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【ドル円(USD/JPY)】今週の見通しとチャートポイント

現在の外為市場は、米ドル高の進行を意識する状況にある。原油高の進行は米金利の上昇と米ドル高の上昇要因になり得る。FRB高官らの言動も引き続き市場の変動要因となろう。今週のドル円(USD/JPY)の見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・外為市場では現在、米ドル高の進行を意識する状況にある
・今週は原油先物価格の動向に注目、FRB高官らの言動も変動要因に
・ドル円は介入の警戒感を意識しながらも、上値トライの状況が続く
・ドル円の反落局面では、2つのチャートポイントの攻防に注目したい


今週の展望:米ドル高の進行を意識する状況に

4月以降、外為市場では米ドル高が進行している。米ドル高の要因は利下げ期待の後退にある。

3月の米消費者物価指数(CPI)でインフレ圧力の根強さが確認されたことを受け、短期金融市場では6月の利下げ期待が完全に後退。最初の利下げは今夏以降になるとの観測が高まり、かつ今年想定される利下げ回数が最大で2回に修正される状況にある(米FOMCメンバーが予想する今年の利下げ回数は3回)。

米ドル相場の動向: 月初来

米ドル相場の動向: 月初来 ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 4月12日までの動向

今週の注目材料:原油先物価格の動向

国際商品市況では、中東情勢の緊迫化が意識され原油先物価格が上昇基調にある。現在、市場関係者が注目しているのが、イランとイスラエルの動向である。

シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館への空爆を巡り、イランはイスラエルによる攻撃と断定。イラン革命防衛隊は13日、イスラエルの特定の標的に対して数十の無人機(ドローン)とミサイルを発射したと発表した。その一方でイランの国連代表部はSNSに「この問題は完了したとみなしうる」と投稿するなど、イラン側としては大使館の空爆と国内の世論を考慮し報復に踏み切らざるを得なかったこと、これ以上の衝突を望まない考えを示した。

しかし、イランによるイスラエルへの直接攻撃は報復の応酬に発展する可能性がある。イランとイスラエルの衝突が表立って激化すれば、中東の地政学リスクと石油の供給懸念が意識されることで、原油高がさらに進行することが予想される。

今週、中東情勢以外で原油先物価格の変動要因になり得るのが、中国の経済指標である。16日に第1四半期(1-3月期)の国内総生産(GDP)、そして3月の鉱工業生産や小売売上高などの重要経済指標が発表される。

中東リスクが意識されている状況で予想以上に強い内容が続けば、原油高の要因となろう。一方、中国経済の先行き懸念を高める内容が続く場合は、中東リスクの影響を相殺し、一時的にせよ原油高を抑制する要因になり得る。

原油先物価格の動向は、米長期金利(10年債利回り、以下米金利)のトレンドを左右する要因である。23年以降の両市場のトレンドを確認すると、昨年以降、米金利と原油先物価格のトレンドがほぼ一致している(下のチャートを参照)。原油高が米国のインフレ圧力につながることを意識した動きといえる。

ゆえに中東リスクによる原油高が長引けば、各市場の参加者が抱く米利下げ期待がさらに後退する一因となろう。

中東リスクが安全資産としての米債の投資妙味を高めても、リスク回避としての米ドル買い需要が高まる展開も予想される。

原油高の進行は米ドル高の要因と捉えておきたい。

米長期金利と原油先物価格のチャート

米長期金利と原油先物価格のチャート ブルームバーグのデータで筆者が作成

今週の注目材料:FRB高官らの言動

原油先物価格以外で今週、米ドル相場のトレンドを左右する要因として注目したいのが、米連邦準備制度理事会(FRB)高官らの言動である。

今週もジェファーソンFRB副議長の他、今年のFOMC投票権を持つクリーブランド地区連銀のメスター総裁、アトランタ地区連銀のボスティック総裁、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁、そしてリッチモンド地区連銀のバーキン総裁らが討論会や講演に出席する。

直近のインフレデータを受けて、利下げについて慎重な姿勢を示す発言が多く聞かれる場合は米ドル高の要因となろう。

米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は現在、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準105.58レベルを完全に上方ブレイクしている。モメンタムも上昇相場に勢いがあることを示唆している。

この状況で原油先物価格とFRB高官らの言動が米金利の上昇要因となれば、今週のドルインデックスは106ポイント台へしっかりと上昇してくることが予想される。昨年11月の高値107.11レベルのトライが現実味を帯びてこよう。

ドルインデックスのチャート:日足23年10月以降

ドルインデックスのチャート:日足23年10月以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

ドル円:今週の見通しとチャートポイント

上昇局面でのチャートポイント
ドル円(USD/JPY)は先週、IG為替レポートで注目しているNT計算値の水準153.28レベルを上方ブレイクする局面が見られた(高値153.38レベル)。

国内サイドからは円安をけん制する発言が聞かれるが、外為市場の参加者は意に介していない。今週もドル円(USD/JPY)が上昇基調を維持する場合は、V計算値の水準155.28レベルを視野に上昇幅が拡大することが予想される(下のチャート、赤ラインを参照)。

ドル円がこのチャートポイント(155.28レベル)をトライするシグナルとして、今週154円台へしっかりと上昇してくるかどうか?この点を確認したい。

ドル円のチャート:日足23年12月以降

ドル円のチャート:日足23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成


反落局面でのチャートポイント
一方、ドル円(USD/JPY)の反落局面では、152.00レベルの「サポート転換」が焦点となろう。

レンジの上限として意識されてきたこの水準(152.00レベル)がサポートの水準へ転換する場合、市場参加者にドル円の地合いの強さを印象付けよう。

ドル円が151円台へ反落しても、サポートポイントとして意識された経緯のある151.00レベルで反発する展開を想定しておきたい。

ドル円がこれらサポート水準をトライするシグナルとして、直近高安のフィボナッチ・リトレースメントでの攻防に注目したい。現時点では、下のチャートにプロットした各水準での攻防が焦点となろう。ドル円が高値更新となる場合は、フィボナッチ・リトレースメントの水準が上に切り上がることになる。

また、上の日足チャートにプロットした10日線と21日線の攻防にも注目したい。10日線は今日現在、152.20台まで上昇している。一方、21日線は151.60台まで上昇している。

ドル円のチャート:4時間足3月18日以降

ドル円のチャート:4時間足3月18日以降 TradingView提供のチャートで作成

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