米国株、不安な年始 S&P500上昇失敗 エヌビディアの見通しに期待
S&P500は年末年始の値上がりに失敗。テスラの株価失速が投資家心理を冷やしているが、好調な景況感などの好材料もある。
アメリカの株式市場が不安な年始を迎えている。S&P500種株価指数は3日までの取引で、年末年始のサンタクロースラリーを実現できず。1週間の値動きでも2週ぶりの下落となり、幸先の悪い出足となった。大手ハイテク株の中では電気自動車(EV)大手テスラの2024年の販売台数が予想に届かないという悪材料も出ている。一方、3日発表の製造業の景況感指数は市場予想を超える強さ。また、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は3週連続での値上がりで、6日のジェンスン・ファンCEOの講演を前に期待が高まっている。S&P500の今後の見通しは、大手ハイテク企業の動向などで上向くことも考えられそうだ。
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アメリカのS&P500は年末年始の上昇に失敗 サンタラリーは0.53%安
S&P500(SPX)の3日の終値は5942.47。株価が値上がりしやすいとされる年末の5営業日と年始の2営業日の「サンタクロース・ラリー」の期間中での騰落率は0.53%安に終わった。サンタラリー期間の値下がりは2年連続だ。
またS&P500の3日の終値は1週間前比でみても0.48%の値下がりで、長期金利(10年物米国債利回り)の高さが重荷となる状況が続く。ブルームバーグによると、長期金利は12月27日のニューヨーク債券市場での終値で4.626%まで上昇し、5月1日(4.629%)以来、約8か月ぶりの高水準となっている。
テスラの2024年の販売台数は予想に届かず 株価は急落
S&P500をめぐっては2日に発表されたテスラの販売台数が投資家の期待を裏切るという悪材料も出た。2024年10-12月期の販売台数は前年同期比2.3%増の49万5570台どまり。2024年の年間販売台数は前年比1.07%減の178万9226台となった。ブルームバーグがまとめた市場予想は約180万台で、テスラの実績はハードルを越えられなかった形だ。
こうした中、2日の株式市場ではテスラの株価(TSLA)が前日比6.08%安と急落した。テスラ株は米国大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利後、トランプ氏とイーロン・マスクCEOとの蜜月関係を背景にして一時、1.8倍にも上昇してきただけに、業績の見通しへの不安が楽観ムードを一変させる可能性もある。
S&P500は2024年に23%上昇 2年連続で20%超えの値上がり
ただ、S&P500が2024年に好成績を残したことも確かだ。2024年の年間上昇率は23.31%に達し、2023年の24.23%高に続き、2年連続での20%超えの値上がりとなった。1995年から1998年にかけての4年連続以来の好成績だ。S&P500の2025年の見通しをめぐっては1割近い上昇が見込まれており、企業業績の伸びが株価上昇につながると期待されている。
実際、年明けの経済指標では米国経済の強さが改めて確認された。米サプライマネジメント協会(ISM)が3日に発表した12月の製造業景況感指数は49.3で、ブルームバーグがまとめた市場予想の48.2を超えた。水準としても2024年3月(50.3)以来の高さで、新規受注の好調さなどが貢献したという。
S&P500の今後の見通しをめぐっては、好調な経済指標や人工知能(AI)ブームを背景にした半導体株への期待が続けば、サンタラリーの失敗を取り戻すチャンスが出てきそうだ。
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