米国株急ブレーキ 物価不安でS&P500下落 小売売上高にも注目
米国1月CPIは予想以上の強さ。利下げ観測が後退し、S&P500は大きく下落した。15日発表の小売売上高にも注目が集まる。
アメリカの物価上昇の根強さが株式市場に打撃を与えた。13日のS&P500種株価指数の終値は前日比1.37%安で、2024年に入って2番目に大きい下落率。史上最高値更新を続けてきた勢いにブレーキがかかった。この日発表された1月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が予想を上回り、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げへの期待が後退したためだ。一方、アメリカ経済の堅調さという好材料は揺らいでおらず、15日に発表される1月小売売上高の結果にも注目が集まりそうだ。
1月CPIの強さを受けてS&P500が1.37%下落
13日のS&P500(SPX)の終値は4953.17で、3営業日ぶりに5000の大台を割り込んだ。下落率はFRBのジェローム・パウエル議長が3月利下げを打ち消した1月31日(1.61%安)以来の大きさだ。S&P500の2023年末比での上昇率は依然として3.84%高と堅調だが、1月19日以降に史上最高値更新を繰り返してきただけに、急ブレーキがかかったといえる。
S&P500を押し下げたのは1月CPIの結果だ。総合指数の伸び率は前年同月比3.1%で、ロイターがまとめた市場予想の3.0%よりも高い結果。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.9%で、こちらも市場予想(3.8%)よりも強い数字となった。総合指数は12月の実績(3.4%)を下回ったものの、コア指数は12月と同水準で、アメリカ経済を苦しめる物価上昇の根強さを感じさせた。
FRBの利上げ開始時期の予想は6月まで後退
この結果を受けて、アメリカの金融市場ではFRBの利下げ時期をめぐる予想が後ずれしている。LSEGのデータによると、金融市場では6月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始が有力視され、これまで見込まれていた5月から後退した。6月のFOMC後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間14日午前11時30分現在で約76%。5月FOMCについては約39%となっている。長期金利(10年物米国債利回り)の13日の終値は4.316%で、2023年11月30日(4.350%)以来の高さとなった。
ただ、アメリカの物価上昇の根強さを経済の強さの表れととらえれば、株価にとって悪材料とばかりはいえない。2日発表の1月雇用統計では非農業部門の就業者数が予想を大幅に上回り、S&P500は上昇で反応した。パウエル氏が1月31日に3月利下げを打ち消して高まった緊張感が米国経済の強さを示す指標で打ち消された形だ。
1月の小売売上高の結果が強ければ安心材料か
このためS&P500の先行きは、アメリカ商務省が15日午前8時30分(日本時間15日午後10時30分)に発表する1月の小売売上高の結果でも左右されそうだ。ロイターがまとめた事前予想では売上高の伸び率が全体で前月比マイナス0.1%、自動車・自動車部品を除いたベースでプラス0.2%になると予想されている。
1月17日に発表された前回(12月)の小売売上高は市場予想を上回る強さだった。金融市場では物価上昇圧力の強さとして受け止められ、当日のS&P500は下落で反応したが、19日以降の史上最高値更新ラッシュにつながったともいえる。1月の小売売上高が予想よりも強かった場合は、株価にとっての安心材料として受け止められる可能性もありそうだ。
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