金価格、最高値更新続く イランの攻撃で加速か ドル高も見通しに影響
中東情勢の緊迫が安全資産としての金の人気を高めている。一方、FRBの利下げ観測後退はドル高を通じて金価格を下押ししそうだ。
金価格の上昇が止まらない。前週末12日の金先物価格の終値は3週連続での値上がり。2024年に入ってから18回目の最高値を達成する勢いが続いている。13日のイランのイスラエル攻撃による中東情勢の緊迫が意識されれば、安全資産としての金への買いがさらに集まりそうだ。一方、FX市場ではアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測の後退を受けてドル高が進んでおり、金価格にとっての逆風になっている。今後の金価格の見通しは、FRBの金融政策をめぐる思惑にも影響を受けるとみられる。
金価格は最高値更新を続けて2374ドルに
LSEGによると、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物価格(中心限月)は12日の終値で1オンス=2374.10ドル。1週間での上昇率は1.22%で、3週連続での値上がりとなった。金価格は3月1日に2095.70ドルをつけて約2か月ぶりに最高値を更新。その後も値上がりを続け、4月3日には2300ドルを突破した。12日の終値で2024年の最高値更新は18回目で、2023年末比での上昇率は14.59%に達している。金のスポット価格(スポット金)も同様の値動きだ。
イランのイスラエル攻撃で中東情勢がさらに緊迫
このところの金価格上昇の背景には中東情勢の緊迫化がある。1日にイスラエルがシリア首都にあるイラン大使館周辺に攻撃を加えたと報じられ、13日にはイランがイスラエルに対してドローンと弾道ミサイルによる報復攻撃を行った。中東情勢悪化のきっかけとなった10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃前の金価格は1オンス=1845ドル程度で、足元までの上昇率は約29%に達している。今後、地政学リスクのさらなる高まりが意識されていけば、有事でも価値が落ちない安全資産としての金がさらに買われることが想定されそうだ。
ドル高進行は金価格にとっては逆風
ただ、金価格をめぐってはドル高という逆風も吹き始めた。LSEGのデータによると、ドルの相対的な強さを示すドルインデックス指数(ドルインデックス指数)は12日に106.04となり、1週間で1.67%のドル高進行となった。10日に発表されたアメリカの3月の消費者物価指数(CPI)が物価上昇の根強さを感じさせる内容で、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げが難しくなるとの観測が拡大したためだ。金融市場では一般的に、ドル高が進めば米国以外の投資家にとって金が割高となり、金が買われにくくなると説明される。
ドル高の背景には欧州中央銀行(ECB)が11日の理事会で5会合連続での政策金利維持を決めつつも、6月の利下げに前向きな姿勢を崩さなかったこともある。12日のユーロドル相場(EUR/USD)では、0.76%のユーロ安ドル高が進んだ。
このため、今後の金価格の見通しはFRBの金融政策をめぐる思惑に左右されそうだ。15日発表の3月の小売売上高のほか、25日発表の1-3月期GDPでの成長率や個人消費支出(PCE)物価指数などで物価上昇圧力の強まりが感じられれば、利下げ観測のさらなる後退がドル高を通じて金価格を下押しする可能性がある。一方、イランとイスラエルとの軍事的な衝突がさらに悪化するなどした場合には、金を買う勢いが強まることも考えられそうだ。
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