来となる1.29%台へ上昇し、1.3%が視野に入る。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは0.76%台と、2008年の高水準にある。5年債、20年債の各利回りも上昇基調にある。
国内金利の動向:日足 2023年7月以降
![国内金利の動向:日足 2023年7月以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/Japan_Yield_250207.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
ブルームバーグのデータで筆者が作成
直近の金利上昇のきっかけとなったのが、昨年12月の毎月勤労統計調査(速報)だった。名目賃金に相当する1人当たりの現金給与総額は、前年同月比で4.8%増の619,580円と前月から伸びが加速した。1人あたりの現金給与総額は2.9%増の34万8182円と、1991年以来およそ33年ぶりの伸び率となった。2024年通年での実質賃金は0.2%減と3年連続のマイナスとなった。しかし直近2ヶ月はプラスを維持した(24年12月は前年同月からプラス0.6%)。
一方、消費者物価コア指数(除く生鮮食品)は物価目標の2.0を上回る状況が続いている。また、1月の展望レポートでは今年のコアインフレ予想が前年度比2.4%に、2026年のコアインフレ予想が同比2.0%と、いずれもと、昨年10月の予想1.9%から上方修正された。
円安は一服のムードにある。しかし、ドル円(USD/JPY)は未だに150円台を維持している。米国ではインフレ再燃の可能性がくすぶり、再び「米ドル高・円安」となる可能性がある。「円安→輸入物価の上昇」リスクがくすぶるなか、植田和男総裁が重視する「賃金と物価の好循環」の確度の高まっている状況は、日銀の利上げペースを早める要因になり得る(すでに国内の債券市場はそれを先取りする状況にある)。
進行する日米利回り格差の縮小、米雇用統計でドル円の振れ幅拡大も
国内金利の上昇幅が拡大する一方で、米債市場では利回りが低下している。対照的な日米の利回り動向を受け、1月中旬以降日米の利回り格差は縮小のトレンドにある。この動きに連動するように、ドル円(USD/JPY)は先月10日を境にして、下落トレンドへ転じている。
今年の1月以降、米長期金利(10年債利回り、以下では米金利)は経済指標で下げ幅が拡大する状況が見られる。5日のs市場では1月のISM非製造業景気指数が予想外に下振れしたことで、4.5%の推移を割り込んだ。
今晩は1月の米雇用統計が発表される。内容次第で今日の米債市場のトレンドを左右するだろう。
日米利回り格差の動向:2024年9月以降
![日米利回り格差の動向:2024年9月以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/US_JP_YieldSpread_250207.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
ブルームバーグのデータで筆者が作成
米雇用統計で労働市場の軟化を示唆する内容が確認される場合は、米金利の低下圧力をさらに強める要因になり得る。このケースでは日米利回り格差の縮小が進行することで、ドル円の下落幅が拡大する展開を想定しておきたい。
今週に入り日本円は対米ドルで2.4%も上昇している。ゆえに、米雇用統計が予想外に強い内容となる場合は、急速に進行した円高の反動でドル円が上振れする展開を警戒したい。
米国の雇用統計 各項目の動向:2024年1月~12月
![米国の雇用統計 各項目の動向:2024年1月~12月](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/US_NFP_250207.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
ブルームバーグのデータで筆者が作成
ドル円 目先の見通しとテクニカルライン
150円のトライを想定する局面に
今晩の米雇用統計が米金利の低下要因となれば、日米利回り格差の縮小がさらに進行するだろう。このケースでは、ドル円(USD/JPY)の下落幅が拡大する展開を想定したい。焦点は節目の150.00の攻防となろう。
ドル円が150.00を目指すサインとして、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準151.06の攻防に注目したい。このテクニカルラインの下方ブレイクは、151円の下方ブレイクを意味する。
日足のMACDは完全にゼロラインを下回る状況にある。弱気相場の勢いが増していることを考えるならば、米雇用統計をきっかけに節目の150.00をも下方ブレイクする展開も想定しておきたい。149円台の攻防となる場合は、昨年12月6日の安値149.36レベルを視野に下落幅の拡大を警戒したい。
サポートライン
・151.06:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(日足)
・150.00:節目のライン(日足)
・149.36:昨年12月6日の安値(日足)
反発の局面では200日線の攻防に注目
一方、雇用統計で米金利が急反発すれば、ドル円(USD/JPY)の上振れリスクを警戒したい。このケースでは、200日線の攻防が焦点となろう。昨日は200日線で戻りが止められた。今日の反発局面でも同じ状況が見られる場合は、レジスタンスラインへ転換するサインとなろう。同じくレジスタンスへ転換する可能性のある152.00の突破は、200日線をトライするシグナルと捉えたい。
ドル円が200日線の突破に成功する場合は、153.00を視野に上昇幅が拡大する可能性が出てくる。このラインもレジスタンスラインへ転換する可能性がある。
ドル円が153円台まで反発しNYクローズを迎える場合は、来週以降10日線(今日現在158.80台)と154.00のトライが焦点に浮上しよう(雇用統計が相当に強い内容となれば、今晩に10日線をトライする可能性もある)。先月の22日以降、10日線は相場の反発を止め続けている。
なお、今晩の米雇用統計をきっかけにドル円の下落トレンドがいったん下火となり、来週以降154円台へ反発する場合は、21日線(今日現在155.20前後)のトライが焦点に浮上しよう。
レジスタンスライン
・155.19:21日線(日足)
・154.00:レジスタンスへ転換する可能性あり(日足)
・153.88:10日線(日足)
・153.00:レジスタンスライン(1時間足)
・152.73:200日線(1時間足)
・152.00:レジスタンスライン(1時間足)
ドル円のチャート
日足:2024年12月以降
![日足:2024年12月以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/USDJPY_20250207.png/jcr:content/renditions/original-size.webp)
出所:TradingView
1時間足:2月4日以降
![1時間足:2月4日以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/USDJPY1_20250207.png/jcr:content/renditions/original-size.webp)
出所:TradingView
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