外為市場は米経済指標にらみの展開が続く/ 米ドル相場の見通しについて
今週の外為市場は、引き続きアメリカの経済指標をにらんだ展開が続くだろう。米債市場と短期金融市場ではFRBの利上げが長期化する可能性を急速に織り込んでいるが、強い米経済指標が続く場合は、もう一段の「米金利上昇→米ドル高」を想定しておきたい。米ドル相場のトレンドを示すドルインデックスの見通しは?注目しておきたい上下のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※今週のドル円の見通しについては、「こちら」のレポートをご参照ください。
外為市場は米経済指標にらみの展開が続く
【サマリー】
・PCEデフレーターでもアメリカのインフレ圧力の根強さが確認された
・FRBの利上げ長期化を急速に織り込む米債市場と短期金融市場
・米ドル相場は経済指標にらみの展開が続く、ドルインデックスの見通しについて
インフレリスクの再燃と利上げ長期化を急速に織り込む市場
連邦準備制度理事会(FRB)が最も注視するインフレ指標が、個人消費支出(PCE)デフレーターである。先週24日に1月のPCEデフレーターが発表された。
結果は個人消費支出が大幅に伸び、他のインフレ指標(消費者物価指数や生産者物価指数)と同じく、アメリカのインフレ圧力の根強さを示す内容となった。前月比の伸びは、その根強さを示唆した。
インフレリスクの再燃は、米利上げ長期化の可能性を各市場の参加者に意識させている。特にこの点を強く意識しているのが、米債市場である。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは4.8%台へ到達し、昨年11月の高水準を突破する状況にある。
一方、インフレや景気の先行きを織り込んで動く10年債利回りも、節目の4.0%を再び目指すムードにある。
米金利の動向
一方、短期金融市場(OIS市場)では、政策金利(FF金利)の予想ターミナルレートが5.4%台まで上昇している。2月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の予想ターミナルレートが4.9%前後だったことを考えるならば、1ヶ月も経たないうちに市場の予想が0.5%も上方修正されたことになる。
米債市場と同じく短期金融市場でも、FRBによる利上げ長期化の可能性を急速に織り込む動きが見られる。
アメリカFF金利の予想推移
米経済指標にらみの状況が続く外為市場
“強すぎた” 1月の雇用統計とインフレ圧力の根強さを示した各物価指標が、米債市場および短期金融市場の急激な変動を促したこと、そしてこれらの動きが米ドル相場に及ぼす影響も考えるならば、今週の外為市場は引き続き米経済指標にらみの展開が予想される
今週の注目指標は、明日以降順次発表される2月の消費者信頼感指数(コンファレンスボード)とISM製造業/非製造業景気指数である。
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)の状況を確認すると、米金利の上昇に連動し89日MA(105.04レベル)の突破に成功している。「強い経済指標→米金利の上昇」が続けば、米ドル高のさらなる進行でリトレースメント38.2%の水準105.53レベルや100日MA(105.85レベル)の攻防が焦点となろう。
一方、米債市場が利上げ長期化の可能性を急速に織り込んでいる状況で、さえない米経済指標の内容が続く場合は米ドル高の調整相場(反落)を警戒したい。調整の幅は米金利の動向次第だが、まずはレジスタンスからサポートへの転換が確認されている104.00レベルの維持に成功するかどうか?この点を確認したい。
ドルインデックスのチャート
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