米中古住宅市場に11年1か月ぶり異変 価格2か月連続減 ドル安要因にも
米国の中古住宅価格が下がり始めた。先行き不安の現れだが、物価上昇と闘うFRBには朗報で、今後の利上げや為替の動向も注目される。
米国の中古住宅市場で異変が起きている。20日に発表された3月の中古住宅販売価格の前年同月比増減率が2月に続いてマイナスを記録。2か月連続の減少は2012年2月以来11年1か月ぶりだ。一方、中古住宅の販売件数は住宅ローン金利と同様に横ばい傾向だが、住宅購入検討者の先行き不安は価格面にあらわれているともいえそうだ。また、中古住宅価格の下落は物価上昇の強さを警戒する連邦準備制度理事会(FRB)の利上げの動向にも影響する。20日の金融市場では長期金利が下がっており、米国の景気後退やドル安を予感させている。
3月の中古住宅の平均販売価格が0.9%減
全米リアルター協会(NAR)のデータによると、3月の中古住宅の平均販売価格は37万5700ドルで前年同月比0.9%減。2月の0.03%減に続き、2か月連続のマイナスとなった。販売価格は2010年12月から2012年2月まで15か月連続でマイナスになった後はプラスが続いており、中古住宅市場で異変が起きている形だ。
同時に発表された中古住宅の販売件数は444万件で、前年同月比22%減。予想以上に数字が大きかった2月の455万件からは2.4%の減少となっている。販売件数は2022年秋からほぼ横ばいといえる状況だ。
一方、米国の住宅ローン金利は2022年10月中旬に7.16%まで上昇した後は6%台で上下を繰り返している。FRBは住宅ローン金利がピークを付けた後も利上げを続けており、本来であれば住宅ローン金利もさらに上がっておかしくない。しかし金融市場では、FRBの利上げが結果的に景気後退につながるとの見方や、3月に広がった金融システム不安の結果、長期金利が下がる場面もあり、住宅ローン金利を押し下げる要因となっている。
こうした上がり切らない住宅ローン金利は中古住宅購入検討者の背中を押し、販売件数の底堅さにつながっている可能性がある。一方、販売価格は住宅ローン金利の動向に関わらず、前年同月比の増減率が下がっており、住宅購入への不安を表しているようにもみえる。
パウエル議長、住宅価格の落ち着きは「時間の問題」
また、中古住宅の販売価格が前年同月比で下がっていることは物価上昇との闘いを続けているFRBにとっては朗報だ。パウエル議長は3月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、住宅関連の価格上昇が落ち着くことについて「時間の問題だ」としており、見立ての正しさを感じさせる。
CMEグループのデータによると、次回FOMC(5月2、3日)での0.25%の利上げについて、投資家が予想する確率は日本時間21日正午時点で約80%。一方、6月にもう一段の利上げが行われる確率は24%で、5月の0.25%利上げが最後になるとの見方が大勢のようだ。
中古住宅の指標が発表された20日の金融市場では、企業決算の悪さなどもあって金利が下がり、ドル円相場(チャート)やドルインデックス指数(チャート)が下落した。25日に発表される3月の新築住宅販売件数などでも弱さが感じられれば、ドル安方向に相場を動かす要因となりえる。
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