米国株、続伸で不安後退 S&P500半値戻し エヌビディア見通し改善
S&P500は2営業日続伸で、最高値からの下落分の半分弱を戻した。エヌビディアも半値戻しの水準だ。ただし長期金利上昇は不安要因といえる。
アメリカの株式市場の不安が和らいできた。S&P500種株価指数の23日の終値は2営業日続伸となる0.73%高。S&P500は19日までの不振で最高値から大きく後退していたが、下落分の半分程度を取り戻す形となった。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)も3日続伸となっており、見通しが改善している。ただ、米国の長期金利(10年物国債利回り)は23日も上昇。7か月ぶりの高さを更新していることは株式市場にとっては懸念材料といえる。金融市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の2025年の利下げペースの緩和が想定以上だったことの余波が続いているとみられ、S&P500の今後の見通しにとっては悪材料といえそうだ。
アメリカのS&P500は2日続伸 最高値からの下落分の半分弱を回復
S&P500(SPX)の23日の終値は5974.07。前週末にあたる20日の1.09%高とあわせた2営業日で合計1.82%の値上がりとなった。S&P500は6日に最高値(6090.27)をつけた後、19日までに3.80%下落していたが、2日連続での値上がりで半分弱を取り戻した形となる。
長期金利は4.5%台 7か月ぶりの高さでS&P500の見通しの重荷に
ただ、米国株の見通しには長期金利上昇が影を落としている。ブルームバーグによると、23日のニューヨーク債券市場での長期金利の終値は4.588%。前週末から0.065%ポイント上昇し、5月29日(4.614%)以来の高さを更新した。長期金利の上昇は株式の投資先としての魅力を相対的に低めるS&P500にとっての逆風だ。
また、長期金利上昇は中小型株の見通しを悪くしている。中小型株の代表的な株価指数であるラッセル2000(RUT)の23日の終値は前週末比0.22%安の2237.44。ラッセル2000は11月25日に最高値更新目前となる2442.03まで上昇していたが、約1か月で8.38%の下落に見舞われている。
FRBの年内利下げ見通しが後退 年末ラリーの期待には応えられず
長期金利上昇の要因のひとつはFRBが18日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続の利下げを決めつつ、2025年の利下げ回数は2回との方向性を示したこと。金融市場では2-3回の利下げがあると予想されていたため、FRBの利下げ姿勢は想定よりも慎重だったことになる。この結果、足元の金融市場では利下げ見通しが大幅に後退。CMEグループのデータによると、2025年末までの利下げ幅が0.5%ポイント以上になることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間24日午前10時段階で43%程度。FOMC前の89%程度から大幅に低下している。
このため、S&P500が半値戻しに到達する中でも、投資家心理は完全には回復していないようだ。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の23日の終値は16.78。18日につけた27.62からは下がっているものの、S&P500が最高値をつけた6日の12.77からは上振れしている。
S&P500の23日時点での12月の上昇率は0.31%で、年末ラリーへの期待には応えられていない。一方、2024年の上昇率は25.25%で2年連続の大幅高はほぼ確実といえる情勢だが、2025年1月20日のドナルド・トランプ次期大統領の就任を控えた不安もくすぶっているとみられ、今後の見通しにとっての波乱要因といえそうだ。
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