2025年の米国株に1割上昇予想 S&P500見通し エヌビディア焦点
2025年のS&P500は6500程度までの上昇が予想されている。ただし割高感やトランプ次期政権下での半導体株の行方など不安材料も多い。
2025年のアメリカの株式市場も上昇が続きそうだ。S&P500種株価指数の27日の終値は1週間前比で3週ぶりの反発。2024年は20%を超える大幅な値上がりになる公算で、金融市場では2025年も1割程度の値上がりが見込まれている。ただしS&P500は割高感が拭えず、年明けのドナルド・トランプ次期政権の誕生も波乱要因になりかねない。こうした中で、人工知能(AI)ブームの継続性に不安が生じ、AIブームの立役者である半導体大手NVIDIA(エヌビディア)などの株価上昇が失速すれば、投資家心理は悪化しそうだ。また好調な米国経済にも悪化の兆しはちらついており、S&P500の今後の見通しが大きく揺らぐリスクも残っている。
アメリカのS&P500は2週ぶり反発 2年連続の20%超の上昇へ
S&P500(SPX)の27日の終値は1週間前比で0.67%高の5970.84。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通し後退が悪材料となった前週(16-20日)までは2週連続の下落に見舞われていたが、ようやく反発に転じた形だ。
米国の株式市場の取引をあと2日残す中、S&P500は大きな波乱がなければ2年連続で年間の上昇率が20%を超える見通しといえる。27日終値段階での2023年末比の伸び率は25.18%高で、2023年の年間24.23%高を上回るペース。2年連続で20%超の値上がりが実現すれば、1995年から1998年にかけての4年連続以来、26年ぶりの記録になる。
S&P500は2025年は9%程度の上昇か 利益水準が1割増加の予想
こうした中、金融市場では2025年もS&P500の上昇が続くと見込まれている。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均値では、2025年末のS&P500は6508となり、27日終値から約9%の上昇になる見通し。12月6日につけた最高値(6090.27)の更新が相次ぐ展開が想定されているもようだ。
S&P500への期待は企業業績への期待に裏付けられている。ブルームバーグによると、S&P500構成銘柄の1株当たり利益(EPS)は2025年の12か月で262.35ドルになる見通し。2024年の見込み値(238.64ドル)から9.94%増える計算で、S&P500の上昇予想率と同水準といえる。
S&P500には割高感 企業収益の予想が下振れすれば下落のおそれ
ただし、S&P500には割高感もつきまとう。ブルームバーグによると、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は27日時点で22.76倍で、2020年以降の平均値(20.6倍程度)を上回る状態が続く。仮に今後、2025年のEPSが10%近く伸びるとの見通しが崩れていけば、予想PERはさらに高まることになり、投資家の間でS&P500が下落に転じるとの不安が強まることも想定される。
トランプ氏の政権運営は波乱要因 株価急騰3年目のエヌビディアの見通しに不安も
また、2025年のS&P500は、1月20日に誕生するトランプ次期政権下で、波乱が起きる可能性もある。トランプ氏はAIと暗号資産に関連する政策の責任者に投資家のデービッド・サックス氏を指名。先端技術の開発を後押しする姿勢を示しているが、トランプ氏が中国との対決姿勢を深めていけば中国への輸出も収益源となっている半導体企業の業績にとっては痛手だ。
中でも半導体大手エヌビディアの株価(NVDA)は2023年と2024年の2年間で10倍近く上昇しており、株価急騰が3年目に入る2025年も勢いが持続するかが問われる。27日の終値は1週間前比で1.71%高で2週連続での上昇とはいえ、26日と27日の2日間では2.29%安に沈んだ。S&P500は24日の急上昇でサンタクロース・ラリーの好調な出足を切ったものの、27日はエヌビディアや電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA)、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)など大手ハイテク株がそろって下落して失速している。
米国経済にも懸念 物価上昇率高止まりや失業者増加
一方、米国経済は労働市場の堅調さが維持されており、FRBのジェローム・パウエル議長も「極めて良い状態にある」と太鼓判を押す。ただ、個人消費支出(PCE)物価指数の前年同月比上昇率は食品とエネルギーを除いたコア指数で2.8%程度での横ばいが続いているうえ、足元では失業保険受給者数が3年ぶりの高さまで上がるという悪材料も出てきた。2025年に発表される経済指標で不振の兆しが出てきた場合にも、S&P500の今後の見通しが大きく揺らぐ可能性がありそうだ。
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