焦点はパウエル証言と米金利の反応 / ドル円とユーロドルの見通し
外為市場はパウエルFRB議長による議会証言待ちのムードにある。パウエル証言を受けてドル円とユーロドルはどのような展開となるのか?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
【サマリー】
・目先の焦点はパウエル証言と米金利の反応
・米債市場では政策金利の高止まりと長期化をかなり織り込んでいる
・パウエルFRB議長がインフレ抑制重視の姿勢を示しても米金利は上昇しない可能性あり
・ドル円とユーロドルの見通しおよびチャートポイントについて
パウエル証言と米金利の反応
6日の外為市場では米ドルの売り買いが交錯し、米ドル相場全体に明確な方向感は見られなかった。
しかし今日以降は、アメリカの重要イベントで米ドル相場の新たなトレンドが形成される可能性がある。そのきっかけとして目先注目したいのが、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長による半期に一度の議会証言である。
2月に確認された最新の物価データでは、インフレ圧力の根強さが確認された。ゆえにパウエルFRB議長はインフレ抑制重視のスタンスを踏襲すると思われる。
注目すべきは、パウエル証言に対する米金利の反応である。インフレリスクが再燃しているタイミングで政策金利(FFレート)の水準を引き上げる可能性や利上げ政策の長期化についてパウエルFRB議長が言及する場合は、米金利の上昇要因となり得る。
パウエル証言を受けて米金利が上昇する場合、外為市場では米ドル買いの圧力が高まるだろう。米金利の上昇だけでなく、米株安も予想されるからだ。
アメリカ政策金利の予想推移
しかし、短期金融市場では予想ターミナルレートが5.4%台で張り付いており、一時5.5%まで到達する局面が見られた(上のチャートを参照)。
一方、米債市場では、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りが昨秋に付けた高水準(4.8%)を突破する状況にある。また、10年債利回り(長期金利)も節目の4.0%を突破する局面が見られた。10年の実質金利も高止まりの状況にある。
これらの動きは、FRBの利上げが長期化する可能性と最終的な政策金利の水準(ターミナルレート)が切り上がる可能性を市場参加者がかなり織り込んできたこと(=市場参加者が当初に想定していた甘い見通しの修正がかなり進行したこと)を示している。
ゆえに、パウエルFRB議長がインフレ抑制重視の姿勢を示しても、米金利が上昇しないシナリオも想定しておくべきだろう。
米金利のチャート
ドル円の見通しとチャートポイント
今日のドル円(USDJPY)は、パウエルFRB議長の証言に対する米金利の反応で上下に振れる展開が予想される。
上で指摘したとおりパウエル証言に対して米金利が上昇で反応しない可能性がある。このケースでは、ドル円の下落を想定しておきたい。実際にそのような展開となれば、今後の上昇局面で200日MA(137.40レベル)がレジスタンスラインとして意識される可能性を高めるだろう。
ドル円が下値を目指す場合、どこまで下落するのか?については米金利の低下幅によるが、目先注目すべきは、“サポート転換”が確認されている135.00レベルと134.00レベル、どちらの水準で反発するのか?この点にある。
直近のドル円は、135.30台で反発する状況が確認されている。よって、135.30の下方ブレイクは、135.00トライのシグナルと想定しておきたい。
パウエル証言後に米金利の低下幅が拡大し、ドル円が135.00の水準を難なく下方にブレイクする場合は、21日MA(134.37レベル)の攻防が焦点として浮上しよう。この移動平均線の下方ブレイクは、134.00トライのシグナルと想定しておきたい。
ドル円のチャート
ユーロドルの見通しとチャートポイント
ユーロドル(EURUSD)は、地合いの強さが戻りつつある。この点は、MACDの動きも示唆している。日足ローソク足の実体ベースで21日MA(1.0660レベル)の突破に成功している状況も考えるならば、1.08を視野に上昇幅が拡大する可能性が出てきた。
しかし、このトレンドが続くかどうか?は、パウエル証言と米金利の反応次第となろう。パウエル証言に対して米金利が上昇しない場合、または低下で反応する場合はユーロドルの1.07台の上昇を予想する。テクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準1.0724レベルの攻防となるか?この点に注目したい。
ユーロドルが38.2%の水準を難なく突破する場合は、直近高安の半値戻し1.0783レベルのトライおよびブレイクが次の焦点となろう。この水準は2月上旬から中旬にかけて、1.08とともに相場の上昇と止めた経緯がある。
一方、パウエル証言に対して米金利が上昇で反応場合は、米独利回り格差の拡大とそれに伴うユーロドルの反落を予想する。このケースでは、サポートラインとして意識されている89日MA(1.0587レベル)の攻防が焦点となろう。
ユーロドルがこの移動平均線(89日MA)を難なく下方ブレイクする場合は、1.05を視野に下落幅の拡大を警戒しておきたい。
ユーロドルのチャート
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