米国株の楽観見通しは続くか 13日に10月CPI S&P500は大台突破
アメリカのS&P500は6000の大台を突破。大統領選挙を境にテスラの株価は1.4倍に急騰している。ただし相場にはほころびもあり、10月CPIに注目が集まる。
アメリカの株式市場で楽観ムードが続いている。S&P500種株価指数の11日の終値は5営業日続伸で6001.35となり、初の6000台に到達。なかでも電気自動車(EV)大手テスラの株価は、ドナルド・トランプ氏の大統領選挙での勝利が起爆剤となり、大統領選挙前日から1.4倍に跳ね上がっている。ただしテスラ以外の大手ハイテク株や半導体株には失速感もあり、トランプ相場が株式市場全体を沸かせているわけではない。また13日に発表される10月の消費者物価指数(CPI)が市場予想から大きく上振れれば、S&P500の今後の見通しに陰りが出る可能性もある。
アメリカのS&P500は5日続伸で6000突破
S&P500(SPX)の11日の終値は前週末比0.10%高。小幅ながらも大統領選挙当日の5日から5営業日続伸となった。この間の上昇率は5.05%で、勢いが感じられる。11日のニューヨーク債券市場はベテランズ・デーのため休場だったが、前週末の長期金利(10年物米国債利回り)の終値は4.308%で、上昇には一服感が出ている。
テスラの株価は5営業日で1.44倍に 中小型株にも9.73%上昇
相場の楽観ムードを象徴するのが、イーロン・マスクCEOがトランプ氏との蜜月関係を築いたテスラの株価(TSLA)だ。11日の終値は前日比8.96%高で、S&P500と同様に5営業日続伸。この間の上昇率は44.13%に達している。2023年末比での伸び率も40.86%となり、アマゾン・コム(AMZN)やアルファベット(GOOGL)を一気に追い抜いた。テスラは1月に2024年の販売台数が伸び悩むと表明したことで株価が急落し、4月22日には2023年末比42.83%安となる場面もあっただけに、見通しが大きく変化したといえる。
また、トランプ氏の再登板で期待される景気拡大見通しは引き続き、中小型株を勢いづけている。中小型株の代表的な株価指数であるラッセル2000(RUT)の11日の終値は前週末比1.47%高。大統領選当日から5営業日での上昇率は9.73%で、S&P500の成績を大きく上回っている。
エヌビディアは2営業日で2.43%下落 半導体株の見通し改善には陰りも
ただしトランプ氏の勝利がきっかけとなった見通しの明るさは米国の株式市場全体で続いているわけではない。大手ハイテク株の中では、20日に2024年8-10月期決算を発表する半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)が11日までの2営業日続落で2.43%安。マイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)、アップル(AAPL)、アマゾン・コムも同様に2営業日続落で1%台半ばの下落となっている。
また、エヌビディア以外の半導体株でも、クアルコム(QCOM)は11日まで3営業日続落。この間で2.72%安となった。S&P500構成銘柄ではないものの、6日の7-9月期決算発表が投資家の期待に応えられなかった、英半導体大手のアーム・ホールディングズ(ARM)は11日までの2営業日で5.77%安となっている。
10月CPIは総合指数の伸びが加速する見通し 上振れならS&P500に逆風か
こうした中、株式市場の注目は米労働省が13日午前8時30分(日本時間13日午後10時30分)に発表する10月CPIに集まる。ロイターがまとめた市場予想では、総合指数の伸び率が前年同月比2.6%となり、9月の2.4%から物価上昇が加速する見通し。また食品とエネルギーを除いたコア指数では伸び率が3.3%となり、10月から横ばいになると予想されている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は利下げを決めた7日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、大統領選挙でのトランプ氏の勝利は現段階での金融政策の見通しに影響を及ぼさないとして、利下げ継続に軸足を置いた。しかし10月CPIで物価上昇率が予想以上に高まることがあれば、金融市場の利下げ期待の後退が株価の逆風といえる長期金利の上昇となって現れる可能性もある。大統領選挙の結果はS&P500の今後の見通しを明るくしたとはいえ、経済指標の結果への注目も続きそうだ。
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