米国株、上昇加速 S&P500週次急騰 大統領選と利下げで見通し良好
アメリカのS&P500は週次4.66%高。1年ぶりの上昇率で勢いづいた。トランプ氏の勝利とFRBの利下げが追い風になったが、AIブームの陰りも感じられる。
アメリカの株式市場の上昇が加速した。S&P500種株価指数の8日の終値は1週間前比で4.66%高。1年ぶりの高い上昇率を記録している。大統領選挙でのドナルド・トランプ前大統領の勝利に加え、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げも追い風となって、投資家心理が上向いた形だ。トランプ氏の勝利は中小型株も勢いづけており、相場のムードは明るい。ただし2024年7-9月期決算発表を経て、人工知能(AI)ブームの勢いには陰りも感じられる。AI開発に注力する大手ハイテク株は時価総額が大きいだけに、S&P500の今後の見通しにとっては悪材料だ。時価総額首位の半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の決算発表も近づいており、改めて不安が高まる可能性もある。
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アメリカのS&P500は週次4.66%高 1年ぶりの大きさ
S&P500(SPX)の8日の終値は5995.54。8日までの3日連続で最高値を更新し、6000の大台が目前に迫った。週次での上昇は3週ぶりで、4.66%高は、雇用統計での労働市場の過熱感の和らぎなどが好感された2023年10月30日-11月3日週の5.90%高以来だ。
アメリカ大統領選挙とFRBの利下げが好材料 VIX指数は8月下旬以来の低さ
S&P500の上昇を勢いづけたのは5日の大統領選挙でのトランプ氏の勝利。減税や規制緩和に軸足を置くトランプ氏の政策が米国経済の見通しを明るくするとの観測が広がった。またFRBは7日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを決定。ジェローム・パウエル議長は現状では、大統領選挙の結果は金融政策の判断に影響を及ぼさないとした。トランプ氏の経済政策は物価上昇圧力を高め、FRBに利下げをためらわせることで株価の重荷になる可能性もあったが、ひとまずは不安が払拭されたといえる。
投資家心理の改善はウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の落ち着きからも感じられる。シカゴ・オプション取引所によると、VIX指数の8日の終値は14.94で4日連続で低下。8月19日(14.65)以来の低さとなった。VIX指数はS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを意味する。
米国経済の見通しが明るくなったことで中小型株も上昇している。中小型株の代表的な株価指数であるラッセル2000(RUT)は大統領選挙翌日の6日に前日比5.88%高と急騰。8日までの週次でも8.57%高となり、S&P500を上回る勢いだ。
マイクロソフトやアップルは不振 AI投資や中国市場の見通しが重荷
ただし個別株の値動きをみれば異変も見つかる。AIサービスの展開を進めるマイクロソフトの株価(NVDA)は週次で2.97%高となり、S&P500の上昇率より見劣りする結果。アップル(AAPL)も1.82%高にとどまり、いずれも冴えない値動きだ。7-9月期決算発表では、マイクロソフトはAI開発にかける設備投資負担が悪材料視され、アップルは中国を含む中華圏の見通しの悪さが不安視されていた。一方、トランプ氏との蜜月関係が知られるテスラ(TSLA)は週次29.01%高と急騰しているが、時価総額3兆ドル超えのマイクロソフトとアップルの低調さはS&P500にとっては重荷だ。
10月CPIやエヌビディア決算が今後の見通しを左右か
米国の株式市場では13日に発表される10月の消費者物価指数(CPI)にも注目が集まる。伸び率が市場予想を上回るなどして、物価上昇鎮静化の動きに不安が出れば、FRBの利下げペース減速が意識される可能性もある。また20日には時価総額がアップルやマイクロソフトをしのぐ3.6兆ドルに達しているエヌビディア(NVDA)の2024年8-10月期決算発表も予定され、S&P500の今後の見通しを左右することも考えられそうだ。
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