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じわりと強まるリスク回避相場での円買い圧力

中国のコロナ騒動で28日のグローバル株式は下落した。リスク回避相場を受け外為市場では米ドル買いの展開となった。しかしこれまでとは違いある変化が見られる。この変化はドル円のトレンドにも影響を与えるだろう。その変化とは?ドル円のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートにて。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

じわりと強まるリスク回避の円買い圧力


【サマリー】
・リスク回避相場での米ドル買いに"変化"が見られる
・米金利の上昇圧力が後退 じわりと強まるリスク回避の円買い圧力
・ドル円は下値を探る展開が続く


リスク回避の米ドル買いは続いているが...

28日の欧米株式市場は全面安の展開となった。週末に中国で拡大したゼロコロナ政策への抗議活動が世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が相場の重石となった。

また、米国の株式市場では金融引き締め政策に対するリスクも意識された。

セントルイス連銀のブラード総裁は一段の利上げ政策を支持する一方、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁はインフレリスクについて言及しブラード総裁と同じスタンスを示した。

また、クリーブランド連銀のメスター総裁はFT紙のインタビューで近いうちの利上げ停止を否定した。

株安は米金利の低下要因となったが、各地区連銀総裁らのタカ派発言も材料視され、28日の米債市場に大きな変動は見られなかった。

リスク回避相場に加えて米金利の低下幅も限定的だったことで、28日の外為市場は米ドル買い優勢の展開となった。

中国リスクが意識される局面でのオセアニア通貨売り、というトレンドパターンは健在だった。

対欧州通貨でも米ドル買いの展開となり、ユーロドル(EURUSD)は1.15手前で上昇が止められた。

一方、ポンドドル(GBPUSD)は200日線(1.2168レベル)の手前で反落ムードが強まっている。

「リスク回避相場での米ドル買い」が健在であることが、昨日の動きで確認された。

しかし、これまでとは違い “ある変化” が見られることについても意識しておくべきだろう。

米ドル相場のパフォーマンス:11月28日

米ドル相場のパフォーマンス:11月28日 データ:Bloomberg L.P. 基準日:2022年11月25日

リスク回避相場での円買い

その変化とは、リスク回避相場で米ドル買いの圧力よりも円買いの圧力の方が勝る局面が散見されることである。

これまでであれば、米ドル買いの局面が多く見られた。しかし、昨日のパフォーマンスを確認すると、対円では米ドル売りとなったことがわかる(0.17%の米ドル安 / 上のパフォーマンスチャートを参照)。

円買い優勢の主因は、米金利のトレンド転換(の可能性)にあると考えられる。

なぜか?それは、これまでのリスク回避相場の根底にあったのは、米金利の上昇リスクだったからだ。

しかし、現在の米債市場ではインフレ懸念の後退で米金利のトレンドが上昇から低下へ転じつつある。そしてこのトレンド転換は、米ドル買いの圧力を後退させている。

ゆえにリスク回避相場では、米ドル買いの圧力よりも円買いの圧力の方が勝る局面が散見されていると考えられる。

米金利のチャート

米金利のチャート チャート:Bloomberg L.P. 日足(今年8月以降)


連邦準備制度理事会(FRB)はインフレを抑制するために利上げを続けるだろう。

だが、短期金融市場での政策金利の予想推移を確認すると、ターミナルレートが5%以下になる可能性を織り込む動きが見られる。

また、今後は景気の後退リスクも意識される可能性が高い。実際にそのような展開となれば、政策金利の予想推移は下方に修正され、米金利にはさらに低下の圧力が強まる展開が予想される。

よって今後リスク回避の局面での外為市場では、じわりと円買いの圧力が米ドル買いのそれに勝る展開を意識する必要があろう。

米政策金利の予想推移

米政策金利(FFレート)の予想推移 データとチャート:OIS / Bloomberg L.P. / 28日9時時点

サポートポイントを探る展開が続くドル円

目先の焦点は137円ミドルの攻防

米金利に低下の圧力が強まっている状況を考えるならば、現在の米ドル買い要因の一つが、リスク回避相場である。

しかし、上で述べたとおり米金利の上昇トレンドが転換しつつあることで、円買い圧力の方が勝る状況が見られる。ゆえに今のドル円(USDJPY)は、新たなサポートポイントを探る展開が続くだろう。

昨日は、今月15日の安値137.66レベルをブレイクする局面が見られた(IGレートの安値137.49)。

15日と昨日の下落局面ではともに、長い下ヒゲが示現しての反発となったことから、137円ミドルでの米ドル買いの強さがうかがえる。
それゆえ、137円ミドルの下方ブレイクは、ドル円の下落幅が拡大するシグナルとなり得る。

実際にドル円がそのような展開となる場合、次は136円台の維持が焦点となろう。今年8月下旬に136.00レベルが相場をサポートした経緯がある。

だが、テクニカルの面では28日のレポートでも指摘したフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準135.48(135円ミドル)の維持が焦点となろう。

一方、ドル円の反発局面では、10日線(MA / 139.90レベル)のブレイクが目先の焦点となろう。この移動平均線の攻防は現在、140円台へ再上昇できるかどうか?の攻防でもある。

ドル円が10日線を上方ブレイクした後に、この移動平均線がサポートラインへ転換する場合は、142.00レベルまでの反発を想定したい。

ドル円のチャート

ドル円のチャート チャート:Trading View 日足(今年7月以降)

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