FRB、3月利下げは困難か 小売好調で金利高 S&P500続落
金融市場が見積もる3月利下げ確率は50%台に低下。アメリカ消費の好調さが意識され、S&P500上昇は勢いづかない。
米連邦準備制度理事会(FRB)の3月利下げ観測が後退した。金融市場が見積もる3月までの利下げ確率は日本時間の18日に50%台をつけ、先週までの70%台から低下している。17日に発表された12月小売売上高が予想を上回る強さで、アメリカの堅調な消費が物価上昇圧力として働き続けるとの見方が拡大した。長期金利(10年物米国債利回り)は12月中旬以来となる4.1%台まで上がっており、S&P500種株価指数は続落で反応している。米国経済の強さは企業業績にとってプラスになるものの、S&P500が史上最高値更新にもたつく中、投資家心理はどこか冷ややかなままだ。
FRBの3月利下げ確率は50%台に
CMEグループのデータによると、FRBの政策金利が3月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に現状よりも低くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間18日午前8時30分ごろの段階で約55%。前日午前の約63%から低下した。3月利下げ確率は12日には74%に達する場面もあっただけに、利下げ観測が後退している形だ。
FRBの利下げの困難さが意識されるようになった要因は米国経済の強さだ。17日発表の12月小売売上高の伸び率は前月比0.6%増で、市場予想の0.4%を上回る堅調な結果。自動車・部品を除いたベースでの伸び率は0.4%で、やはり市場予想(0.2%)を上回った。クリスマス商戦が好調だった結果だ。
12月の堅調な消費の背景には、米国の物価上昇の減速がある。11日に発表された12月の消費者物価指数(CPI)は食品とエネルギーを除くコア指数の伸び率が2年7か月ぶりの3%台になった。こうした物価上昇の減速はFRBが利下げに向かうとの観測を強めたが、今回は物価上昇減速が消費の強さにつながったことが金融市場で意識され、利下げ観測を後退させた形だ。
アメリカ長期金利が上昇し、S&P500は続落で反応
こうした中、17日のニューヨーク債券市場では長期金利が上昇。終値は前日よりも0.038%ポイント高い、4.104%となった。長期金利の終値が4.1%を超えるのは12月12日(4.206%)以来、約5週間ぶり。長期金利の上昇は株式の投資先としての魅力を相対的に弱め、S&P500(SPX)は2日続落。17日の終値は前日比0.56%安の4739.21となった。2023年末比の騰落率は0.6%安と勢いがつかない。2022年1月3日の史上最高値(4796.56)の更新はおあずけになったままだ。
米国経済の強さは企業業績の追い風で、株価にとっては上昇要因だ。物価上昇の減速も同時並行で進めば、景気後退回避と物価上昇抑制が両立する軟着陸(ソフトランディング)という理想的な結果を達成できる。ただ、S&P500のもたつきにみられるように、投資家は軟着陸シナリオを確信しているわけではない。16日に発表された1月のニューヨーク連銀製造業景況指数が市場予想を大幅に下回るマイナス43.7になるなど景気の先行きを不安視させるデータも出ており、米国株式市場の見通しは晴れていない。
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