円安にブレーキ FRB利下げ軸足維持 長期金利上昇見通しに根強さも
FRBは7日のFOMCで2会合連続の利下げを決定。大統領選後の円安進行に歯止めをかけた。ただし長期金利の上昇基調もあって円安再燃の可能性もある。
ドル円相場の円安にブレーキがかかった。7日のニューヨーク市場の終値は1ドル152円台で、前日から1.7円の円高水準。アメリカ大統領選挙での共和党のドナルド・トランプ前大統領の勝利で進んだ円安の半分強を戻す形となった。7日には連邦準備制度理事会(FRB)が0.25%の利下げを決定。ジェローム・パウエル議長は選挙結果が短期的な金融政策の見通しに及ぼす影響を否定し、利下げに軸足を置いた。米国の長期金利(10年物米国債利回り)は7日は下落し、日米金利差の拡大には歯止めがかかっている。ただ、パウエル氏は米国の長期金利が9月の利下げ開始後も上昇基調にあることを静観しており、今後のドル円相場で改めて円安が進む可能性も残っている。
ドル円相場は一時152円台に 大統領選後の円安の5割超を取り戻す
ドル円相場(USD/JPY)は7日のニューヨーク市場の取引を1ドル=152.93円で終えた。LSEGによると、前日比では1.70円の円高で、6日に進んだ3.03円分の円安の56%を戻した形だ。6日の円安はトランプ氏が打ち出す減税路線や高関税による保護主義的な経済政策が物価上昇圧力として働くとの見通しが材料となったが、経済政策の変化を過度に織り込む動きは一段落したといえる。
FRBは0.25%利下げ パウエル議長は経済情勢の見通しに自信
また7日の円高にはFRBが発したメッセージも影響している。FRBは7日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で金融市場での予想通りに0.25%の利下げを決定。政策金利を4.50-4.75%とした。9月に決めた4年半ぶりの利下げに続く決定で、FRBの経済情勢の見通しへの自信を感じさせた。
パウエル氏は記者会見で「経済は非常によい状態にある」と強調。労働市場は「頑強なままだ」とし、物価上昇率は「(目標とする)2%に向けて持続的に低下している」と述べた。金融市場では12月のFOMCでも0.25%幅の利下げが決まるとみられており、CMEグループのデータでは日本時間8日正午現在で約68%の確率が見積もられている。
また、パウエル氏は大統領選挙の結果に関しては「金融政策の決定に影響を及ぼさない」と明言。理由については「どのようなタイミングでどのような内容の政策変更があるかは分からない」と説明した。実際に政策変更の議論が始まり、詳細が明らかになれば、政策変更全体のパッケージとしての経済への影響を検討したうえで、金融政策決定時に考慮するとしている。ドル円相場はパウエル氏の会見を受け、1ドル=152.69円まで円高に振れる場面もあった。
アメリカの長期金利上昇は一服 日米金利差は縮小
こうした中、米国の金融市場では長期金利の上昇も一服している。LSEGによると、7日のニューヨーク債券市場の長期金利の終値は4.343%で、前日から0.083%ポイント低下。8月1日(0.127%ポイント低下)以来の下げ幅となった。日米の長期金利差は7日終値段階で3.332%ポイントとなり、6日につけた5か月ぶりの大きさ(3.445%ポイント)から縮小している。
長期金利は9月以降も上昇傾向 トランプ氏の勝利で下がりにくくなる可能性も
一方、米国の長期金利はFRBの利下げ局面入り後に上昇していることも確かだ。足元の長期金利の水準は、利下げ決定前日(9月17日)の3.642%よりも約0.7%ポイント高い。FRBが合計0.75%幅の利下げを決めたにも関わらず、長期金利は正反対の動きをみせている。パウエル氏は記者会見で長期金利の動向について、物価上昇見通しの強まりよりは、経済成長の強さが主な要因になっているようだと分析。こうした状況が長く続けば金融政策の方向性に影響を与えるが、「現在はそうした段階にはない」とした。
FRBが2007年や2019年に踏み出した利下げ局面は、いずれも長期金利の低下につながっている。ただ、今回の利下げは好調な経済状況下で始まっているうえ、トランプ氏への政権交代という新たな要素も加わり、投資家の間で金利の先安観が広がらない可能性もある。とはいえ、高い金利水準が続けば、企業の経済活動や消費が冷え込み、労働市場に悪影響が及んでFRBが急ピッチでの利下げを迫られる筋書きも考えれ、ドル円相場の今後の見通しは円高方向にも円安方向にも動きやすい状況といえそうだ。
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