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エヌビディア、株価急落後回復 成長は減速見通し 急騰期待は後退か

エヌビディアの株価の8-10月期決算発表後の下落は限定的だった。新製品への需要の強さが期待をつないだ形だが、株価急騰への期待は後退しそうだ。

エヌビディア、株価急落後回復 成長は減速見通し 急騰期待は後退か 出所:ブルームバーグ

アメリカの半導体大手、NVIDIA(エヌビディア)が20日の取引時間終了後に行った2024年8-10月期決算発表は投資家の期待をなんとかつないだ。8-10月期の総収入と利益の実績に加え、2025年1月までの今四半期の業績見通しも市場予想を超えたためだ。20日の時間外取引では株価が5%超下落する場面もあったが、その後は下げ幅を縮めている。3月に発表した人工知能(AI)向け半導体システム「ブラックウェル」への期待が株価下落を押しとどめた形となった。ただ、今後、エヌビディアの成長が減速していくことは避けられず、株価の爆発的な上昇への期待が薄れていくことも考えられそうだ。

エヌビディアの8-10月期決算は市場予想超え 11-1月期の見通しも

エヌビディアの8-10月期決算は総収入が前年同期比93.6%増の350.82億ドル、調整ベースの1株当たり利益(EPS)が101.5%増の0.81ドルだった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が332.50億ドル、1株当たり利益が0.74ドル。発表された実績はいずれも市場予想を上回った。一方、成長率は、5-7月期の総収入122.4%増、1株当たり利益151.9%増から減速している。

エヌビディアの業績(総収入、1株当たり利益=EPS)の推移のグラフ

また、決算と同時に発表された11-1月期の見通しでは、総収入について375億ドルとの水準が示された。市場予想の370.80億ドルは上回ったものの、前年同期比では69.7%増にあたり、成長がさらに減速することになる。

エヌビディアの株価は時間外取引で一時5%下落 その後は買い戻しも

こうした決算発表を受けてエヌビディアの株価(NVDA)は20日の時間外取引で一時、138ドル程度まで下落。20日終値(145.89ドル)から5%超の値下がりとなった。ただしその後は買い戻しも進み、2%安程度での取引が続いている。エヌビディアは8月28日の5-7月期決算発表時は時間外取引で株価が一時、8%超下落。翌29日の終値は前日比6.38%安となっていたが、今回の決算発表では悲観的な反応は限定的だったといえる。

エヌビディアの株価と予想株価収益率(PER)の推移のグラフ

ブラックウェルの出荷は「想定以上」 ファンCEOは成長に自信

エヌビディアへの期待をつないだのはブラックウェルの出荷が今四半期に始まっていることだ。一部ではブラックウェルでサーバーラックに接続する際に過熱する問題が起きていると報じられていたが、ジェイスン・ファンCEOは20日の決算会見で今四半期のブラックウェルの出荷について「これまで想定していた以上になる」と言及。ブラックルウェルに対する需要は大きく、今四半期に数十億ドルに上るとの見通しを改めて示した。エヌビディアはブラックウェルへの需要は今後数四半期は供給能力を超える状態が続くともしている。

またファン氏はAIブームが続く中で、企業が旧来型のデータセンターを最新設備に更新したり、AIの活用を前提とした新たなサービスを展開する企業群が誕生していることを指摘。エヌビディアの半導体に対する需要が続いていくとの見通しに自信を示し、エヌビディアの専門性や規模、製品を包括的に提供する能力が「数兆ドル規模」の将来的な産業に貢献していくことを可能にしていると述べた。

株価急騰への期待は後退か トランプ政権の対中国政策も不安材料

ただ、エヌビディアの成長が鈍化していることは間違いなく、11-1月期の総収入の見通しは前月比では6.9%増にあたる水準。8四半期ぶりの一桁成長となる見通しだ。エヌビディアの株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は30-40倍程度で推移しており、株価の上昇も成長の減速とともにスローダウンする可能性がありそうだ。

また、5日のアメリカ大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利は中国向け輸出規制の強化も予感させる。ファン氏は決算会見で政府の規制に従う中で最善を尽くす方針を示したが、エヌビディアの中国向け販売は8-10月期で全体の15.4%を占めるだけに、トランプ次期政権のかじ取りは経営の不安要素といえそうだ。

エヌビディアの地域別収入の推移のグラフ

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