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米国株、トランプ氏歓迎 S&P500急騰 金利上昇は見通しに不安

アメリカのS&P500は1年10か月ぶりの上昇率を記録。トランプ氏による減税路線が歓迎された。ただし長期金利は4.4%台まで上昇している。

米国株、トランプ氏歓迎 S&P500急騰 金利上昇は見通しに不安 出所:Adobe Images

アメリカの株式市場が大統領選挙の結果を歓迎した。S&P500種株価指数の6日の終値は前日比2.53%高の5929.04。約1年11か月ぶりの上昇率となった。次期大統領に決まった共和党のドナルド・トランプ前大統領の復帰が減税路線による景気刺激につながるとの見方が支配的となったためだ。トランプ銘柄や電気自動車大手、テスラの株価などが大きく値上がりしている。ただ、6日は長期金利(10年物米国債利回り)も急騰しており、金利高が逆風となる不動産セクターなどは下落。経済拡大見通しは物価上昇圧力を強め、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを難しくする側面もあり、S&P500の今後の見通しにとっては不安材料といえる。

アメリカのS&P500は1年11か月ぶりの上昇率 大統領選挙の結果を歓迎

S&P500(SPX)の6日の上昇率は2022年11月30日(3.09%高)以来の大きさ。13営業日ぶりの最高値更新につながった。2023年末比での伸び率は24.30%に達している。トランプ氏は大統領選挙でペンシルベニア州やミシガン州、ウィスコンシン州といった重要な接戦州の多くで民主党候補のカマラ・ハリス副大統領を制し、懸念された決着の長期化も起こらなかったことが株式市場の明るい反応を速めた。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

またAP通信によると、共和党は定数100の上院で52議席を獲得する見通し。下院でも日本時間7日午前10時30分の段階で205議席を固めており、過半数の218に近づいている。ただ、民主党も190議席を確保しており、まだどちらが多数派になるかは確定していない状態だ。

金融セクターや資本財セクターが上昇 トランプ氏の景気刺激に期待

こうした中、株式市場がトランプ氏の勝利を歓迎したのはトランプ氏と共和党が打ち出す法人税減税や金融機関への規制緩和などが経済活動を刺激するとの思惑が働いたからだ。なかでもS&P500の金融セクターは6日に前日比6.16%高となり、銀行大手のJPモルガン・チェース(JPM)は11.54%高となった。また、トランプ氏による米国の製造業への後押しが期待される中、資本財セクターも3.93%高となっている。

アメリカ大統領選挙後のS&P500と各セクターの値動き

トランプ銘柄がそろって急騰 コインベースやテスラも上昇

さらに6日はトランプ氏と関わりが深いトランプ銘柄も上昇。刑務所運営を手掛けるジオ・グループ(GEO)は6日の終値が前日比42.10%高となった。トランプ氏の不法移民対策が業績の追い風になるとの見通しが強まったためだ。また、2020年の大統領選挙でトランプ陣営のスマートフォンアプリを開発したとされるファンウェア(PHUN)も16.64%高。トランプ氏のSNS「トゥルース・ソーシャル」を運営する、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(DJT)の株価も5.94%高となった。これに加え、トランプ氏が暗号資産への支持を鮮明にしていることから、暗号資産交換業のコインベース・グローバルの株価(COIN)も31.11%高となった。

主なトランプ銘柄の株価の推移

さらに大手ハイテク株ではテスラの株価(TSLA)が6日に前日比14.75%高と急騰。イーロン・マスクCEOはトランプ氏との蜜月関係が知られ、トランプ氏はマスク氏を連邦政府の効率的な運営を監視する委員会のトップに起用するとしている。マスク氏が実際に政権入りすれば、テスラが2026年の生産開始を目指している無人タクシーの実用化に不可欠な規制対応がスムーズになる可能性もありそうだ。

テスラ、エヌビディア、マイクロソフト、アップル、メタ・プラットフォームズ、アルアベット、アマゾン・コムの株価の推移のグラフ

長期金利は4.4%台まで上昇 S&P500の見通しの不安材料に

ただ、6日のニューヨーク債券市場では長期金利が4.426%まで上昇。7月2日(4.436%)以来約4か月ぶりの高さとなった。長期金利の上昇は株式の投資先としての魅力を相対的に低くする株安要因だ。6日の株式市場では金利高が逆風になるとされる、S&P500の不動産セクターや公益事業セクターは下落している。トランプ氏の政策が景気を刺激すれば物価上昇圧力として働き、FRBの利下げペースが遅くなるとの見通しが強まったとみられる。

CMEグループのデータによると、6、7日の連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%幅の利下げが確実視される情勢。一方、12月のFOMCでも0.25%幅の利下げが決まり、年内に合計0.5%幅の利下げが実現することについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間7日午前10時30分段階で約70%。前日朝の約80%から後退している。

トランプ氏の2度目の政権も予測不能な運営が見込まれ、S&P500の今後の見通しが荒れ模様になる可能性もある。ただ、ハリス氏が勝利すれば、増税や規制強化が株価の重荷になるとみられていただけに、投資家の間には安心感が広がったようだ。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の恐怖指数と呼ばれるVIX指数(VIX)の6日の終値は16.27で、前日の20.49から大きく低下し、9月26日(15.37)以来の低さとなっている。

VIX指数のS&P500の推移のグラフ

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