エヌビディア、株価上昇に転機も 26日決算 今四半期見通しに不安
エヌビディアの11-1月期決算発表は業績見通しが焦点。中国向け輸出規制への配慮が成長を減速させる可能性が感じられるかが注目される。
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半導体大手NIVIDIA(エヌビディア)が26日の取引時間終了後に行う2024年11月-2025年1月期決算発表は、2-4月期の業績見通しが焦点だ。1月に発足したドナルド・トランプ政権はエヌビディアの半導体輸出を問題視しているもよう。エヌビディアが戦略の修正を視野にいれていれば、総収入の成長にブレーキがかかるおそれも拭えない。エヌビディアの株価は3か月前の前回(2024年8-10月期)決算発表から足元までに4%超下落しており、株価上昇の勢いは失われている。エヌビディアが示す業績見通しが投資家の不安をかきたてれば、株価への下落圧力が増すことも考えられそうだ。
エヌビディアの2024年11月-2025年1月期決算は総収入と利益で成長減速の見通し
エヌビディアはアメリカ東部時間26日午後4時20分(日本時間27日午前6時20分)に11-1月期決算を発表。40分後の午後5時から決算会見を開く。ブルームバーグがまとめた事前予想では、総収入は72.9%増の382.07億ドルとなる見通し。調整ベースの1株当たり利益(EPS)は62.8%増の0.84ドルになるとみられている。事前予想通りとなれば、総収入の成長は4四半期連続での減速。1株当たり利益の伸び率は5四半期連続での低下となる。エヌビディアは直近19回の四半期決算のうち、総収入と1株当たり利益でそれぞれ1回ずつ市場予想を超えられなかった。
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エヌビディアの株価は前回決算から4%超安 割高感には和らぎも
エヌビディアの株価(NVDA)の18日の終値は139.40ドルで、2024年末比で3.81%高。S&P500種株価指数(SPX)の4.22%高を下回っている。2023年は1年で3.4倍、2024年は2.7倍となる驚異的な値上がりが続いたが、2025年の初めは勢いが失われている。また、足元の株価は前回の決算発表があった2024年11月20日との比較では4.45%安で、株価は下落傾向にあるとみることもできる。
ブルームバーグによると、エヌビディアの直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は32倍程度で、前回決算発表直前の38倍程度から下がった。アナリストが提示する目標株価の平均は174.07ドルで、現状よりも25%ほど高い。2月中旬以降は200ドルに引き上げる動きもある。77人のアナリストのうち69人は買い、7人は維持、1人は売りを勧めている。
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エヌビディアの株価はディープシークへの脚光で下落 3年目の株価急騰につまづき
エヌビディアの株価の勢いは中国の人工知能(AI)開発企業「DeepSeek(ディープシーク)」への脚光で大きく損なわれた。ディープシークのAIがエヌビディアの最先端の半導体を用いない低コストの開発で高性能を獲得したとされることは、エヌビディアの半導体への需要が下押しされる見通しを強めかねないからだ。株式市場でディープシークが注目された1月27日、エヌビディアの株価は前週末比16.97%安と急落。23日につけた最高値(147.22ドル)から大きく遠ざかった。エヌビディアの株価は2023年と2024年はいずれも1-3月期でのスタートダッシュに成功したが、2025年の勢い不足は明らかだ。
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トランプ政権は中国向け半導体輸出規制強化を検討か その他地域の収入急増
また、ディープシークの登場はトランプ政権がエヌビディアに注ぐ視線を冷たくしている可能性がある。1月29日にはトランプ政権がエヌビディアの半導体の中国向け輸出に対する追加的な規制を検討していると報じられた。ジェンスン・ファンCEOは1月31日にトランプ氏とホワイトハウスで会談しており、トランプ氏から直接、意向を伝えられている可能性もある。
エヌビディアは既存の中国向け半導体輸出規制に抵触しないよう、性能を抑えた半導体を中国向けに輸出。同時に最先端の半導体が第三国を経由して中国に渡っていることも否定できない。エヌビディアの中国での収入は、2023年11月-2024年1月期にジョー・バイデン前政権による輸出規制強化の影響で大きく減少したが、その後、シンガポールを含むその他地域での収入が急増している。
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エヌビディアの2-4月期の業績見通しは? ブラックウェルへの期待は好材料
こうした中、エヌビディアの26日の決算発表では2025年2-4月期の業績見通しが市場予想を超えられるかが焦点だ。ブルームバーグによると、金融市場では総収入が前年同期比62%増にあたる422億ドルとみこまれている。またファン氏らの決算会見での発言から、エヌビディアがトランプ政権の意向をくむ形で中国向け輸出に何等かの制限をかける可能性が感じられれば、株価の見通しにとっては悪材料となりえる。
一方、エヌビディアの株価にとって、11-1月期から出荷が始まっているAI開発向けの半導体システム「ブラックウェル」が数十億ドル規模で収入増につながるとされていることは好材料といえる。決算発表で、ブラックウェルの収益への貢献が起爆剤となり、2025年も高成長が続く見通しが強まれば、低迷している株価が改めて勢いを取り戻すことも考えられそうだ。
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