米国株、年末見通しに試練 エヌビディア11%転落 S&P500反発
S&P500は16日に3営業日ぶり反発。一方、エヌビディアは最高値から11%超の下落になった。年末ラリーに向け、小売売上高やFOMCに注目が集まる。
アメリカの株式市場の年末ラリーが試されている。S&P500種株価指数の16日の終値は3営業日ぶりの反発。しかし6日につけた最高値には届かず、12月に入ってからの上昇率は0.69%に留まっている。半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)は3日続落で最高値からの下落率が11%を超えており、S&P500の足を引っ張っている形だ。投資家の慎重姿勢の背景には、17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表という重要イベントを控えていることがある。また17日発表の11月小売売上高もFOMCの情勢判断に影響を与えそうだ。一方、FOMC後も米国株に大きなショックが起きなかった場合にはS&P500の今後の見通しが明るくなる可能性もある。
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アメリカのS&P500は3営業日ぶり反発 最高値には届かず
S&P500(SPX)の16日の終値は前営業日比0.38%高の6074.08。3営業日ぶりの反発だったが、6日につけた最高値(6090.27)には届かなかった。2024年のS&P500は11月末までに26.47%もの値上がりを果たしてきたが、12月に入ってからは小幅な上昇となっている。
エヌビディアは3営業日続落 11月の最高値から11.34%安
S&P500の見通しの不安材料となっているのはエヌビディアだ。エヌビディアの株価(NVDA)の16日の終値は前日比1.68%安の132.00ドルで、3営業日続落。11月7日につけた最高値(148.88ドル)からの下落率は11.34%となった。中国政府による独占禁止法違反の疑いでの調査が報じられた9日以降では7.33%の値下がりで、米中対立への懸念が投資家心理を暗くしているといえそうだ。
ブロードコムは連日急騰 年初来上昇率はアーム・ホールディングスを超える
一方、半導体株ではブロードコム(AVGO)の急騰が続いている。16日の終値は前週末比11.21%高。13日も24.43%高となっており、異例の値上がりペースだといえる。2024年に入って株価が2.2倍になった形で、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)の1.9倍を上回る成績となった。ブロードコムは12日に人工知能(AI)関連製品の2024年11-2025年1月期の収入が前年同期比65%増になるなどの見通しを公表。エヌビディアに逆風が吹く中で、AIブームをめぐる投資家の期待を集めている。
FRBの12月利下げはほぼ確実との見通し 2025年の利下げは2-3回か
こうした中、S&P500の今後の見通しは連邦準備制度理事会(FRB)の情報発信で変化しそうだ。18日までのFOMCでは0.25%利下げが決まることがほぼ確実視されており、焦点は2025年の利下げペースに移っている。CMEグループのデータによると、金融市場では2-3回の利下げが有力視されているが、FOMC後に公表される声明文や経済見通しに加え、ジェローム・パウエル議長の記者会見で利下げへの慎重姿勢が示されれば、S&P500の見通しを悪くする可能性もある。
またFRBの経済情勢判断には、米商務省が17日午前8時30分(日本時間17日午後10時30分)に発表する11月小売売上高も影響する。ブルームバーグがまとめた市場予想では伸び率は前月比0.6%増となる見通し。自動車・自動車部品を除いたベースでは0.4%増が見込まれている。結果が予想以上に強かった場合には、物価上昇圧力の強さがFRBの利下げペースを緩やかにするとの思惑を呼びそうだ。
ただ、FRBの情報発信が利下げペースの減速の可能性を感じさせたとしても、米国経済の底堅さが崩れなければ株式市場の楽観ムードが続くことも考えられる。S&P500の2024年の値動きを月別にみると、4月と10月以外はすべて値上がりしており、FOMCを終えた後に年末ラリーへの期待が現実になる筋書きも考えられそうだ。
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