今週の注目材料 / 米ドル相場とユーロ相場の見通しについて
今週の注目材料は、米国のインフレ指標と欧州中央銀行(ECB)理事会となろう。米金利に再び低下の圧力が高まるなか、米ドル相場とユーロ相場の見通しは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※今週のドル円とユーロドルの展望およびテクニカル分析についてはこちらのレポートをご参照ください。
【サマリー】
・今週の米ドル相場は引き続き経済指標にらみの展開が続くだろう
・米国の経済指標では2月のインフレ指標に市場参加者の注目が集まろう
・3月のECB理事会では今後の利上げペースが焦点に
・ドルインデックスの展望とチャートポイントについて
米国のインフレ指標と米ドル相場の見通し
今週は米国のインフレ指標が焦点に
2月の米雇用統計では、平均時給が前月比と前年同月比でともに市場予想を下回った。前月比は1月の0.3%増から0.2%増へ低下し、賃金インフレが抑制されてる状況が確認された。
平均時給の推移:前月比
今週14日に2月の消費者物価指数(CPI)、15日に同月の生産者物価指数(PPI)が発表される。これらの米国のインフレ指標はいずれも前月から低下する見通しとなっている。
米国のインフレ指標:予想と前回
来週に連邦公開市場委員会(FOMC、21~22日)を控えている。2月の米雇用統計、そして米銀シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻の問題を受けて短期金融市場では50ベーシスポイント(bp)利上げの可能性が後退している。
米債市場では利回りに低下の圧力が高まり、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは4.5%を割り込む展開が見られた。10年債利回りも3.7%台まで低下している。しかし、今週のインフレ指標の内容次第では、50bp利上げの観測が再び高まる可能性がある。米金利が反発する可能性も警戒しておきたい。
米金利のチャート
ドルインデックスの展望とチャートポイント
2月の米雇用統計で賃金インフレの抑制傾向が確認された。そしてSVBの経営破綻問題を受け利上げの悪影響が意識される状況で2月の米物価指標がインフレ懸念を後退させる内容となれば、米債市場では利回りに低下の圧力が高まることが予想される。
米金利の低下は外為市場で米ドル売りの要因となろう。米ドル相場のトレンド示すドルインデックス(DXY)は米金利の低下に連動し、21日MA(104.46レベル)を下方ブレイクする状況にある。サポートポイントの104.00ブレイクとなれば、米ドル相場の地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。
一方、2月の米物価指標でインフレ圧力の根強さがあらためて確認される場合は、次回FOMCでの利上げペースの再加速(50bpの利上げ)を各市場の参加者に意識させるだろう。このケースでは米金利の上昇と米株安の展開が予想される。米金利の反発と米株安が同時に発生する局面では、米ドルを買い戻す圧力が高まるだろう。このケースでは105ポイント台の再上昇と、レジスタンスとして意識された106.00のトライを想定しておきたい。
ドルインデックスのチャート
ECB理事会とユーロ相場の見通し
今週16日に欧州中央銀行(ECB)の理事会が予定されている。50ベーシスポイント(bp)の利上げが予想されているが、焦点は今後の政策動向にある。
南欧諸国やドイツでは、根強いインフレの圧力に直面する状況が続いている。ECB理事会メンバーのナーゲル独連銀総裁は今月1日、3月以降も大幅な利上げの必要性について言及した。7月からの量的引き締めの加速についても言及した。一方、フランス中銀のビルロワドガロー総裁は、緩やかな利上げと遅くとも9月までに終了することについて言及し、イタリア中銀のビスコ総裁からも緩やかな利上げを支持する発言が聞かれている。
ECB内で見解が分かれているため、今後の利上げ政策について議論の難航が予想されるが、ラガルド総裁が3月以降もインフレを抑制するために大幅利上げを支持するスタンスを示す場合、ユーロ相場は買いで反応すると予想する。
一方、利上げペース減速の可能性を意識させる言動がラガルド総裁から聞かれる場合は、ユーロ安の展開が予想される。
なお、短期金融市場の動向を確認すると、一時4%付近まで上昇していたターミナルレートの予想水準が3.7%台まで低下する状況にある。
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