外為市場は米CPI待ちのムード / ドル円の展望とチャートポイント
5月の米消費者物価指数(CPI)を控え、12日の米ドル相場と円相場はともに売り買いが交錯する展開となった。しかしドル円は底堅さを維持している。今日の展望は?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※ユーロ円の分析レポートについてはこちらをご覧ください
サマリー
・米ドル相場は売り買いが交錯、13日の5月米CPI待ちのムード
・米CPIとドル円の展望および注目のチャートポイントについて
・植田日銀の緩和スタンス維持と米株高の進行はドル円のサポート要因に
米CPI待ちムードで売り買いが交錯
13日に5月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えるなか、12日の米債市場には明確なトレンドは見られなかった。
方向感のない米金利の動きを受け、外為市場では米ドル相場が売り買い交錯の展開となった。
円相場も同様に主要通貨で売り買いが交錯したが、ドル円(USDJPY)は5月の国内企業物価指数が予想以下となったことや米株高の進行を受け、21日MA(今日現在139.16レベル)を維持する底堅さを見せた。
米ドル相場の動向:6月12日
ドル円の展望とチャートポイント
予想以上の米CPIとドル円の展望
今日のドル円(USDJPY)は、5月の米消費者物価指数(CPI)で上下に振れる展開が予想される。
上で述べたとおり、現在のドル円は21日MA(今日現在139.16レベル)を維持する底堅さを見せている。また、通貨オプション市場のリスクリバーサル(1ヶ月/3ヶ月)の動向を確認すると、引き続きドル・プットの動きが後退する状況にある。
ドル円とリスクリバーサルの動向
この状況で5月の米CPIが総じて予想以上の伸びとなりインフレ圧力の根強さを示唆すれば、ドル円は140.00を目指す展開が予想される。短期レジスタンスラインの突破は、140.00をトライするシグナルと想定しておきたい(下の4時間足チャートを参照)。
しかし、米CPIがドル円の上昇要因となっても、翌日の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極める必要性があることを考えるならば、先週の7日と8日に相場の上昇を止めた140.25前後で反落する展開を想定しておきたい。
ドル円が140.25レベルの突破に成功しても、140.40-50のゾーンで反落する可能性を意識しておきたい。直近では5月31日に140.40レベル、6月5日に140.45レベルでそれぞれ上昇が止められた経緯がある。
ドル円のチャート
予想以下の米CPIとドル円の展望
一方、5月の米CPIでインフレの鈍化傾向が確認される場合は、米金利に低下の圧力が高まることが予想される。
米金利の低下は米ドル売りの圧力を高め、それがドル円(USDJPY)の下落につながるだろう。このケースでは、21日MAの下方ブレイクを想定しておきたい。
ドル円が21日MA以下の攻防となる場合、次の焦点は139.00の維持となろう。ドル円が139円台を下方ブレイクする場合は、138.70-80のサポートゾーンをトライする展開を想定しておきたい。
今週の15-16日に日銀金融政策決定会合が開催される。植田日銀は現行の金融緩和政策を維持する公算が大きい。
また、米国の株式市場では多くの機関投資家が運用の指標としているS&P500種株価指数(SPX)が昨年8月の戻り高値4,325レベルを突破し、22年4月以来の高値圏まで上昇してきた。
移動平均線のきれいな序列と右肩上がりのトレンドも考えるならば、テクニカルの面でも米国株は調整の反落を挟みながら株高トレンドを維持する可能性が高まっている。
植田日銀の緩和スタンス維持と米株高の進行を考えるならば、さえない米CPIでドル円が下落しても、138.70-80ゾーンまでの反落が限界と予想する。
138.40レベルを起点とした短期サポートラインの下方ブレイクは、138.70-80ゾーンをトライするシグナルと想定しておきたい。このラインは今日現在、138.90台で推移する(上の4時間足チャートを参照)。
S&P500種株価指数のチャート
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