2025年日経平均、最高値更新予想 見通しに明るさ 半導体株は不安
2025年の日経平均株価は最高値更新が期待される。ただ、半導体株の見通しやドル円相場の動向は不透明で、停滞リスクも拭えない。
2025年の日経平均株価に上昇期待が出ている。日経平均の27日の終値は4万0281.16円で、7月中旬以来の4万円台に復帰。1週間前比で1579.26円高という勢いをみせた。値がさ株が大きく買われており、投資家心理に明るさが戻ったといえそうだ。2025年の見通しをめぐっても最高値更新が視野に入っている。ただし日経平均の上昇を牽引してきた半導体株の先行きには不安もつきまとい、円安進行による追い風効果も今後は縮小していく可能性がある。さらに、円高が進行した場合には海外で稼ぐ日本企業の収益悪化要因となることも避けられず、日経平均の勢いが大きく削がれることも考えられそうだ。
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日経平均株価は5か月ぶり4万円台 アドバンテストなど大幅上昇
日経平均株価(N225)の27日の終値は前日比では713.10円高。前日の437.63円高を含む3日続伸で、一気に上げ幅を広げた。27日は新NISA(少額投資非課税制度)の2025年分の非課税枠で買える初日にあたり、2025年の株価上昇を見込んだ買いが増えたとも指摘されている。4万円台は7月19日(4万0063.79円)以来、約5か月ぶり。日経平均は7月下旬以降、半導体株安や円高がきっかけとなって3万円台での推移が続いただけに、大台復帰は見通しの明るさを感じさせる。
個別銘柄の週次の値動きをみると、半導体製造装置のアドバンテスト(6857)が週次9.73%高。8.22%安だった前週(16-20日週)から大きく反発し、日経平均を220円押し上げた。衣料品大手のファーストリテイリング(9983)も3.64%高、半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)も4.64%高となって、日経平均に対して100円以上の押し上げ効果を生んでいる。日経平均の2023年末比での伸び率は20.37%に達しており、大納会の30日に波乱がなければ、2023年の28.24%高に続き、2年連続での大幅高となりそうだ。
2025年の日経平均株価には4万5000円予想も 企業収益成長見通し
2024年の日経平均の上昇は企業業績の好調さに裏付けられている。ブルームバーグによると、日経平均構成銘柄の直近12か月の収益に基づいて算出した1株当たり利益(EPS)は27日時点で1898円。23年末時点の1287円から47%も増えている。また、今後12か月のEPSは1970円と予想されており、2025年の1年で4%の成長が見込まれる形だ。仮に日経平均と予想収益の比率を示す予想株価収益率(PER)が、日経平均が最高値(4万2224.02円)をつけた7月の水準(約22倍)まで高まるとすれば、2025年末の日経平均は4万3300円程度という見通しも浮かぶ。金融市場では4万5000円を予想する声もある。
AIをめぐる米中対立は日本の半導体株にとっての懸念材料
ただ、日経平均の見通しにはショックも起きうる。日経平均の上昇を引っ張ってきた半導体株の中では、東京エレクトロンの株価が7月以降に急激に失速。12月27日終値時点では2023年末比3.46%安に沈んでいる。アメリカのドナルド・トランプ次期政権下では、人工知能(AI)をめぐる米中対立が中国への半導体輸出規制の強化として現れる可能性があり、中国向けの売上高が4割以上を占める東京エレクトロンの業績への懸念は消えない。一方、アドバンテストや、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)を子会社に持つソフトバンクグループ(9984)の株価は好調を維持しているが、AIブームの継続性への疑念が膨らむなどすれば見通しが暗転するおそれもある。
円高進行や中国経済の見通し悪化なら企業業績の重荷に
また、2024年の日本企業の好業績の背景となった円安進行も、今後の見通しは不透明だ。ブルームバーグによると、2024年のドル円相場(USD/JPY)は平均1ドル=151円程度で推移。2023年の141円程度から大きく円安が進んだ。7月3日につけた161.95円は37年半ぶりの円安水準だ。ただ、2025年は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げと日本銀行の利上げが見込まれる中で、円高方向の値動きが出る可能性もある。円高はトヨタ自動車(7203)をはじめとする海外で稼ぐ企業の業績を下押しする要因なだけに、日経平均にとって逆風になることは避けられない。
さらに世界経済をめぐっては中国経済の先行き懸念もくすぶる。中国共産党は2025年の経済政策に関し、積極的な財政政策と金融緩和でテコ入れする方針を確認しているが、不動産価格の下落や人口減少、トランプ次期政権との対立といった火種を抱える中で、引き続き経済が上向かない可能性がある。中国経済の不振が株式市場で材料視されれば、投資家のリスク回避姿勢が日経平均の足を引っ張る可能性もありそうだ。
米国の株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)が2023年と2024年の連続で20%超えの大幅上昇になる見通し。2025年も1割程度の値上がりが見込まれているが、米国経済の悪化の兆しなどが米国株を揺らした場合にも、日経平均に下押し圧力がかかりそうだ。
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