パウエル発言と市場の反応 / ドル円とユーロドルの見通し
7日の外為市場はパウエルFRB議長の発言に米ドル売りで反応した。再び米ドル相場が下落トレンドへ転じるかどうか?は、今後の米経済指標次第となろう。テクニカルの面で分岐点にあるドル円とユーロドルの展望は?注目のテクニカルポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
パウエル発言と市場の反応 / ドル円とユーロドルの見通し
【サマリー】
・パウエルFRB議長の発言内容に各市場はまちまちの反応を示した
・米ドル相場のトレンドは今後の経済指標の内容に左右されるだろう
・続落局面でのドル円は21日線の攻防に注目したい
・ユーロドルの焦点は引き続き50日線(1.07レベル)の維持となろう
パウエルFRB議長の発言と各市場の反応
まちまちの反応
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は7日、ワシントン経済クラブで行われたインタビューに応じた。ディスインフレ(インフレの鈍化)が進行しているとの認識をあらためて示す一方で、労働市場の力強さについても言及し、インフレ抑制のためには時間を要すると指摘した。また、今後のデータ次第では追加の利上げを行うことも示唆した。
パウエルFRB議長の発言後、米株式市場は買戻しで反応し、外為市場では米ドル売りが見られた。一方、米債市場では利回りの反発基調が続いた。
各市場でまちまちの反応となったが、パウエルFRB議長がインフレ抑制のために持続的な利上げの必要性に言及したこと、そしてミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁が1月米雇用統計の強さに言及した上で、政策金利を5.4%まで引き上げる必要があるとの見解を示したことも考えるならば、今後の動向をより冷静に把握しようとしているのは米債市場と思われる。
2月7日の各市場の動向
テクニカルを意識する米ドル相場
反発基調にあった米ドル相場は、テクニカルの面で反発(調整の米ドル買い)が止められやすい状況にあった。
例えば、ドルインデックス(DXY)は50日線(MA/103.57レベル)とフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準(103.73レベル)、ドル円(USDJPY)は50日線(MA/132.40レベル)とフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準(132.70レベル)、そしてユーロドル(EURUSD)は “サポート転換” が確認された1.07と50日線(MA/1.0698 レベル)で米ドル売りが入りやすいタイミングにあった。これらテクニカル分析の詳細については、7日のIG為替レポートを参照されたし。
焦点は米経済指標
短期金融市場では今年後半の利下げを織り込む状況が続いているが、早期の利上げ停止に対する楽観的な見方は後退している。その主因となったのが、“強すぎた” 1月の米雇用統計である。米債市場ではその影響を引きずる状況が続いているが、このトレンドの持続性は米経済指標次第となろう。
明日は新規失業保険申請件数と失業保険継続受給者数が発表される。10日には2月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)が発表される。期待インフレ率(1年先)の動向も焦点となろう。現時点での予想では、1月の3.9%から4.0%へ若干ながら上昇する見通しとなっている。
そして来週14日には1月消費者物価指数(CPI)が発表される。これらの経済指標で米利上げの長期化観測がさらに高まれば、米ドル相場は再び反発ムードを強める展開が予想される。
ドル円とユーロドルの展望およびチャートポイント
ドル円は21日線の攻防が焦点に
7日のIG為替レポートでは、ドル円(USDJPY)の焦点として50日線(MA/132.40レベル)の攻防を取り上げた。
日足チャートを確認すると、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準(132.70)とともに50日線が相場の反発を見事に止めたことがわかる。
また、昨日の日足ローソク足は大陰線となり、131.20レベルの “サポート転換” にも失敗した状況も考えるならば、続落の局面では21日線(MA/129.90レベル)の維持が焦点となろう。昨年の12月以降、この移動平均線はレジスタンスラインとして意識されてきた経緯がある。ゆえにサポートラインへの転換が確認される場合は、再び50日線を視野に反発する可能性を意識したい。
一方、ドル円が21日線をもあっさりと下方ブレイクする展開となれば、サポートポイントとして意識されている128.00レベルを視野に下落幅の拡大を警戒したい。
ドル円のチャート
ユーロドルは50日線の維持が焦点に
一方、ユーロドル(EURUSD)の焦点は、50日線(MA/1.0698レベル)の維持となろう。
ドイツ連銀のナーゲル総裁は7日、インフレ抑制のために一段の大幅な利上げが必要になるとの見解を示した。また、シュナーベルECB理事も3月の理事会で0.5%の利上げを行う意向を示唆した。
ドイツの長期金利は先週3日以降からの反発基調を維持し、昨日は一時2.352%と約1ヶ月ぶりの水準へ上昇した。しかし、米金利が反発基調を維持したことで米独利回り格差(10年債利回りの格差)はパウエル発言後に拡大し、ユーロドルの上昇幅は限定的となった。
だが、50日線の維持には成功し、かつ日足ローソク足の実体ベースでは1.07台の維持にも成功している。これらの動向を考えるならば、ユーロドルの焦点は50日線(1.07)の維持となろう。50日線の攻防は、上で述べた米経済指標の内容次第となろう。
ユーロドルが反発基調へ転じる場合は、21日線(MA/1.0834レベル)のトライおよびブレイクとなるか?この点に注目したい。ユーロドルがこの移動平均線を上方ブレイクする場合は、1.09台への再上昇が次の焦点となろう。
一方、ユーロドルの反落基調が続く場合は、50日線のブレイクを常に警戒しておきたい。昨日の安値1.0670レベルをも一気に下抜ける場合は、下落幅の拡大を警戒したい。
ユーロドルのチャート
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