米国株、サンタラリーへ出足好調 S&P500上昇 労働市場見通し不安
S&P500はサンタクロース・ラリーの最初の2日で1%超上昇。しかしFRBの利下げ見通しの後退に加え、労働市場悪化の兆候も不安材料になっている。
アメリカの株式市場でサンタクロース・ラリーへの期待が維持されている。S&P500種株価指数の26日の終値は6037.59。サンタクロース・ラリー期間中の最初の2日での上昇率は1%超となり、好調な出足を切ったことになる。ただ、値上がりのほとんどはクリスマスイブにあたる24日の半日で稼ぎ出されており、上昇の勢いの持続性には疑問符もつく。米連邦準備制度理事会(FRB)の2025年の利下げ見通しの後退が投資家心理を暗くしているほか、労働市場でも悪い傾向が出ており、サンタクロース・ラリーの今後の見通しには不安も残る。
アメリカのS&P500は2営業日で1%超高 サンタクロースラリーの出足好調
サンタクロース・ラリーは米国の株式市場の経験則のひとつで、年末の5営業日と年始の2営業日の期間は株価が上がりやすいとされている。2000年以降のデータでは、サンタクロース・ラリー期間中のS&P500は平均0.89%高。同じく2000年以降の7営業日での平均0.19%高を大きく上回っている。
2024年から2025年にかけての年末年始の場合、サンタクロース・ラリー期間はクリスマスと年始の休場を挟んだ、12月24日から1月3日までとなる。S&P500(SPX)の26日の終値を23日終値と比較すると1.06%高で、スタートダッシュに成功した形だ。
長期金利は4.5%台で高止まり サンタクロースラリーの持続性には疑問符も
ただ、S&P500はクリスマスイブのために午後1時までの取引だった24日に1.10%上昇し、26日は0.04%安にとどまった。ブルームバーグによると、26日のニューヨーク債券市場での長期金利(10年物米国債利回り)の終値は4.584%。引き続き4.5%を超える高止まりで、株価の下押し材料となっている。このためサンタクロース・ラリーの好調な出足とは裏腹に、S&P500の見通しが明るいとは言い切れなさそうだ。
エヌビディアは26日に5営業日ぶり反落 アーム・ホールディングスも1.59%安
26日の株式市場では大手ハイテク株の不振も目立った。電気自動車(EV)大手テスラの株価(TSLA)は前営業日比で1.76%安、アマゾン・コム(AMZN)も0.87%安。2025年で株価急騰が3年目に入る半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)も5営業日ぶり反落の0.21%安となり、復調が足踏みした。一方、アップル(AAPL)は26日までの5営業日続伸で12月の上昇率が9.14%まで高まる好調ぶりだが、株式相場全体の見通しを改善させているわけではなさそうだ。
また、エヌビディア以外の半導体株でも26日は、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)が前営業日比0.97%安、クアルコム(QCOM)が0.52%安となるなど、不調も感じられた。S&P500構成銘柄ではないものの、クアルコムとの連邦地裁での訴訟で敗れた英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)も1.59%安となっている。
失業保険の総受給者数が3年ぶりに190万人を突破 労働市場の見通しに不安
投資家心理を暗くしている長期金利の上昇の背景には、FRBが18日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続での利下げを決めつつも、2025年の利下げ見通しについては2回に留まる方向性を示したことがある。また、26日に発表された週次の失業保険関連統計では、8-14日週の総受給者数が191万人となり、2021年11月中旬以来約3年ぶりに190万人を超えた。一方、新規失業保険申請件数は15-21日週で21.9万件となり、前週よりも減少したが、総受給者数の増加傾向は労働市場が徐々に悪化していく見通しも感じさせる。
シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の26日の終値は14.73で、24日からは0.46ポイントの上昇となった。18日につけた27.62からは大きく低下しているものの、S&P500の値動きが荒くなることへの警戒は残っている。S&P500の今後の見通しは、米国経済の先行きに対する期待と不安で揺れ動きそうだ。
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