日経平均が記録的急騰 円安で週次2199円高 S&P500足踏み
日経平均の週次上げ幅は史上2番目の大きさ。一方、S&P500を足踏みさせている米国経済の先行き不透明感は不安材料だ。
日経平均株価が記録的な急上昇をみせた。12日の終値は1週間前比で2199.69円高。4日連続でバブル後最高値を更新し、約33年11か月ぶりの高値に到達した。この1週間での上げ幅は史上2番目の大きさだ。日米の金融政策の先行きをめぐる思惑で、外国為替市場で円安が進んだことが株式市場での安心材料になっている。一方、米国の株式市場では、S&P500種株価指数が史上最高値更新を目前に足踏み。世界経済の先行きに対する不安が消えない中で、日経平均を押し上げた上昇気流がいつまで続くかはに不透明さも残る。
日経平均の週次での上げ幅は史上2番目
日経平均(N225)の12日の終値は3万5577.11円。2023年7月3日につけた先週までのバブル後最高値(3万3753.33円)を一気に超えて、1990年2月22日(3万5826.84円)以来の高さになった。LSEGのデータによると、週次の上げ幅としては、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が始まる中で、日本銀行が上場投資信託(ETF)の購入目標額を倍増させることを決めた翌週にあたる2020年3月23-27日週(2836.60円)に次ぐ史上2番目の大きさだ。また、週次の上昇率は6.59%で、2022年3月14-18日週(6.62%)以来の大きさとなる。
日経平均を急浮上させたのは外国為替市場で進む円安だ。ドル円相場(USD/JPY)はこのところ1ドル=145円台で推移。11日には一時、146.41円をつけ、2日につけた140.80円との比較では5.61円もの円安ドル高となっている。円安は一般的に、日本の輸出企業の業績を改善させる要因とされ、日経平均の追い風になる。
円安の背景には日米の金融政策の先行きをめぐる思惑がある。ドル円相場が11日に円安に振れたのは、アメリカで発表された12月の消費者物価指数(CPI)の総合指数の伸び率が予想を超えたことが要因。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが遠のいたとの見方から、長期金利(10年物米国債利回り)が一時的に4%を超え、日米の金利差が縮まらないとの見方が広がった。また、日本経済では賃上げ不振がみられており、日銀のマイナス金利政策解除への期待が薄らぎ始めている。
アメリカのS&P500は史上最高値更新ならず
一方、米国の株式市場ではS&P500(SPX)の伸び悩みが目立つ。S&P500の12日の終値は4783.83で、1週間前比1.84%高。2週ぶりに値上がりに転じたが、2022年1月3日の史上最高値(4796.56)の更新には至らなかった。前日比での伸び率は11日が0.07%安、12日が0.08%高で、値上がりにも値下がりにも勢いづかない膠着状態という印象が強い。
S&P500の方向感の乏しさは経済の先行き不透明感の強さの表れといえそうだ。12月CPIは総合指数の伸び率は拡大したが、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は前月からわずかに低下。結果として、FRBの3月利下げ観測は強まっており、S&P500上昇への期待が消えたわけではない。一方、12日から本格化した企業の2023年10-12月期決算発表は、航空各社の株価下落につながった。また、米英が11日にイエメンの親イラン武装組織フーシの関連施設への攻撃に成功したことを明かし、中東情勢が緊迫化していることも株価下落の一因になっている。
こうした中、日経平均の記録的な上昇の起爆剤となった円安は、11、12日に限ってみればストップしている。今後の米国企業の決算発表で米国経済の弱さが示されるなどすれば、FRBの利下げ観測が拡大して円高を引き起こすという筋書きも考えられ、日経平均の先行きが安泰とは言い切れない。
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