金価格が史上最高値 2025年に2300ドル予想 利下げ期待で
金先物価格が1日、約2か月ぶりに史上最高値。物価上昇率低下がFRBの利下げへの期待を裏付け、金価格の先高観につながっている。
金価格が約2か月ぶりに史上最高値を更新した。LSEGのデータによると、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物価格(中心限月)は1日の終値で1オンス=2095.7ドル。12月27日につけた2093.1ドルを上回った。アメリカの1月の物価上昇率に落ち着きが感じられたことが、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測を裏付けたためだ。金融市場では2025年7-9月期の水準は平均2300ドルに達するとの予想もある。今後、利下げへの現実味が増していけば、金価格が値上がりしていく可能性がある。
金価格が2095.7ドルまで上昇
1日の金先物価格は前日比では2.00%高。12月14日(2.38%)以来2か月半ぶりの高い伸び率だった。金のスポット価格(スポット金)も同様の値動きだった。2月29日に発表された1月の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率が予想通りに低下し、FRBが6月にも利下げに踏み切るとの観測が揺らがなかったためだ。また、利下げ期待はFX市場でのドル安を招き、ドルの相対的な強さを示すドルインデックス指数(ドルインデックス指数)は1日、0.28%ドル安方向に動いて金価格を上がりやすくさせた。
金融市場では一般的に、金利が下がれば債券などの投資先としての魅力が下がり、相対的に金の投資先としての魅力が上がるとされる。また、ドル安が進んだ場合、米国以外の投資家にとって金が割安となり、金が買われやすくなるとも説明される。
1日の最高値更新は、2023年に続いてきた金価格の上昇が2024年は頭打ちになっているとの印象をやわらげた。金先物価格は12月1日に約3年4か月ぶりに史上最高値を更新。27日にも改めて記録を更新して2100ドル台が視野に入ったが、年明けの2月14日には2004.3ドルまで下落し、2000ドル割れの可能性も出ていた。13日に発表された1月の消費者物価指数(CPI)が予想を超える強さで、金融市場が見込むFRBの利下げ時期が6月まで後退したことが影響した。しかし今回は1月PCE物価指数で物価上昇の減速がみられ、投資家心理が一転したといえる。
JPモルガンは2025年に金価格が2300ドルに到達すると予想
こうした流れは金融市場で見込まれている金価格の先高観に沿ったものだ。米投資銀行大手のJPモルガンは1月17日、金価格が2025年7-9月期の平均値で2300ドルに到達するとの予想を公表している。2023年10-12月期の実績は平均1987.1ドルで、7四半期で約16%値上がりを見込んでいる形だ。JPモルガンは12月に2024年10-12月期の金価格が平均2175ドルになるとの見通しを示していた。
一方、米国経済は底堅さが続いており、物価上昇圧力として働き続ける可能性がある。ただ、1月のPCE物価指数の伸び率は総合指数で前年同月比2.4%、食品とエネルギーを除いたコア指数で2.8%となっており、FRBが目標とする2%に近づいていることは間違いなさそうだ。FRBが最後に利上げをした2023年7月に、総合指数が3.3%、コア指数が4.2%の上昇を記録していたことと比べれば、FRBがいずれは利下げに踏み切るとの見方は強まっている。
現在5.25-5.00%に設定されているFRBの政策金利が下がっていくとの期待が金融市場で続く間は、金価格への上昇圧力も続いていく可能性がありそうだ。
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