ドル円147円台 5カ月ぶり円高水準 米雇用統計でさらなる円高を警戒 今日の見通し
6日の外為市場でドル円は5カ月ぶりに147.31レベルまで下落した。今日のドル円は、2月の米雇用統計で上下に大きく振れる展開が予想される。注目のテクニカルラインについて。

記事の概要
外為市場で再び円高が進行している。昨日は日米利回り格差の縮小と米株安が重なり、ドル円(USD/JPY)は147.31レベルまで下落した。5カ月ぶりの米ドル安・円高水準である。ドル円の下落にクロス円も追随した。今晩の2月米雇用統計が労働市場の軟化を示す場合、米国市場ではリスク回避のムードがさらに高まることが予想される。ドル円は146円台への下落を警戒したい。一方、強い米雇用統計はドル円の上振れ要因になり得る。市場予想から相当に上振れする場合は、149円前半で推移している10日線まで反発する可能性がある。
国内長期金利09年以来の高水準、日米利回り格差の縮小幅が拡大
ブルームバーグのデータによれば、6日の国内債券市場で新発10年物国債の利回りが一時、1.549%まで上昇する局面が見られた。2009年6月以来15年9カ月ぶりの高水準である。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りも0.858%と、2008年10月以来の水準へ上昇した。
労働組合の全国組織である連合は6日、2025年の春季労使交渉(春闘)で賃上げ率が平均6.09%だったと発表した(3日時点)。6%を上回るのは1993年以来32年ぶりである。日銀の植田和男総裁が重視する「賃金と物価の好循環」の確度が高まっていることに加え、ドイツが財政拡張政策へ大転換したことで同国の利回りが上昇したことも国内金利の押し上げ要因となった。
対照的に米債市場では利回りが低下基調にある。日米利回りが真逆のトレンドにあることで、日米利回り格差は縮小傾向を維持している。 10年債利回り格差に続き、5年債の利回り格差も3%の水準を割り込んできた。
日米利回り格差の動向:日足 2024年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
株安も重なりドル円は147円台へ下落、クロス円も追随
昨日は米株安も円高の要因となった。序盤に下げ幅が縮小する局面が見られた。しかし、トランプ関税の不確実性と景気不安に加え、この日は半導体企業マーベル・テクノロジーのさえない利益見通しを受け半導体株が総崩れとなったことも重なり、取引中盤以降の主要な米株価指数は下落幅が拡大した。
米株安に追随し、ドル円(USD/JPY)の下落幅も拡大。クロス円もこの動きに追随し、昨日はスイスフラン以外の主要通貨で円高優勢の展開となった。
円相場の動向:3月6日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成 / 対G10通貨の動向
トランプ関税を巡る状況が二転三転し、市場参加者の不安心理をあおっている。恐怖指数として知られるVIX(30日間の予想変動率)は24ポイント台まで上昇し、昨年12月以来の水準まで上昇してきた。3ヶ月の予想変動率(VXV)との比も「1」を超えてきた。これらボラティリティ指数の動向は、多くの市場参加者が短期の下落リスクを警戒してることを示唆している。
米国株は現在、下落リスクを意識する局面にある。米株安が続けば日本株の重石となろう。日米の利回り格差が縮小傾向にあるなかで日米株式の不透明感が高まっている状況も考えるならば、今日は円高の進行を警戒したい。
米国株 ボラティリティ指数の動向:2024年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
注目の米雇用統計、景気不安高まればリスク回避の要因に
今日のドル円(USD/JPY)は、2月の米雇用統計で大きく動くことが予想される。
今週の米雇用関連指標は強弱まちまちの内容となった。2月の米ISM製造業雇用指数は47.6と1月の50.3から急速に縮小した一方、非製造業雇用指数は1月の52.3から53.9へ拡大した。2月のADP雇用統計は7.7万人と1月の18.6万人(修正値)から大きく減少する一方、昨日発表された3月1日までの1週間の新規失業保険申請件数は前週比で2万1,000件減の22万1,000件と、米連邦政府支出の大幅な削減による混乱をよそに労働市場の堅調さを示唆した。
非農業部門雇用者数変化とADP雇用統計との相関性は低い。一方で2024年の後半以降、3ヶ月平均の非農業部門雇用者数変化の増加とサービス業の雇用は比較的連動する状況が見られる。新規失業保険申請件数の4週移動平均が、昨年11月以降22万件を挟んでレンジ推移を維持する状況も考えるならば、2月の雇用統計は労働市場の堅調さを示す可能性がある。
ISM雇用指数と非農業部門雇用者数変化3ヶ月平均の動向:月次 2022年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
ゆえに警戒すべきは、予想外に労働市場の軟化が確認される場合-非農業部門雇用者数変化の下振れと失業率の上昇が確認される場合である。
上述したとおり、現在の米国市場はトランプ関税の不確実性と景気不安が重なり、金利の低下と株安が同時に発生するリスク回避の局面にある。この状況で雇用統計が労働市場の軟化を示す場合は、景気不安がさらに高まることでリスク回避相場の進行が予想される。
米国市場でさらにリスク回避のムードが高まる場合、ドル円は下で取り上げているサポートラインを視野に米ドル安・円高の進行を警戒したい。
ドル円 今日の見通しとテクニカルライン
さえない米雇用統計なら146円台への下落を警戒
今日のドル円(USD/JPY)は、米雇用統計の発表後上下に大きく振れる展開が予想される。労働市場の軟化を示唆する内容となれば景気不安が高まり、米国市場はリスク回避ムードがさらに強まることが予想される。ドル円は以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
・昨日の安値147.31を下方ブレイクする場合は、147円の維持が焦点となろう。テクニカルの面では、昨年9月16日の安値を基点としたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準146.95の維持が焦点となろう
・ドル円が146円台の攻市場シフトする場合は、146円の維持が焦点に浮上しよう。146.00レベルは、昨年9月下旬から10月上旬にかけてサポートラインへ転換した経緯がある(日足チャート、黒矢印を参照)。今日の予想レンジの下限と想定したい
・2月の米雇用統計が市場予想から相当下振れする場合は、146.00を瞬間的に下方ブレイクする可能性がある。このケースでは、昨年9月30日の安値を基点としたフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準145.71をトライする可能性があろう
サポートライン:日足
・147.31:昨日の安値レベル
・146.95:61.8%戻し(昨年9月16日の安値が基点)
・146.00:サポートライン
・145.71:76.4%戻し(昨年9月30日の安値が基点)
10日線までの反発を想定
一方、2月の米雇用統計で景気不安が後退すれば、ドル円(USD/JPY)の反発を想定したい。しかし、国内金利の上昇による日米の利回り格差の縮小が続いていることを考えるならば、雇用統計が市場予想から相当上振れしない限り、上昇幅は限定的となることが予想される。
・レジスタンス転換が確認された148.40すら突破できない場合は、来週以降もドル円の下落を警戒する状況が続こう。一方148.40レベルを突破すれば、149.00のトライが視野に入ろう。15分足にプロットしたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準148.80の上方ブレイクは、149.00をトライするサインと考えたい
・日米の利回り格差が縮小トレンドを維持していることを考えるならば、2月の米雇用統計で労働市場の堅調さが確認されても、市場予想から相当上振れしない限り、149.00手前で反落する展開を想定したい。一方、米雇用統計が市場予想をはるかに上回る強い内容となれば、149円台へ上昇する可能性が高まろう。このケースでは、レジスタンスラインとして相場の反発を止め続けている10日線の攻防に注目したい
レジスタンスライン
・149.18:10日線(日足)
・149.00:レジスタンスライン(15分足)
・148.80:61.8%戻し(15分足)
・148.52:半値戻し(15分足)
・148.40:レジスタンス転換した水準(15分足)
ドル円のチャート
日足:2024年9月以降

出所:TradingView
15分足:3月5日以降

出所:TradingView
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