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ドル円膠着149円台 日銀は利上げ姿勢維持 FOMC後に円安進行も

ドル円相場は日銀の決定会合では大きな変化は出ず。FRBのパウエル議長が米国経済の堅調さを強調すれば円安が進む可能性がある。

ドル円膠着149円台 日銀は利上げ姿勢維持 FOMC後に円安進行も 出所:ブルームバーグ

ドル円相場の流れは日本銀行の金融政策決定会合後に大きな変化が出なかった。日銀は18、19日の金融政策決定会合で市場予想通りに政策金利を維持。植田和男総裁の記者会見後のドル円相場は1ドル=149円台で推移している。植田氏は記者会見で足元で進む長期金利(10年物国債利回り)の上昇を容認する姿勢をみせ、円高材料を提供。同時にアメリカの高関税政策をめぐる世界経済の見通しの不確実性も強調し、4月以降に利上げの道筋を再考する考えも示している。ドル円相場の動向は日本時間の20日未明に明らかになる、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の方向性でも左右される可能性があり、米国経済の見通しへの不安が高まらなければドル円相場が円安に振れることも考えられそうだ。

ドル円相場は日銀決定会合後も大きく動かず 149円台で推移

ドル円相場(USD/JPY)では19日午前11時25分ごろに日銀の決定会合の内容が伝わってから円安が進行。ブルームバーグによると、植田氏の記者会見が始まった直後の午後3時40分ごろには1ドル=150.02円をつける場面もあったが、会見が進むにつれて149円台前半まで円高方向へと振れた。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

日銀は追加利上げを見据える姿勢を維持 長期金利上昇は問題視せず

日銀は声明文の中で2026年度中に基調的な物価上昇率が2%程度で安定するとの見方を維持。植田氏は記者会見の中で経済や物価が見通し通りに推移すれば「政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整する」との見方を改めて示した。植田氏はさらに、労働組合の連合が14日に発表した春闘の第1回回答集計について、日銀の想定の範囲の中では強めの内容だったと指摘。今回の決定会合では一部の委員から物価の上振れリスクに注意すべきだとの発言があったことを明かした。植田氏はコメ価格の上昇についても利上げのタイミングを早める方向に働く要因だとしている。

また植田氏は足元で進む長期金利の上昇については、例外的なケースにおいて国債の機動的な買い入れで抑え込む可能性を認めたものの、「現状はそうした状況ではない」と述べた。日銀が利上げを見据えることで長期金利が上がっても問題視しない姿勢を示したといえ、150円台まで進んだ円安を円高方向に押し返す要因となったようだ。ブルームバーグによると、日本の長期金利は10日に一時、1.578%をつけ、2008年10月22日(1.605%)以来、16年5か月ぶりの高さを記録。日米金利差縮小の要因となっている。

日米の長期金利差とドル円相場の推移のグラフ

米国の高関税政策の不確実性を警戒 4月初め以降に利上げペースを再検討

一方、植田氏は経済の見通しの不透明さも強調している。米国のドナルド・トランプ大統領が矢継ぎ早に打ち出す高関税政策の全容は明らかではなく、4月2日に発表される「相互関税」のほか、自動車輸入などを対象とした個別関税の動向も、内容次第で日本の経済活動への影響が大きくなる可能性があるからだ。植田氏は記者会見で今後の利上げペースについて、米国の関税政策の全容が分かる4月初め以降に再検討することを示唆した。米国の高関税が日本経済や世界経済を混乱させる見通しが強まれば、利上げにブレーキをかける筋書きも想定されているようだ。

こうした中、金融市場では日銀の追加利上げのタイミングをめぐる思惑に大きな変化は出ていない。ブルームバーグによると、日銀の6月までの利上げについて投資家の動向から算出される確率は日本時間19日午後6時30分段階で52%で、日銀の決定会合の結果発表前の48%からやや上振れた程度だ。

FRBのパウエル議長が米国経済の堅調さを強調すれば円安進行も

ドル円相場の値動きはFRBが日本時間20日午前3時に発表する連邦公開市場委員会(FOMC)の結果や経済見通しでも左右される。またジェローム・パウエル議長が記者会見で示す米国経済をめぐる情勢判断も注目点となりそうだ。パウエル氏は7日の講演で米国経済について不確実性が高まっているとしつつも「引き続き良い状態にある」と述べていた。パウエル氏がFOMC後の記者会見でこうした立場を維持した場合には、米国経済の見通しへの安心感がドル買いにつながり、ドル円相場で円安が進むことも考えられそうだ。

一方、トランプ氏はパウエル氏の7日の講演後の12日に鉄鋼やアルミニウム輸入への高関税を発動させており、日銀同様、パウエル氏の経済見通しにも不確実性が高まっていることも考えられる。金融市場でパウエル氏が景気後退への警戒感を強めたとの受け止めが広がれば、ドル円相場が円高で反応することも想定される。


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