【ドル円 (USD/JPY)】引き続き148.80レベルの攻防が焦点に / 10日線のサポート転換に注目
2日の雇用統計に続き1月のISM非製造景況感指数も米国経済の底堅さを示した。強い内容の経済指標が続き、外為市場では米ドル高が進行している。今日以降は、FEDスピーカーの発言が米ドル相場の変動要因となろう。ドル円(USD/JPY)の見通しは?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・雇用統計に続きISM非製造業景況感指数も米国経済の底堅さを示した
・強い内容の経済指標が続いていることで、外為市場では米ドル高が進行している
・ドル円の焦点は148.80台の攻防を制し、149円台へ上昇できるかどうかにある
・一方、ドル円の反落局面では10日線のサポート転換が焦点となろう
強い内容が続く米国の経済指標
米供給管理協会(ISM)が発表した1月の非製造業景況感指数は53.4と前月の50.5から上昇した。予想の52.0も上回った。また、新規受注指数は52.8から55.0へ上昇し、雇用指数は43.8から50.5へ急回復した。
サービス業の景況感は21年の後半を境に悪化した。しかし、景気判断の分かれ目である「50」以上で堅調さを保ち、1月の内容はサービス業の回復を示唆した。
米国のISM非製造業景況感指数の動向:月次21年9月以降
※上記チャートの日付を修正:誤 23年11月 / 正:21年11月
反発基調へ転じるアメリカの長期金利
1月の雇用統計で労働市場の堅調さが確認されたタイミングで、同月のISM非製造業景況感指数も予想以上の強さを示したことを受け、5日の米債市場では利回りに上昇の圧力が高まった。
10年債利回り(長期金利)は4.17%台へ上昇し、1月下旬に上昇を止めた4.2%を視野に入れる状況にある。
また、1月下旬からの動向を確認すると、労働市場の堅調さを示した2日の雇用統計でトレンドが急速に変化していることが分かる(下のチャートを参照)。
今後発表される重要経済指標で米国経済の強さやインフレ圧力の根強さが確認される場合は、現在、市場参加者が意識している5月利下げの可能性が後退しよう。
米債市場では利回りの低下圧力がさらに後退する展開が予想される。
米10年債利回りのチャート:15分足 1月30日以降
外為市場では再び米ドル高が進行する状況に
強い経済指標は、米長期金利の反発要因になると同時に、5月利下げの可能性を低下させている。CMEが提供しているFedWatch ツールによれば、5月利下げの確率は50%台まで低下している(レポート掲載時点での5月利下げの確率は54.0%)。
こうした状況を受け、外為市場では米ドル高が進行している。米ドル相場のおおまかなトレンドを表すドルインデックス(DXY)は、IG為替レポートで取り上げた104.00-20のレジスタンスゾーンを難なく上方ブレイクし、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準104.63レベルをトライする状況にある(下のチャート、赤矢印を参照)。
日足のMACDとモメンタムのトレンドは、現在の地合いの強さを示唆している(下のチャート、赤矢印を参照)。
今日以降、ドルインデックスが104.63レベルを突破する場合は105ポイント台、そしてフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準105.58レベルを視野に上昇幅が拡大する可能性が高まろう。
ドルインデックスのチャート:日足23年11月以降
今日以降はFEDスピーカーの発言が相場の変動要因に
今週は外為市場を動かす米国の経済指標が少ない。ゆえに今日以降は、米連邦準備制度理事会(FRB)の高官らの発言が、米債市場と米ドル相場の変動要因になり得る。
今日はクリーブランド地区連銀のメスター総裁が、経済についての講演を行う(日本時間7日午前2時予定)。ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁も講演を行い、質疑にも応じる(日本時間7日午前3時予定)。また、ボストン地区連銀のコリンズ総裁が労働市場についての講演を行う(日本時間7日午前4時予定)。
彼らFEDスピーカーから景気、インフレそして金融政策の見通しについての言及がある場合は、米債市場と米ドル相場の変動要因になり得る。
市場が抱く5月の利下げ観測を後退させる発言があれば、「米金利が反発基調を維持→米ドル高がさらに進行」する展開を想定しておきたい。
ドル円、今日の見通しとチャートポイント
148.80レベルの攻防を意識する状況が続く
ドル円(USD/JPY)は昨日、IG為替レポートで注目している148.80レベルを上方ブレイクし、高値148.89レベルまで上昇する局面が見られた。
しかし、日足ローソク足の実体ベースでは、148.80レベルを突破できなかった。本日の東京時間も148.80レベルを意識する状況が続いている。
ゆえに今日のドル円は、148.80レベルを完全に突破できるかどうか?そして突破した後、この水準がサポートポイントへ転換するかどうか?これらの点が焦点となろう。
ドル円のチャート:日足23年12 月以降
上昇局面でのチャートポイント
上で述べたとおり、現在の外為市場は「強い経済指標→早期利下げ期待の後退と米金利の反発」を受け、米ドル高が進行する状況にある。
FEDスピーカーの発言が米ドル買いの圧力をさらに高める場合は、148.80レベルの攻防を制し、149円台へ上昇する展開を想定しておきたい。
テクニカルの面では、IG為替レポートで何度か取り上げているフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準149.15レベルの攻防となるかどうか?この点に注目したい(下の日足チャートを参照)。
ドル円が149.15レベルの突破にも成功する場合は、昨年の11月下旬に相場の反発を止めた経緯のある149.70レベルのトライが焦点として浮上しよう(下の日足チャート、赤矢印を参照)。
ドル円がこの水準(149.70レベル)をも上方ブレイクする場合は、150.00のトライを意識することになろう。
ドル円のチャート:日足23年11月以降
反落局面でのチャートポイントは?
日足のストキャスティクスは、買われ過ぎの水準にある(上の日足チャート、赤矢印を参照)。
148.80レベルでの上値の重さも考えるならば、ドル円が上昇しても149.00レベルや149.15レベルで反落する展開を警戒しておきたい。
しかし、モメンタムはゼロラインを上回る状況を維持している(上の日足チャート、緑矢印を参照)。米長期金利の反発基調も考えるならば、ドル円が下値をトライしてもその幅は限定的となることが予想される。
ドル円の反落局面では、10日線(今日現在147.72レベル)の維持が目先の焦点となろう。昨年の11月以降、この移動平均線はレジスタンスのラインとしてもサポートのラインとしても意識される局面にある。現在は、サポートラインとして意識されるかどうか?この点に注目したい。
ドル円の反落が10日線で止まる場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。このケースでは、149円以上の水準を目指す展開が続くことを想定しておきたい。
一方、ドル円が難なく10日線を下方ブレイクする場合は、21日線のトライが焦点として浮上しよう。この移動平均線は今日現在、147.20レベルまで上昇している(上の日足チャート、青ラインを参照)。
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