ドル円は上昇トレンドを維持しレジスタンスの水準を探る状況が続いているが
28日のパネル討論でパウエルFRB議長は追加利上げの姿勢をあらためて示した。ドル円(USDJPY)は上昇トレンドを維持し、145円を目指すムードにある。しかし、日米の利回り格差は横ばい推移へと転じており、今後の動向を注視すべき状況にある。今日の展望は?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・米ドル買い優勢を受けドル円は上昇トレンドを維持
・今日のドル円は米新規失業保険申請件数で上下に振れる展開が予想される
・ドル円のチャートポイントについて
・ドル円と日米利回り格差のトレンドにはかい離が見られ始めている
米ドル買いを受けドル円は上昇トレンドを維持
米ドル買い優勢の展開
28日の外為市場は米ドル買い優勢の展開となった。欧州時間から米ドルを買い戻す展開となり、米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は、21日MA(今日現在103.70レベル)と短期レジスタンスラインをトライする局面が見られた(下の日足チャートを参照)。
この日のパネル討論会でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、連続利上げの可能性について言及した。NY時間序盤に米ドル買いの局面が見られたが、米金利の上昇が抑制されたことでロンドン勢が引けた後は売り買いが交錯した。
ドルインデックスは、21日MAと短期レジスタンスラインで上昇が止められた。
ドルインデックスのチャート
ドル円は上昇基調を維持
28日のドル円(USDJPY)は米ドル買いにサポートされ、高値144.61レベルを付ける局面が見られた。
この日のパネル討論で日銀の植田和男総裁は、2024年もインフレが続くと確信できれば金融政策を転換する十分な理由になると述べた。だが、23年末にかけてインフレが低下した後、24年に再上昇へ転じるかは不透明とも述べた。
上記の発言と6月会合後の記者会見での発言(将来的な政策修正にはサプライズが伴う可能性を指摘したこと)を考えるならば、植田総裁は7月会合でのイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の修正に向けて慎重に歩みを進めているように見られる
しかし、現在の外為市場では金融政策スタンスの差を意識する状況が続いている。日銀が政策修正に動くとしても1ヶ月の間があることを考えるならば、目先のドル円は、引き続き新たなレジスタンスの水準を探る状況が続くだろう。
今日の注目材料と展望
今日は、新規失業保険申請件数が発表される。雇用市場の動向はインフレに大きな影響を与える。ゆえに週間ベースで公表される新規失業保険申請件数は、雇用市場の動向を予測する上で重要な指標となろう。
市場予想は26.5万件。申請件数が予想以下ならば、パウエルFRBによる利上げ長期化が意識されることで「米ドル買い→ドル円の上昇」の展開が予想される。このケースでは、IG為替レポートで取り上げている145.00-20ゾーンのトライが目先の焦点となろう。
昨日の高値144.61レベルの上方ブレイクは、ドル円(USDJPY)がレンジの下限145.00レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円のチャート:日足
一方、新規失業保険申請件数が予想以上に増加する場合は、「米ドル安→ドル円の反落」を想定しておきたい。だが、新規失業保険申請件数の結果を受けてドル円が下値トライとなっても下落幅は限定的と予想する。
ドル円の反落局面では、144円台の維持が目先の焦点となろう。直近の相場をサポートしている5日MAは今日現在144.00レベルまで上昇している(上の日足チャートを参照)。テクニカルの面でも144.00レベルの攻防に注目したい。
昨日、レジスタンスとしてもサポートとしても意識される局面が見られたフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準144.14レベルの下方ブレイクは、ドル円が144.00をトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円が143円台の攻防へシフトする場合は、短期サポートラインの維持が次の焦点となろう。欧州勢が参入するタイミングでこのラインは、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準143.85レベルと交錯する。
ドル円が短期サポートラインをも下方ブレイクする場合は、半値戻しの水準143.62レベルまでの反落を想定しておきたい。
ドル円のチャート:1時間足
ドル円と日米の利回り格差の動向
上述したとおり、ドル円(USDJPY)は上値をトライする状況が続いている。
ドル円のトレンドは、日米の利回り格差に大きな影響を受ける。その利回り格差の動向を確認すると、2年債利回りのそれこそ緩やかな拡大傾向にあるが、5年債と10年債の利回り格差は拡大傾向が止まり、直近は横ばい推移となっている。また、直近は2年債利回り格差も横ばい推移へ転じるムードにある。
日米の金融政策スタンスの差は確かにドル円の押し上げ要因となっている。しかし今後、米債市場でインフレ相場の先-パウエルFRBがインフレの抑制に成功すると同時に景気不安が意識される将来の情勢の方が強く意識される場合、米金利には低下の圧力がかかることが予想される。米債市場がこの状況となれば、横ばい推移となっている日米利回り格差は縮小へ転じよう。
すでにドル円と日米利回り格差のトレンドにはかい離が見られ始めている。この状況を考えるならば、新たなレジスタンスの水準(その候補としてIG為替レポートで取り上げたのが145.00-20ゾーン、昨年の最高値と今年1月安値のフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準146.11レベル、V計算値の146.35レベル)が判明した後、ドル円は一度下落相場へ転じる展開を想定しておきたい。
ドル円と日米利回り格差のチャート
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