円高進行でドル円は150円台へ下落 追随するポンド円、米雇用統計で変動幅拡大も
円高の進行が止まらない。東京時間にドル円は昨年12月以来およそ2か月ぶりに150円台へ下落した。ドル円の下落にポンド円が追随している。今晩の米雇用統計でポンド円の変動幅はドル円以上に拡大する可能性がある。
記事の概要
円高の進行が止まらない。今日の東京時間にドル円は、昨年12月以来およそ2か月ぶりに150円台へ下落した。ドル円の下落にポンド円が追随している。今日の東京時間に昨年9月以来となる187円台へ下落する局面が見られた。今晩に1月の米雇用統計が発表される。内容次第でドル円は上下に大きく振れる展開が予想される。ポンド円は、ドル円以上に振れ幅が拡大する展開を想定しておきたい。予想レンジの下限は186.00レベル、上限は191.00レベル。
目次
ブルームバーグの為替データで作成 / 7日 13時時点の動向
英中銀、2会合ぶりの利下げも追加利下げには慎重、ポンド円はドル円にらみ
英中銀は6日の金融政策委員会(MPC)で2会合ぶりに0.25%の利下げを決定し政策金利を4.5に引き下げた。投票権を持つ9人のうちベイリー総裁を含む7人が0.25%の利下げに賛成した。残り2人は0.5%の利下げが必要として反対した。
タカ派のマン氏が大幅利下げを主張したことは意外だった。しかし、声明文では経済における需給関係と世界経済の不確実性について言及し、さらなる金融緩和政策については「段階的かつ慎重なアプローチ」が適切であると指摘した。ベイリー英中銀総裁も同様の姿勢を示した。
今後、インフレの粘着性を示すデータが確認される場合は、英中銀サイドから追加の利下げについて慎重な発言が相次ぐと思われる。利下げペースの後退はポンド相場の下支え要因となろう。事実、昨日のMPCをタカ派的と捉える向きもあり、NY時間でポンドは対米ドルで買い戻しが見られた。
だがポンド円(GBP/JPY)のトレンドは、引き続きル円(USD/JPY)の動きに左右されるだろう。ドル円とポンド円の上昇幅が拡大した2023年以降のデータで相関係数を計算すると、「0.72」とかなり高い順相関の関係にある。一方、ポンド円とポンドドル(GBP/USD)のそれは「0.34」にあり、ドル円と比べて相関性が低い。「利上げの日銀・利下げの英中銀」という構図も考えるならば、今は対円でポンド売りの圧力が高まりやすい状況にもある。
ポンド円、ドル円、ポンドドルの相関係数
ブルームバーグの為替データで作成 / 2023年以降、相関係数:対数差分、データ数:549
ポンド円とドル円 変動率の分布
ブルームバーグの為替データで作成
ポンド円 今日の見通しについて
焦点は米雇用統計後のドル円の反応
こちらのIG為替レポートで取り上げたとおり、今日は1月の米雇用統計がドル円(USD/JPY)の変動要因となろう。
現在の米債市場は経済指標の内容に反応する地合いにある。10年債利回りは予想を下回った1月米ISM非製造業景気指数を受け4.5%の水準を下方ブレイクする状況にある。今晩の米雇用統計で労働市場の軟化が示される場合は、「米金利の低下→米ドル安→ドル円の下落幅拡大」を想定したい。米雇用統計でドル円が下落する場合、ポンド円(GBP/JPY)は下でまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
米国の雇用統計 各項目の動向:2024年1月~12月
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:1月の市場予想
186円までの下落を警戒
1月の米雇用統計で非農業部門雇用者数と平均時給が予想よりも大幅に減少・低下し、かつ失業率が予想以上に上昇する場合は、ドル円(USD/JPY)の下落幅拡大を警戒したい。変動幅の拡大しやすいポンド円(GBP/JPY)は186.00をトライする可能性がある。
ポンド円が186.00を目指すサインとして、2つのサポートラインの攻防に注目したい。最初のラインは、今日の東京時間の下落を止めたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準187.63レベルである。日足のMACDは弱気相場に勢いがある状況を示唆している(日足チャート、黒矢印を参照)。米雇用統計をきっかけにさらに弱気ムードが強まる場合は、187.00レベルを視野に下落幅の拡大を想定したい。
ポンド円が187.00のラインをも難なく下方ブレイクすれば、瞬間的に予想レンジの下限186.00レベルのトライを想定したい。
サポートライン
・187.63:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(日足)
・187.00:サポートライン(1時間足)
・186.00:サポートライン(日足)
米雇用統計でドル円急反発なら191円までの上昇を想定
一方、今晩の米雇用統計を受けて米金利が急反発すれば、ドル円(USD/JPY)もこの動きに追随することが予想される。ドル円との相関性が高く、また変動幅が拡大しやすいポンド円(GBP/JPY)は191.00を視野に上昇幅が拡大する可能性がある。
ポンド円が予想レンジの上限191.00を目指すサインとして、以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。いずれもレジスタンスラインへ転換する可能性がある。
最初の水準は、6日のNY時間に相場の反発を止めた189.00レベルである。このラインを突破すれば、190.00のトライが次の焦点となろう。すぐ上の190.40レベルは現時点での2月高安の半値戻しにあたる。直近の経緯を見ると、190.00-40はレジスタンスゾーンを形成する可能性がある。
ポンド円が190.40レベルを突破する場合は、190.50レベルまで低下している5日の攻防に注目したい。この移動平均線をも上方ブレイクすれば、今日の予想レンジの上限191.00レベルが見えてこよう。191.05レベルはフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。テクニカルの面でも191.00を重要なレジスタンスラインと想定したい。
レジスタンスライン
・191.05:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(1時間足)
・190.50:5日線(日足)
・190.40:半値戻し(1時間足)
・190.00:レジスタンス転換の可能性あり(1時間足)
・189.00:レジスタンス転換の可能性あり(1時間足)
ポンド円のチャート
日足:2024年7月以降
出所:TradingView
1時間足:2月以降
出所:TradingView
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