円安加速156円 パウエル氏がトランプ相場に拍車 利下げ見通し後退
ドル円相場は約4か月ぶりの円安水準にあたる156円台半ば。パウエル氏が14日の講演で利下げに慎重姿勢を示したためだ。今後は日銀の動向にも注目が集まる。
ドル円相場で円安が加速している。ドル円相場の14日のニューヨーク市場の終値は約4か月ぶりの円安水準となる1ドル=156円台。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が講演で利下げへの慎重姿勢を示唆したことで、米国金利が低下していく見通しが弱まったことが影響した。大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利を機に進んできた円安に、いっそうの拍車がかかった形だ。足元の円安は米国経済の強さが背景になっているだけに日本政府の為替介入は入りづらいとの思惑も成り立ち、ドル円相場の今後の見通しは日本銀行の追加利上げをめぐる情報発信にも左右されそうだ。
ドル円相場は156円台に 7月22日以来の円安水準
ドル円相場(USD/JPY)の14日のニューヨーク市場の終値は1ドル=156.25円。LSEGによると、終値としては7月22日(157.00円)以来の円安水準となった。さらに15日の東京市場での取引では一時、156.74円をつけた。
パウエルFRB議長「利下げを急ぐ必要なし」 10月PCEは物価上昇加速見通し
円安を加速させたのはパウエル氏の講演だ。パウエル氏は14日午後3時からのテキサス州での講演で米国経済の状況について「利下げを急ぐ必要があるとのシグナルは一切送っていない」と言及。同時に労働市場の健全性を維持しながら、物価上昇率を2%に下げていくことへの自信も示したが、利下げペースがこれまでの想定よりは緩やかになるとの見通しを示したとみられる。
米国の物価動向をめぐっては13日に発表された10月消費者物価指数(CPI)が市場予想通りの結果だった。これを踏まえ、パウエル氏は講演の中で27日に公表される10月の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率について、総合指数で前年同月比2.3%、食品とエネルギーを除いたコア指数で2.8%との見通しを示した。9月の上昇率は総合指数が2.1%、コア指数が2.7%だっただけに物価上昇が加速する予想だといえる。
FRBの12月利下げ見通しは後退 大統領選後の円安に拍車
こうした中、FRBが12月17、18日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ見通しは後退した。CMEグループによると、12月FOMCでの0.25%利下げについて投資家の動向から算出される確率は日本時間15日午前11時現在で約59%。前日午前の83%程度から大幅に低くなっている。
ドル円相場では5日の大統領選挙でトランプ氏の勝利が決まると、減税路線や高関税などが物価上昇圧力として働き、FRBの利下げにブレーキをかけるとの見方が浸透。5日終値時点の1ドル=151.60円から、円安の流れが加速していた。日米の金利差は大統領選挙翌日には3.445%ポイントまで拡大し、円安の背景となっている。一方、パウエル氏が7日のFOMC後の記者会見で利下げ見通しを崩さなかったことで、円安にブレーキがかかる場面もあったが、今回の講演でパウエル氏が利下げペース減速を示唆したことでドル円相場は円安に動きやすくなったといえる。
ドル高要因での円安は為替介入は困難? 日銀の追加利上げをめぐる動向に注目
また、FX市場では円以外の通貨も対ドルで安くなっており、現状は「ドル高」の側面が強い。大統領選挙当日の5日を基準として考えると、14日終値時点でユーロは3.7%、ポンドは2.9%、豪ドルは2.8%安くなっている。3.0%安の円を含めて主要通貨が足並みをそろえて下落している形だ。
こうしたFX市場の動きは米国の物価上昇率が下がりにくくなるとの見通しが背景になっているだけに、投機的な円売りによる円安とは言い難いともみなせる。日本政府による為替介入が入りにくいとの思惑につながれば、次は12月18、19日に金融政策決定会合を開く日本銀行が追加利上げについてどのような情報を発信するかに注目が集まりそうだ。
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