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【ドル円の週間展望】焦点は石破ショックの持続性、米ISMと雇用統計次第で140円割れも

27日の自民党総裁選挙で石破茂元幹事長が新総裁に選出された。「高市トレード」の逆回転で27日の外為市場で円相場が急伸した。今週の焦点は「石破ショック」の持続性にあろう。石破ショックを引きずる場合、ドル円はさらなる下落を警戒したい。さえない米経済指標が重なれば140円以下の攻防を意識したい。

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記事のポイント

・今週の焦点は、「石破ショック」の持続性を見極めることにある
・石破ショックを引きずる場合は、円高がさらに進行するだろう
・米経済指標がドル安の要因となれば、ドル円は140円以下の攻防を意識したい
・ドル円、今週注目のチャート水準について


”石破ショック”で円高進行

9月27日に自民党総裁選挙が行われ、石破茂元幹事長が新総裁に選出された。日銀の利上げをけん制していた高市早苗経済安保相とは対照的に、石破氏は日銀の独立性を尊重する立場を取っている。そして岸田政権が掲げてきた経済政策の路線を継承することも明確にしている。

総裁選の結果が出る直前までの外為市場は、高市氏有利と見た円安が進行していた。しかし、石破氏勝利の瞬間、円相場は瞬く間に円高へ振れた。まさに「石破ショック」と呼ぶにふさわしい円高だった。

円相場の騰落率:9月27日

円相場の騰落率:9月27日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成

ヒステリックな円高か

自民党総裁選挙が始まってから結果が判明するまでのドル円(USD/JPY)の動きをあらためて確認すると、第1回投票で高市早苗経済安保相がトップとなったことで、ドル円は146.50レベルまで上昇した(円安が進行した)。

しかし、決選投票で予想外にも石破氏が勝利をおさめたことで、ドル円は一転して146円台から142円前半へ急落した(下の45分足チャートを参照)。

この動きは、かなりヒステリックな反応だったと筆者は考えている。確かに高市氏有利と見た円売りは見られた。しかし、9月20日に行われた植田日銀総裁の定例会見が「ハト派的」との印象を市場参加者に与えたことで、自民党総裁選挙が行われる前から外為市場ではじわりと円安が進行していた。

先週の円安要因は植田会見にあった。そして経済・金融政策の面で石破新政権が岸田路線を引き継ぐことを考えるならば、政治の面で植田日銀を取り巻く状況も変わらない。ゆえに、先週27日のドル円急落(円相場の急伸)は、「石破ショック」に対するヒステリックな反応と捉えることができる。

ドル円のチャート:45分足9月19日以降

ドル円のチャート:45分足9月19日以降

出所:TradingView

焦点は「石破ショック」の持続性

ゆえに今週の焦点は、「石破ショック」の持続性にあろう。上で述べたとおり、27日の円高がヒステリックな反応であるならば、今週の外為市場は落ち着きを取り戻すだろう。このケースでは、先週23日のIG為替レポートで指摘した「米ドル安vs円安」の戦いが続くことが予想される。

問題は、「石破ショック」を引きずる場合である。27日の国内債券市場では、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りが0.357%と、26日の0.338%から上昇した。他の年限の利回りも同じく反発した。一方、シカゴ日経平均先物(12月物、円建て)は大証終比2,400円急落した。上で述べた円高の進行も考えるならば、各市場の参加者は、石破氏の勝利で日銀が追加利上げの政策を着実に遂行することを再び意識し始めている。

石破ショックを引きずる場合、今週の外為市場ではさらに円高が進行しよう。下で述べるアメリカの経済指標が米ドル安の要因となれば、ドル円(USD/JPY)は140円割れを想定しておきたい。

もう一つの焦点は米経済指標、ISM指数と雇用統計に注目

「石破ショック」の持続性の他、今週はもう一つ注視すべきことがある。それが、アメリカの経済指標である。

米金融政策のターゲットは、「インフレの抑制」から「景気の下支え」にシフトしている。ゆえに今後は、企業活動と労働市場に関連した経済指標が重要視されよう。今週は、これらに関連したいくつかの重要な経済指標が発表される。なかでも注目したいのが、9月のISM製造業・非製造業景気と同月の雇用統計である。

今夏以降、アメリカ経済に対する先行きリスクが意識され、各市場がジェットコースターのように大きく振れた。その要因となったのが、ISM指数と雇用統計だった。

9月のISM製造業景気指数は47.6と、8月の47.2から小幅ながらも改善の傾向を維持する見通しにある。しかし、アメリカはサービス業の国である。ゆえに、より注視すべきはISM非製造業景気指数となろう。

現時点での市場予想は51.6と、8月の51.5からほぼ横ばいの見通しにある。問題は、予想外にサービス業の活動が縮小する場合である。9月の購買担当者景気指数(PMI)速報値ではサービス部門が55.4と、 8月の55.7から低下した。総合指数も54.6から54.4へ低下した。ISM非製造業景気指数が予想外に縮小すれば、再び景気懸念を強める要因になり得る。また、下で述べる雇用統計の前哨戦として、ISMの雇用指数にも注目したい。

米国 ISM製造業・非製造業景気の動向:2023年9月以降

米国 ISM製造業・非製造業景気の動向:2023年9月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

9月の雇用統計では失業率に注目したい。アメリカの失業率は7月に4.3%まで上昇した。9月は4.2%と、8月から横ばいの予想となっている。予想外に上昇する場合は、労働市場の先行きに対する懸念を市場参加者に意識させるだろう。非農業部門雇用者数も市場予想を下回れば、その懸念がより強まろう。

上で取り上げた重要指標で景気懸念が高まる場合は、さらなる米ドル安の進行を想定しておきたい。

米国 雇用統計 各項目の動向:2023年9月以降

米国 雇用統計 各項目の動向:2023年9月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成


ドル円の週間見通し、140円割れを警戒

今週のドル円(USD/JPY)は、石破ショックの持続性と米経済指標にらみの1週間となろう。

通貨オプション市場のリスク・リバーサルでは、ドル円の下値トライを警戒する状況に転じつつある(下のチャート、黒矢印を参照)。予想変動率に大きな上昇は見られない。

しかし、石破ショックを引きずる場合は国内金利の上昇と株安が続くことで、リスク・リバーサルはドルプットの傾きがより鮮明となろう。予想変動率も上昇することが予想される。

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 2024年7月以降

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 2024年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

チャート分析の面でも、ドル円が弱気地合いへ転じつつあるサインが見られる。27日の日足ローソク足は長い上ヒゲ付きの大陰線となった。しかも50日線(9/27時点で146.13レベル)が相場の上昇を見事に止め、21日線(9/27時点で143.23レベル)をあっさりと下方ブレイクした。

さらに日足のRSIは買われ過ぎの水準から急低下し、デッドクロスへ転じるムードにある。MACDも上昇から横ばいへ転じている。いずれの動きもドル円が弱気地合いへ転じる可能性を示唆している。

この状況で石破ショックの余波とさえない米経済指標が重なれば、ドル円は節目の140.00レベルを視野に下落幅の拡大を想定しておきたい。チャート分析の観点では、9月16日の安値139.58の攻防が焦点となろう。ドル円がこの水準を一気に下方ブレイクする場合は、下で述べるサポート水準を視野に下落幅の拡大を予想する。

一方、今週の米経済指標が総じて強い内容となり米ドルの買い戻し要因となれば、ドル円は139.58レベルや140.00レベルで何とか持ちこたえる可能性が出てくる。このケースでは21日線、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準145.65レベルそして50日線の再トライが焦点となろう。

ドル円のチャート:日足 2024年7月以降

ドル円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

139.58ブレイクなら137~138円が視野に

なお今週以降、ドル円(USD/JPY)が139.58レベルを完全に下方ブレイクする場合は、米ドル安と円高が同時に発生する状況が想定される。このケースでは、138.00レベルまたは137.00レベルまでの下落を想定しておきたい(まずは今年末までを想定)。

2022年10月から翌年1月にかけてドル円は24.72円急落した。この時の状況を参考にする場合、今年7月の高値161.95レベルから24円下は138.00レベルにあたる。一方、25円の下落を想定する場合は、137.00レベルがサポート水準として浮上する。

2022年の安値113.48レベルと161.95レベルの半値戻しが137.71レベルであることも考えるならば、テクニカルの面でも137.00~138.00を重要なサポートゾーンと想定しておきたい。

ドル円のチャート:週足 2021年10月以降

ドル円のチャート:週足 2021年10月以降

出所:TradingView


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