米国株、半導体で連騰 エヌビディア最高値 S&P500見通しに危うさ
S&P500は6日に0.55%高。エヌビディアなど半導体株が牽引したが、時価総額が大きいハイテク株頼みの側面もある。
アメリカの株式市場で半導体株への期待が改めて膨らんでいる。S&P500種株価指数の6日の終値は前週末比0.55%高で、2営業日連続の上昇。NVIDIA(エヌビディア)の株価が最高値を更新するなど、半導体株の上昇がそろって勢いづいたことが追い風となった。台湾電機大手の鴻海精密工業の好決算が人工知能(AI)ブームへの期待を高めたことや、日本時間7日に予定されているエヌビディアのジェンスン・ファンCEOの講演が好材料になることへの期待が背景となっている。ただしS&P500の上昇は時価総額が大きいハイテク株頼みの側面もあり、今後の見通しには流れが急変するリスクも潜んでいそうだ。
アメリカのS&P500は連騰 長期金利の上昇を跳ね返す
S&P500(SPX)の6日の終値は5975.38で、3日の1.26%高に続く値上がりとなった。長期金利(10年物米国債利回り)の上昇という逆風にも関わらず、株価の勢いが勝った形だ。ブルームバーグによると、長期金利の6日のニューヨーク市場での終値は4.631%で、2024年4月30日(4.681%)以来の高さとなっている。
半導体株の見通しを明るくしたのは鴻海が5日に発表した2024年10-12月期の実績だった。総収入は前年同期比15.17%高の2兆1323億台湾ドルで、10-12月期として過去最高。鴻海はエヌビディアなどの製品を受託生産しており、「AIサーバーの強い需要」が総収入の伸びにつながったとしている。
エヌビディアのファンCEOの講演にも期待 ブラックウェルの状況への言及は?
またエヌビディアをめぐっては、ファンCEOが日本時間7日午前11時30分から米ラスベガスで行う基調講演にも注目が集まる。AI向け半導体システム「ブラックウェル」の受注や出荷の状況などへの言及があれば、株価の見通しを左右する可能性がありそうだ。ファン氏は2024年11月20日の決算会見では、11月-2025年1月期のブラックウェルの出荷は想定以上の大きさになるとの見通しを示していた。
AIブームへの期待は大手ハイテク株の見通しも明るくしている。6日の取引ではメタ・プラットフォームズ(META)が前週末比4.23%高となるなど、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク株がそろって上昇した。
S&P500の上昇にはハイテク株頼みの側面も 悪材料で見通し急変のリスク
ただ、S&P500の上昇は時価総額が大きいハイテク株頼みの側面もある。S&Pグローバルが公表している、時価総額を考慮せずに算出したS&P500は6日の取引で前日比0.05%安。S&P500本体の0.55%高とは対照的な値動きになった。こうした中で、株式市場にAIブームへの期待を冷やす材料が出れば、半導体株や大手ハイテク株の下落がS&P500の急落につながる可能性も拭えない。
今後のS&P500の見通しをめぐっては、割高感という懸念もつきまとう。ブルームバーグによると、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は6日段階で22.77倍という高水準。S&P500が2024年12月6日につけた最高値(6090.27)に急ピッチで近づいていけば割高感がさらに強まることは避けられず、上昇にブレーキがかかることも考えられそうだ。
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